転生したらプリキュアだった件 ~助けてくれた女神様の世界をプリキュアになって守りたいと思います!~ 作:Yuukiaway
人は物事を考える上で無意識の内にその基盤となる《前提》というものを定めていると、ディスハーツは考えている。今の彼も例外では無かった。
今彼は、目の前の対戦相手キュアレオーナの思考を分析しようとしている。それは彼女の行動が不可解に感じられたからだ。レオーナは自分の攻撃を躱す為に新たなグリフォンの
そしてその理由は『レオーナが新たに手に入れた自分の知らない能力を有効に活用しようとしている』という前提があるからだという事も自覚していた。しかしそれを否定する意思は無い。それしか彼女が自分に勝利する方法が無いと確信しているからだ。
「………貴重な手札を一枚使って得た有利が唯制空権を勝ち取っただけですか!? それともまた矢を撃ちますか!?
何発撃とうと全て防ぎ切って見せますよ!!!」
(…………こいつにはきっと自分が
これが失敗したら今度こそ負ける。皆やられる…………!!)
レオーナの立てた策は成功すれば一発で状況を好転させられる。しかし失敗すれば万策尽き、自分が敗北するだろうという事も理解していた。
(………私が彼女の矢を防げるように、彼女にも最早私の飛び道具は通用しないでしょう。それは十分分かりました。
ですがそれならそれでやりようはあります!!)
「!!?」
ディスハーツは金属の槍を作り出す為に磁力で金属を回収したが、その全てを回収した訳では無かった。フェフミリアの姿を見、再び制空権を奪われた時の為に彼は備えていた。
ディスハーツがそれを実行に移した瞬間、彼の姿がレオーナの視界から消えた。ディスハーツが操っていた刃物がレオーナの死角になる位置で木に刺さっていた。そして《
レオーナの背後を射程に収めたディスハーツは《
「!!!」
(《
「はぁっ!!!!」「!!!?」
ディスハーツは高速移動の勢いを乗せた蹴りをレオーナへ見舞った。グレアから蹴り落とされ、レオーナの身体は一直線に地面へ急接近する。しかし即座に意識を持ち直し、反撃に転じた。
「グッ…………!!!
来い!!! 《ペンゴラノ》!!!」
「!?
ッッ!!!?」
レオーナがそう叫んだ瞬間、ディスハーツの脇腹を衝撃が襲った。その方向に視線を送ると、それまで居たグリフォンは姿を消し、その場所には翼の生えた馬の魔物、ペガサスが居た。ペガサスの後ろ脚がディスハーツの脇腹に突き刺さっていた。
(ペ、ペガサス………!!!?)
『ドゴォン!!!!』「!!!!」
ペンゴラノが後ろ脚を伸ばし切り、ディスハーツを蹴り飛ばした。彼の身体は市民街のその先、森の中へと消えて行く。しかしレオーナの秘策はこれでは無かった。彼を追い、その秘策を成功させる為にペンゴラノへ乗り、再び空へと羽ばたく。
『ヤッタネレオーナ! ヤットアイツニ一発良イノヲ当テラレタ!!』
『ウス! でもまだ安心出来ないっスよ。本番はここから!! とにかく早く森へ飛んで欲しいっス!!』
『分カッタ!!』
ペンゴラノは翼で大気を撃ち、高速で市民街を飛び越えた。そして森の木々の隙間にディスハーツの姿を認める。先程の蹴りは効いているが戦意は些かも衰えていない様子だ。
「(勝負はここで決める。腹くくるっス!! ミーア=クロムウェル・レオアプス!!!) 来い!!! 《アイラー》!!!」
ディスハーツの姿を捉え、レオーナは再び
***
レオーナがペンゴラノに乗って追跡を開始した時、ディスハーツは森の中を転がっていた。不意を突かれた悔恨の意と脇腹に走る激痛が彼を襲うがその両方を抑え込んだ。直ぐにでもレオーナの追撃に備える必要があったからだ。
「クッ!!!」
ディスハーツは空中で体勢を変え、強引に身体に掛かった力を相殺した。そして地面に足を付けると即座に自分の脇腹に触れ、身体の状態を確認する。
(どうやら内臓や骨に負傷は無さそうですね。空中で力が分散された事が幸いしましたか。すると問題はレオーナが次に何をするかですね。
あれだけ面倒な段階を踏んで成果が私に馬の蹄を食らわせる事だけ? そんな訳は無い。これからもっと強力な何かを仕掛けて来る筈。これはその前準備に過ぎない━━━━━━━━)
「!!!!?」
ディスハーツの思考は途中で強制的に断ち切られた。それは彼の目の前の視界が急変したからだ。
それまで鬱蒼と生い茂る森の木々しか映っていなかったディスハーツの視界は突如として真っ赤に染まった。ディスハーツを襲ったのは燃え盛る業火だった。