転生したらプリキュアだった件 ~助けてくれた女神様の世界をプリキュアになって守りたいと思います!~   作:Yuukiaway

427 / 518
427 フォラス戦 最終局面!! ブレイブに目覚める悪魔の力!!! (前編)

煌焔、正確にはブレイブに立ちはだかる一体(・・)のスライムの中に存在する四人分(・・・)の人格は勝ち誇っていた。これから確実にブレイブの息の根を断ち切る事が出来ると信じて疑わなかった。

故に彼等は刀を振り下ろす際に碌に前も見ようとしなかった。意識が異常事態を認識したのは自分の視界にブレイブの血潮が吹き出している予測とは異なり、自分の刀が空を切っているという現実が目の前に広がっている事を理解した時だった。

 

その慢心が災いし、煌焔達は振り向いたその先にブレイブが立っているという事しか理解出来なかった。その攻撃を完了させるまでに掛かった時間(・・・・・・)を正確に把握出来ていなかった。

 

*

 

「━━━━━━━━えっ?」

 

何故自分が無事なのか理解出来ていないのはブレイブも同様だった。それは敵もまた同じだという事は背後から聞こえて来る煌焔の戸惑った声から容易に判断出来た。

しかし、確実に勝利を収められると慢心していた煌焔に対し、ブレイブは目の前で起こる全ての事象に意識を集中させていた。それがブレイブに情報戦における有利を与えた。ブレイブは戸惑いながらも自分が窮地を脱した理由を理解しようと努める事が出来た。

 

(な、何今の……………!!? さっき、私の気のせいじゃなかったら、刀を振り下ろす動きが遅くなった(・・・・・)…………………!!! それだけじゃない、私の周りの風や草の動きも遅くなって…………………!!!)

 

窮地に直面した人間はその極限状態が影響し時間の認識が変化するという現象がある。脳の時間認識の精度が向上し、一瞬が引き延ばされたかのように感じられるのだ。

ブレイブにも一瞬、その可能性が脳裏に過った。しかし即座に、それでは辻褄が合わないと否定する。時間の認識が変化しただけではなく、自分はたった今刀を躱しているからだ。

 

(━━━━って事は本当に遅くなったって事!? でも私は何もしようとしていないのに……………!!

って事はまさか━━━━!!!)

「ぷぅっ!!!」「!!?」

 

その時既に、ネシアの口がブレイブに向けて消化液の塊を吹き付けていた。煌焔達はブレイブに攻撃が交わされた事、その理由が不明瞭な事を理解した。しかし即座にネシアがブレイブに追撃を加える事を決断した。この状況下では現象の理由では無く敵を排除する事が最も重要だと理解しているからだ。

 

(先の回避、不可解ではあるがどうでも良い!! 三枚卸しが叶わんなら溶けて消えよ!!!)

(ヤ、ヤバッ!!! 避けなきゃ━━━━━━━━!!!)

『!!!?』

 

ネシアが吹き出した消化液の塊は、強肩のメジャーリーガーが投げる豪速球を彷彿とさせるような速度だった。

しかし、それはブレイブの顔面の十数センチ程の範囲に入った途端、一気に速度を落とした。それこそ高度が全く落ちず、重力に負ける事無くそのままの高さで飛んでいる事が不思議に感じられる程の遅さだった。

 

(な、何じゃあれは!!! よもや━━━━!!!)

(な、何これ!! ってか、避けないと…………………!)

『ヒュッ!! ベチャッ!!』『!!!』

 

依然として向かって来る消化液の塊を躱す為に身を屈めた途端、それは起こった。消化液の塊が突如として本来の速度を取り戻し、ブレイブの頭上を通過して木に激突した。

 

(か、躱された!! やはり彼の時(・・・)と同じか………………!!)

(何でまた速くなったの!? まるで私の周りでだけ遅くなってるみたいな……………!!)

『強化が完了しました。新しい究極贈物(アルティメットギフト)怠慢之王(ベルフェゴール)》を獲得しました。』

「!!!」

 

それはブレイブの脳内に直接聞こえて来た。異世界に来てから幾度もブレイブ()に起こった変化(・・)を自分に告げた声だ。そしてその変化とは、往々にして自分が強化された時だ。

それを聞いて即座に、屈んでいる体勢を利用して敵の目を盗み、ウィンドウを開く。ブレイブだけが見る事の出来るそれには自分の情報が記載されてある。

 

(あ、あった。これだ……………!)

 

*

 

《追記項目》

究極贈物(アルティメットギフト)

怠慢之王(ベルフェゴール)

悪魔系 究極贈物(アルティメットギフト)

能力:自分を中心とした一定範囲内の物体の運動速度を低下させる。範囲・減速度は体力の消耗に依存し、その他一切の力の影響を受けない。

 

*

 

(べ、べるふぇ、ごーる……………!? 悪魔って………………!!)

 

悪魔

ウィンドウに無機質に書かれているその二文字にブレイブは若干の拒絶反応を示した。無論、女神ラジェルに『刀剣系究極贈物(アルティメットギフト)に目覚めた者は十一種全ての究極贈物(アルティメットギフト)が発現する』と言われた事を忘れた訳では無いしその中に《悪魔系》が含まれている事も理屈では分かっている。

しかしそれでも尚、自分の情報の中に『悪』というその文字が含まれている事実にブレイブは顔を顰めた。つい先程その能力に助けられた事実を加味しても、だ。

 

(…………と言うかそもそも、悪魔系とかギリシャ神系とか、一体どんな基準でそんな分類を━━━━)

「隙ありじゃ!!!」

「!!!」

 

ブレイブが自分で思っていた以上に時間を費やしていたのか、煌焔達がブレイブに向かって駆け出していた。本来なら窮地の筈だが、この場合に限っては話は別。それは他でも無いブレイブが十分に理解していた。

 

「(━━━━いや、そんな事どうでも良いか。)

怠慢之王(ベルフェゴール)》!!!」

「!!!」

 

ブレイブのその言葉と共に、煌焔達の動きが一気に遅くなった。それでも尚、彼等の意識は通常通りに回転していた。

 

(う、動きだけが遅くなっておる!! 此れが、勇者に目覚めた新たな力………………!!!)

(悪魔だとか、私のプライドだとか、そんな事どうでも良い!! 皆を守れるならなんだって使ってやる!!!)

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。