転生したらプリキュアだった件 ~助けてくれた女神様の世界をプリキュアになって守りたいと思います!~   作:Yuukiaway

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433 影妖精(スプリガン)の生き残り!? スキュアが語る絶滅の真相!! その②

勇者列伝

それは史上初の勇者ルベドと当代最強の魔王ギリスの戦いを記録した《聖典》である。そしてその中には種族間融和に関する史実も記されている。故に勇者列伝は歴史学者の間では歴史書としても名高く、それを読む事は歴史を学ぶ上で必須条件となっている。

 

異種族の歴史を研究しているマルクも無論の事、勇者列伝を熟読し種族融和の事実、そしてその時期を把握している。だからこそ彼はその知識を基にして自らの理論を立ち上げたのだ。影妖精(スプリガン)の絶滅に種族間の融和が深く関わっている と。

 

「歴史を語る上で憶測を交えるのは御法度だと理解していますが、私は影妖精(スプリガン)を迫害を行た張本人であるユリウスという人物、彼が自らの種族を至上とする思想を持っていたのだと考えています。

これは私の知り合いの科学者が影妖精(スプリガン)の白骨死体を分析した結果ですが、彼等の一部(・・)は処刑されていたのです。骨の内部にも拷問したと考えられる形跡がありました。恐らく自分の思想が実現せずに逆上したユリウスの仕業でしょう。

 

━━━━え? 一部という事は、その他大勢は違うのか ですって?

実を言うとそうなのです。ただ、ユリウスと考えられる白骨死体にはこう、首を横一文字に斬り付けた痕跡があったようです。しかし問題は、その他大勢に分類される妖精族の死因です。

一言で言うと、分からないのですよ。どんな武器でも魔法でも、再現不可能な痕跡が身体中に刻まれていたんですよ。あんなものを見せられては歴史学者の血が騒ぐ。人の死を前にしてこんな事を言うのは不謹慎化もしれませんけどね……………………」

 

 

***

 

 

「━━━━ユリウス、あいつは私達の顔を見る度に顔を醜く歪めてこう言ったよ。『風妖精(エルフ)の血が汚れるのはお前等影妖精(スプリガン)の所為だ。死してその大罪を償え。』とな!!!」

『……………………!!!!』

 

シャルディアの実弟 ユリウス。

スキュアの口から語られる彼の所業の動機は一言で言えば唯の逆恨みでしかない。少なくともブレイブの耳にはそう聞こえた。歪んだ思想と過剰な権力が相乗効果を生んだ結果の悲劇だ。

 

「だが私は生き延びた。あいつが影妖精(スプリガン)を残らず殺し、最後は私というその時、その寝首をこの手で切り裂いてやったんだ!!!」

「!? そ、それじゃあ復讐はもう終わってるじゃない!! シャルディアさん達まで恨むのは流石に━━━━」

「黙れ!!!!」

「!!?」

「たかが数十年程しか生きられない人間如きには分からないだろう!!! その後私がどれ程の時間の孤独を味わったかを!!!! お前等に味わされた(・・・・・)を!!!!

それから自分でも分からなくなる程の年月、私は孤独を味わって来た!!! 仮に友が出来ても気付いた時には私を置き去りにして逝く(・・)!!! 私を理解してくれる人は誰一人居なかった!!!!

当然だよな!!!? 私はこの世でたった一人の影妖精(スプリガン)なんだからな!!!!!」

 

ギリスと同年代を生きている風妖精(エルフ)と同様に、影妖精(スプリガン)もまた人間より遥かに長い寿命を持つ種族である。スキュアにとって人間の世界は目まぐるしく変化し自分の居場所を見つける事は出来なかった。その孤独の時間が彼女の心の中で憎悪を育て上げたのだと、ブレイブはそう理解した。

 

「だ、だけど、シャルディアさんは本当に影妖精(スプリガン)が皆死んじゃった事を悲しんでいたんだよ!? 今だって、こうやって少なくなっちゃた妖精族を集めて、皆で助け合って生きてるんだよ!」

「嘘を言うな!!! だったら何故一人でも影妖精(私達)が生きている可能性を考えなかった!? 何故私を探しに来なかった!!? 何故私を過去にした!!!?」

「だから、それはその、大きな災害が起こったからで━━━━」

「大して調べもせずに決め付けて切り捨てたんだろ!!? その時点でお前等もユリウスも同罪だ!!!

だから償わせる!!! 自らの罪を思い知らせてやる!!! シャルディア、お前の首を見せつけてな!!!!!」

「━━━━本当に申し訳ないと思うが、それだけは出来ないな。」

「!? シャルディアさん!!」

 

スキュアと話していたブレイブの前にシャルディアが立った。口から一筋の血を流しているが、その目は一心にスキュアの事を見ていた。

 

「大して調査もせずに君達が絶滅したと断定し、君に辛い思いをさせてしまった事は心から謝罪しよう。だがそれでも、私には役目がある。この里の、妖精族の長としての役目がな。

だから決して死ぬ訳には行かないのだ!!!」

「…………お前が後生大事にしているこの里も妖精族も今から私が滅ぼすから安心しろ。それとも、自分が負けないとでも思っているのか? だとしたらまだ状況が分かっていないな。」

「…………何が言いたいんだ?」

「何故私がユリウスを殺す事が出来たか、何故私が究極贈物(アルティメットギフト)を持つお前の前に立つ事が出来たのか、まだ理解していないのか?」

「!!! まさか!!!」

 

一つの可能性に居たり、シャルディアは顔を青くさせた。それとは対照的にスキュアの口角が不敵さを含んだように歪に上がった。

 

「私も持っているんだ!!! 影妖精(スプリガン)の無念を晴らす為に、天が私にこの力を与えてくれた!!!!!

冥暗之神(エレボス)》!!!!!」

『ボギッ!!!!!』「ッッ!!!!?」

「━━━━えっ!!!?」

 

その時、鈍い音と共にシャルディアの左腕が曲がった。それは生物の関節が許す動きから大きく逸脱していた。

シャルディアの肘関節が、破壊された。

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