転生したらプリキュアだった件 ~助けてくれた女神様の世界をプリキュアになって守りたいと思います!~ 作:Yuukiaway
ブレイブは己の不運を呪っていた。本来ならばフォラスの分身、煌焔達に決定打を加え、シャルディアとニトルが合流した段階で勝負は決した筈だった。
しかしスキュアという別口の横槍の存在によってその未来は無念にも瓦解した。フォラスの分身は
*
フォラスの分身体は、今も膨張を続けていた。今やその全長はブレイブの身長を倍にしても尚届かないようにも感じられ、その頂部から四つの仮面が下卑た笑みを浮かべながらブレイブ達を見下ろしている。その四つの口からくぐもった笑い声が漏れている。
言うまでも無く、
「ふっふっふ、勇者よ。あの者を追わんで良いのか?」
「!? ニトルさんの事!?」
「其れ以外に誰が居る。あの血の気の多い娘と一緒にしておいて良いのか?
未熟で生意気じゃが腕の立ちそうな奴じゃ。あの者と二人きりにして置いたらならば彼奴、数分と経たん間に死ぬぞ?」
「ニトルさんが瞬殺されるって? そんな訳無いよ。
ニトルさんは私が勝つって信じて、あのスキュアって人を一身に引き受けたの!! だから私もニトルさんが勝つって信じてる!!!」
それはブレイブの混じり気の無い本心だった。
平気でシャルディアの命に手を賭けようとするスキュアという危険人物。ニトルは己の危険を顧みる事無く彼女と一対一で戦う事を決心した。
だからこそブレイブも決意を固めた。自分がシャルディアを守り、今度こそフォラスに勝利する と。
「━━━━━━━━ぶふっ
ぶわっはっはっはっはっは!!!」
「!?」
「貴様本気で言うておるのか!? あの小僧を信用じゃと!?
彼奴の事は儂が良く知っておる!! 儂の消化液に喘ぎ苦しむ事しか出来んかった軟弱な人間風情が奴じゃよ!!!」
「…………分かってないのはそっちの方だよ。ニトルさんは強くなってるの!!
私みたいに恵まれてる訳でも無いのに、次々に襲い掛かって来る困難に立ち向かう、そんな強さがあの人にはあるの!!!」
ニトルはそうではない。ブレイブのように選ばれた力を持っている訳では無い。彼には申し訳ないが、彼が単独でチョーマジンや敵と戦って勝てるかと聞かれたらとてもでは無いが首を縦に振れない。
ニトルの目に敵がどのように映っているのか、ブレイブには分からない。だと言うのに彼は臆する事無く彼等に立ち向かった。今日だけで何度もブレイブを救ってくれた。その雄姿にブレイブは敬意を表していたのだ。
彼の雄姿に、自分の為に危険な勝負に身を投じてくれた献身に自分も答えなければならない。そう自分に言い聞かせて、シャルディアの前に立って刀剣系
「つまらん信頼関係じゃな。じゃがしかし、其の信頼関係によって貴様の心が奮い立っておるのもまた事実じゃ。ならば儂も、今度こそ本気を出すとしよう!!!
行くぞ!!!」
『おう!!!』
「!?」
瞬間、フォラスの分身体、その身体に変化が訪れた。
それまで四つの色が混じっていた身体が黒く変色し、四つの仮面はドロドロに溶けて一つに混ざり合った。フォラスの身体に起ころうとしている変化が自分に不都合なものである事は明白だったが、ブレイブは下手に手を出さずにシャルディアの身を守る事に全神経を集中させる事を選んだ。
『勇者よ、今だから言っておくが儂は彼の日、貴様の心をへし折るつもりでいたんじゃよ!!』
「!?」
黒く変色したスライムから四つの声が混じり合って発せられる。『彼の日』とは言うまでも無く、ブレイブとフォラスが初めて出会ったツーベルクの朝の事だ。
『ガミラを打ち破って悦に浸っておる貴様の鼻っ柱をへし折ってやろうと思っていたんじゃよ!! あの小僧を貴様の目の前で食い殺してやる事でな!!!』
「!!!」
『それは叶わなんだが、遅かれ早かれこうなる事は決まっておったのじゃよ!!!』
『儂が
「!!?」
その時、それまで聞こえていた声が一変した。初老の男性のような声から、ブレイブより少し上、二十台ほどの女性の声が漆黒のスライムから発せられた。直後、フォラスの分身体の変化は完了した。黒い巨大なスライムが人一人程の大きさまで収縮し、流動性の肉体が固まった。
それは、一人の女性だった。その身体には人間の全身骨格を彷彿とさせる鎧を身に纏い、髪は透き通るような銀色で背中の所まで伸びている。そして、見開かれたその目は突き刺すような光を宿していた。
「此れが儂の奥の手じゃ!!!!!」
「……………………!!!
(まさか、今までの四人の合体………………!!?)」
「ば、馬鹿な……………………!!!」
「!!?」
背後から聞こえたその声にブレイブは振り返った。見えたシャルディアの顔は真っ青に染まっていた。
「シャルディアさん!? どうしたんですか!!?」
「何故、お前が此処に居る…………!!? リルゾール…………!!!」