転生したらプリキュアだった件 ~助けてくれた女神様の世界をプリキュアになって守りたいと思います!~   作:Yuukiaway

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437 謎に包まれた闇の能力!! ニトルvsスキュア 勃発!!! (前編)

「俺はあいつらに勝てない(・・・・)が、お前等を勝たせる(・・・・)事は出来る。」

 

これは風妖精(エルフ)の里への移動中、二日目の特訓を終えたニトルが蛍に言った言葉である。

その言葉に含まれた意味は即ち、『自分には単独でチョーマジンやヴェルダーズ達に勝てるだけの力が無い』という自分の弱さの認識と『だからこそ自分は戦ウ乙女(プリキュア)達の援護に専念する』という決意の表れが混在している。

 

そして今、ニトルはその言葉を実行しようとしている。

突如としてブレイブ達の前に現れたスキュアという刺客の相手を、自分一人で引き受ける事を決断した。体力が万全ではないブレイブと身体を負傷したシャルディアが助かる可能性を引き上げる方法はこれ以外に無いと確信していた。

しかし一方でそれは自分の身を危険に晒す行為であると他でも無いニトル自身が一番良く理解していた。自力では敵には勝てないと自分を分析しておきながらそれと矛盾する行為を取っているにも拘らず、一切の後悔も無かった。

 

*

 

場所は風妖精(エルフ)の里の小さな森の中。木々の間から差し込む僅かな陽光が二人の男女を照らしている。

ニトルは影妖精(スプリガン)の少女 スキュアと相対していた。その現実を認識すればする程に彼の精神は張り詰めて行った。スキュアの、自分の一生を何十倍にしても足りない程の時間、腹の底で燃え上がり続けた妖精族への憎悪が纏めて自分に向けられているように錯覚した。

数秒が数時間にも錯覚するような緊張の中、その静寂を破ったのはスキュアの声だった。

 

「……………お前、もしや私と同じ(・・・・)ではないのか?」

「!? どういう意味だ…………!?」

「顔にそう書いてある気がしただけだ。何かに強い憎しみを抱き、それが晴れないままこの場に居る。違うか?」

「!!

……………憶測で物を言わない方が良いぜ。」

「あぁ。確かに証拠は無い。

だがもしその通りなら笑い話だな。お前が私の邪魔をしようなどと。所謂同族嫌悪という奴か?」

「!!!」

 

スキュアの言葉はニトルの心の中で渦巻いていた疑念を確信の段階へと引きずり出すものだった。

ニトルには歪んだ宗教観故に差別されて両親を早くに喪い、その恨みをツーベルクにぶつけた過去を持っている。その事実を否定する気は彼には無い。その行為もブレイブと知り合う切っ掛けの一つだからだ。

そしてその復讐はフォラスの利己的な行為で阻まれた。ニトルは自分の計画を徒に潰し、自分の命さえも軽んじたフォラスを心の底から憎んだ。その思いは今も忘れてはいない。

 

そしてスキュアの言葉はニトルの深層心理の白日の下に晒した。

ニトルは今、スキュアの復讐を邪魔しようとしている。それは即ち自分が心の底から憎んだフォラスと同族になるという事である。彼にとっては決して許容出来ない屈辱だ。

スキュアの言葉がそのように変換され、ニトルに襲い掛かった。

 

(━━━━いや、そうじゃねぇだろ!!!)

 

ニトルは頭を振って脳内に浮かんだ言葉を振り払った。

自分が今やろうとしている行為はフォラスが自分にやった事と根本的に異なる。つい先程の自分の決意がそれを教えてくれた。

 

(決めたじゃねぇか!!! 俺はもう誰も憎んだりしねぇ!! 大切な奴等を死なせない為にこの力を使うってよ!!!

俺がこいつと戦うのはブレイブや族長さん達を死なせない為だ。自分(てめぇ)の欲を満たす為なんかじゃ断じてねぇ。俺はあのクソスライムとは違う!!!)

「……………何だその憑き物が落ちたような顔は。気に食わないな。」

「いや別に。お前のお陰で、お前と戦う理由がはっきりと分かったんだ。」

 

自分の胸中の整理が終わり、ニトルはより鮮明な思いでスキュアと相対する。自分はブレイブ達を守る為にスキュアと戦う。今はそれだけに全力を注いでいれば良い。

 

「お前は勘違いしてるぜ。確かに俺は人を恨んだ事がある。

けどお前の邪魔をする訳じゃねぇ。死んで欲しくない奴が居る、ただそれだけだ!!!」

 

その言葉と同時に、ニトルは攻撃を開始した。

スキュアの顔面の真横に火の玉を召喚し、即座に《転換之王(ベリアル)》の能力で入れ替わる。空中に浮いた状態で身体を翻し、スキュアに蹴りを見舞った。

 

『━━━━ガッ!!!』

「!!? なっ━━━━!!?」

 

ニトルの渾身の蹴りはスキュアには当たらなかった。顔面の前に出した腕一本で簡単に阻まれた。タイミングも角度も完璧に決まっていた筈の自分の攻撃がいとも容易く防がれた、目の前で広がるその事実にニトルは少なからず驚愕した。

 

(じ、冗談だろ!? こんな細い腕のどこにこんな力が━━━━!!?)

「勘違いしているのはお前の方だ。人間族と影妖精(スプリガン)の力の差をまるで分っていない。

お前など、私の《冥暗之神(エレボス)》を使うまでも無い!!!」

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