転生したらプリキュアだった件 ~助けてくれた女神様の世界をプリキュアになって守りたいと思います!~ 作:Yuukiaway
ニトルは失念していた。無意識に心の何処かで目の前のスキュアを少女として認識してしまっていた。目の前に立っているのは貧弱な少女などでは決してない。
「━━━━とは言え私に歯向かってきた見せしめだ。シャルディアの次はお前の足を砕いてやろう。」
(!!! やべぇっ!!!)
その言葉を聞いた瞬間、ニトルは青ざめた。スキュアはつい先程シャルディアの腕を、それも平然と破壊している。自分の足もこれからそうなると察知したニトルは咄嗟に退避した。
森の中に散乱していた木の葉の一枚と自分の位置を入れ替え、スキュアの能力の範囲外から逃れる。直後、木の葉の中心を走る硬い葉脈が力無い音を立てて折れた。
「……………………!!!」
「あの貧弱な蹴りを防がれた事が余程衝撃的らしいな。シャルディアを殺す事に意識を割いていなければお前の蹴りぐらい防ぐ事など造作も無い。
お前の
「!!」
スキュアの言葉を聞いてニトルははっとした。スキュアには自分の能力が知られているが、自分は彼女の能力を知らない。それは自分にとって極めて不利に働く。
ならば今の自分に求められるのは、スキュアの能力を明らかにする事だ。それが自分やブレイブ達を守る事に繋がる。
(そうだ。あいつがやった事を良く思い出せ。
まず、族長さんの影から突然現れて背中を刺した。そこから考えてもあいつの能力が影に関するものだってのは間違いねぇ。
だが分からねぇのはその後、族長さんの腕をへし折ったりブレイブを空中で止めたあの芸当だ。影に関する能力でそんな真似が出来るか? それとも、陰に潜むのは魔法かなんかでへし折る能力とは別?
……………クソッ!! 情報が足りねぇ!! こっちはバンバン手札を晒しちまってるってのによ……………!!
……………いや、まだある!! まだ見せてねぇ手札が……………!!!)
敵の能力の詳細が分からないという事は紛れも無い事実である。
しかし、自分にもまだスキュアに見せていない手札がある。そして同時に彼女の行動にある違和感があった事も理解していた。自分の考えが正しければ今から取る行動で彼女の何かが分かると、そう確信した。
「……………何を笑っている。自分の死ぬ運命でも悟って気が触れたか?」
「自分の死ぬ運命? そんなもん見飽きてる。
今は真逆のモンが見えてるよ。お前の能力を見破って勝つ。そんな運命がな!!!」
「!!?」
話に聞き入る事で生まれる一瞬の隙を突いて、ニトルは再びスキュアを攻撃した。
しかし今度は自分の身体による物理的な攻撃では無い。懐に隠し持った小型の爆弾を投げ付けた。ある時はツーベルクの教会を恐怖に叩き落とし、またある時はブレイブ達を窮地から救った側面を持つ爆弾。それがスキュアに見せていない手札だ。
常人なら不意にものを投げ付けられれば咄嗟に身を引いて躱そうとするのが普通の行動であろう。しかしスキュアは微動だにせず、唯徐に手をかざした。それはブレイブの動きを止めた謎の能力を使用した時にも見せた動きだ。
(やっぱりよけようとしねぇ。ならこれは、どうだ!!?)
「ッ!!?」
『ボゴォンッ!!!』「!!!」
スキュアの眼前で爆発が起こった。しかしそれは爆弾の爆発では無い。投げ付けた爆弾は今、ニトルの手の中にある。
ニトルは爆弾がスキュアに着弾する直前、後ろ手に発動させていた炎魔法の塊を《
スキュアは炎を避ける事も
「……………………!!!!」
「おうおう。辛うじてガードが間に合ったか。」
スキュアは伸ばしていた手を眼前に移動させ、ニトルの炎魔法を防いでいた。その表情は明らかに憤怒に歪んでいた。肉体的よりも精神的なダメージの大きい一発だった。
「貴様……………………!!!!!」
「おいおい、
それに今のではっきりと分かったぜ。テメェの能力の謎がよ!!」
「……………何だと?」
「お前の能力はやっぱり『影』だ。族長さんを背中から襲ったのも、腕をへし折ったのもな!!! お前は影を操って物をぶっ壊したり動きを止めたりしてるんだ!!
影は物の形に合わせて動く。だが逆に言や物と影の形や動きは一緒でなけりゃならない。だから腕の影を有り得ない方向に曲げれば腕は影の形に合わせて動き、へし折れる!! 動いてる物の影を止めれば物の動きも止まる!!
その証拠にお前は俺の炎を
「……………当たりだ。だがそれが何だというのだ。お前如きが能力を見切った所でどうするというのだ。」
「……………確かにな。けど俺がブレイブ達にこの情報を持って帰りゃ、お前の勝ち筋は消える!!!」
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ギリシャ神系
能力:自分の身体を影に潜ませる。
対象の影を操作し、実態を強制的に変形させる。