転生したらプリキュアだった件 ~助けてくれた女神様の世界をプリキュアになって守りたいと思います!~ 作:Yuukiaway
リルア・ナヴァストラとリルゾール=ミストルテイン。
魔人族の女性という共通点を持つ彼女等二人の年齢差は、人間の尺度に当てはめるなら二回りは離れている。その為、リルアはリルゾールを友人の娘のように扱い、それでいて有効な関係を築いていた。
そして今、その関係に土足で踏み込む人物が居た。その人物はリルゾールの墓を掘り起こし、その骨から遺伝子情報を盗み出して自分の力に変えた。その際に遺伝子に刻まれた記憶も読み取っている。
即ち、その人物は知っていたのだ。自分の行動が魔王リルア・ナヴァストラを激昂させるという事を。
***
キュアブレイブは、夢崎蛍は友人同然の関係性になっている筈のグラトニーに対して畏怖にも近い感情を抱いていた。それでも冷静さを保っていられたのは彼女の激昂の所以を理解し、心の底から納得出来たからだ。
リルゾールがシャルディアが知っている魔人族の女性という点から、リルゾールとリルアが親密な関係にあった事は容易に想像出来る。その彼女の尊厳をフォラスが踏みにじったとなればリルアが黙っている筈が無い。
それは、他でも無い
「━━━━ふっふっふ………………!!」
木に激突し、黒い流動性のスライムの塊と化したリルゾールの身体が再生する。顔面を殴られた衝撃が全く無かった訳では無いが、飽くまでその表情は笑っていた。というよりは寧ろ、故意にリルアの精神を逆撫でしているようにブレイブの目には見えた。
「━━━━最初に聞いておく。貴様、自分のやっている事が何を意味するのかは分かっているのだろうな。」
「当然じゃろう。此の娘は至高の逸材じゃった。じゃから儂が有効に使ってやっておるのじゃよ。
何より、こうやって貴様等の吠え面を見る事が出来るからな!!!」
「…………………そうか。ならば何も問題は要らんな。貴様のように悪を悪と理解して開き直る輩には遠慮なく力を振るえる。」
「口の減らん娘じゃ。分かっとらんといえば友情を侮辱したと抜かすじゃろうて!!」
グラトニーはこれから魔法を放つと言わんばかりに拳に魔力を溜める。その窮地を目の当たりにしても尚、リルゾールは笑みを崩さなかった。
「貴様こそ自分がやっている事の意味が分かっておるのか。自分が今どれ程仲間を危険な目に晒しておるのか!!」
「分かっていないのは貴様だ。言っておくがリルゾールの記憶だけで私の全てを知った気になっているならば思い上がりと言わざるを得んぞ。今の私には信頼出来る仲間が居る!!!」
*
キュアグラトニーはコキュートスと戦って
本来、
その直後に自分達に襲い掛かる筈だった攻撃の規模、そしてそれを平然と行った新たな敵の脅威性を直に体験したからだ。
『…………………………………!!!』
「哀レダナ、カイ・エイシュウ。分相応ニ龍ノ里デ武闘家同士鎬ヲ削ッテイレバ良カッタモノヲ。
貴様ハ下ニ就ク者ヲ見誤ッタノダ。仲間ヲ見捨テテ単独先行スル薄情者ノ下ニ就イテハナラナカッタノダ!!!」
コキュートスは機械じみた口調で目の前のカイを笑い飛ばした。その余裕が示す通り、カイの状態は満身創痍だった。
肩や足には厚く氷が張り、今すぐ対処をしなければ壊死してしまうかどうかという状態になっている。そこまで追い込まれている理由は二人の能力の相性にあった。
「分カッテイル事ハ一ツ、私ノ状況ガ圧倒的ニ有利ダトイウ事ダ。
貴様ノ隣ニ居ルソノ娘ハ眠ラセルコトシカ能ガナイ御荷物ダ。加エテ貴様ノ能力ヲ私ハ完璧ニ攻略出来ル。今ヤ貴様ノ勝機ハ完全ニ無クナッタトイウ事ダ!!!」
カイの隣に立っているリルアの妹、リズハ・ナヴァストラ。
彼女は対象を眠らせる能力を持っているが、逆に言えばそれだけである。彼女に戦闘能力が無い事は彼女自身を含めた誰もが事実として認めていた。
加えて、カイはコキュートスを前にして自分の
「……………的外れな事を連ねるな 冷え虫が。」
「何?」
「グラトニー殿は貴様より優先して対処すべき者が現れたと判断したから此の場を私達に
ラドのような者を金輪際出さない為に此の拳を振るう事こそ、私に相応しい力の振るい方だ!!!」
「ラド? 知ラン名ダナ。ダガソンナ事ハドウデモ良イ。
貴様ノ愚カサハ十分ニ分カッタ。ナラバソノ心意気ガ本物カドウカ確カメテヤロウ。心身ヲ氷漬ケニサレテモ尚、同ジ言葉ヲ吐ケルノナラナ!!!」