転生したらプリキュアだった件 ~助けてくれた女神様の世界をプリキュアになって守りたいと思います!~   作:Yuukiaway

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446 フォラスの悪魔的奥義!! リルゾール=ミストルテイン=タタルハザード!!! その⑧

リルゾールが繰り出した魔界樹究極魔法、ルベドはその脅威から風妖精(エルフ)の里を守り抜いた。しかし、全ての人間を無傷で救出できたわけではない。リルゾールの側で一騎打ちを繰り広げていた二人が魔法の二次的被害を被って、身体から血を流していた。

 

「………これ(・・)で分かったろ? あいつらはお前の味方でもなんでもねぇ!! 目的の為なら平気で誰でも殺すクズ野郎の集まりなんだよ!!!」

 

リルゾールの側で一騎打ちを繰り広げていたニトルとスキュア。彼女の放った魔法が身体を掠め、ニトルは左腕から、スキュアは右足から血を流している。しかし、誰かを糾弾する気は微塵も無かった。出血多量など、今すぐ処置が必要な重大な負傷ではないし、何よりあのまま何も起こらなければ自分は押し潰されて死んでいたに違いないからだ。

 

「………だからお前等の方に寝返れとでも言うのか? 私の目的はシャルディアの首だ。今更こんな希望の欠片も無い世にしがみ付く気は無い。」

「本気で言ってんのか? 今まさにお前を殺そうとしたそんな奴等とまだ仲良しこよししようってのか!?」

「仲良しだと? そんな事をする気は無い。あいつらが私にとって利用価値がある。それ以上でもそれ以下でもない。」

「……………!!!」

 

その言葉を、その表情を見て、ニトルはスキュアを説得する事は最早不可能だと理解した。

ニトルは自分を差別し、両親を死に追いやったツーベルクを、歪んだ信仰心を憎んだ過去がある。しかし蛍達に出会ってそれは変わった。彼女が自分に居場所を、復讐以外の生きる道を与えてくれたのだ。

ならば今度は自分が誰かにそうしたいと、ニトルは無意識の内に考えていた。目の前のスキュアも憎しみから救いたいと、そう思っての行動だった。しかし、それは不可能だったと理解した。目の前の彼女の心の闇は自分より遥かに強大なものであると理解させられた。

 

 

 

***

 

 

 

風妖精(エルフ)の里には決して生える筈の無い魔界樹の側で、その戦いは繰り広げられようとしていた。

かつての魔王リルア・ナヴァストラ兼、戦ウ乙女(プリキュア)キュアグラトニー。彼女の感情は今、一人のスライムに向いている。魔王の娘 リルゾールの遺伝子情報を身体に刻み込むスライムの分身体が彼女と相対していた。

グラトニーは親友同然のリルゾール、彼女の尊厳を踏みにじったリルゾール(フォラス)に対して激情を燃やしていた。対する分身体のリルゾールも、それを望む所だと言わんばかりの歪んだ笑みを浮かべていた。

 

 

「……………今から貴様を下す前に一つ聞いておく。シャルディアを傷物にしたのは貴様か?」

(!! そうだ!!)

 

グラトニーのその一言でブレイブはスキュアという脅威がまだ去っていない事、その脅威の存在を自分しか認知していない事を理解した。シャルディアの心臓の負傷と左腕の骨折、その事実もグラトニーの激情を奮い立たせている要因なのだ。

 

「ち、違うよグラトニー!! シャルディアさんを襲ったのはリルゾール(の偽物)じゃない!!

その、どこから言って良いか分からないんだけど、スプリガン!! 影妖精(スプリガン)の生き残りがこの里に居て、シャルディアさんに襲い掛かったの!!!」

「!!!? 影妖精(スプリガン)だと!!? そいつは今どこに居る!!?」

「えっと今は、ニトルさんが引き付けてる!! シャルディアさんの為に囮になってくれたの!!」

 

ブレイブはその後、その影妖精(スプリガン)の襲撃者がスキュアという少女である事と究極贈物(アルティメットギフト)の使い手である事を簡潔に話した。その説明が終わる頃にはグラトニーの表情は怒りでは無く憂慮の感情に曇っていた。

 

究極贈物(アルティメットギフト)の使い手か。それはあいつ一人では荷が重いな。

ブレイブ、こいつは私一人で相手をするからお前は他の所に行ってくれ!!」

「━━━━ふっふっふ………………!!!」

『!!!』

 

スキュアの情報の共有によって意識から外れかけていた、その当人のリルゾールが何度目かも分からない笑い声をあげた。話し込んでいた数秒の間に逃走するなり攻撃するなりが出来た筈なのにしなかった、その事実一つに余裕がありありと現れていた。

 

「どうした? 自分の天命を悟って気でも狂ったか?」

「天命を悟ったじゃと?そんな訳が無かろう。儂はフォラス()の分身体に過ぎん。譬え屠っても儂の遺伝子情報が失われる、それ以上でもそれ以下でもない。」

「分身体を作りすぎて自己同一性すらも失ったか。生物の理からも逸脱した哀れな魔物が。私が今からその呪われた生に引導を渡してやる。」

「何も分かっていないな。誰が貴様と戦うと言った。貴様と戦うまでも無く、此の里を壊滅させる方法が儂にはある!!!」

『!!?』

 

その瞬間、リルゾールは樹木から飛び出した。その方向はグラトニーでもブレイブでもない、全くの別方向だった。一見無意味で不可思議な行動に映るが、シャルディアはその行動の意図をいち早く見抜いた。

 

「リルア!!! そいつを止めてくれ!!!!」

「!!?」

「奴の意図が分かった!!! 《魔樹之王(ゴエティア)》の能力を世界樹に行使する気だ!!!!!」

『!!!!!』

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