転生したらプリキュアだった件 ~助けてくれた女神様の世界をプリキュアになって守りたいと思います!~ 作:Yuukiaway
「全力を出す……………? 何言ってんスか!? 今までは本気じゃなかったって言うんスか!?
いくら負けそうになってるからって子供じみた言い訳は止めて欲しいっスね!!」
全力を出すというディスハーツの発言を、レオーナは真っ向から否定した。その理由は今の彼に全力を出さない理由が無いからだ。
天運である事は否定できずとも、レオーナは自らの力でディスハーツを追い詰めている。自分を侮ってでもいない限り、今のディスハーツに全力を出して身を守る理由は皆無だ。
「貴方こそまぐれ当たりの一撃を成功させた程度で随分気分良くなっているようですね。
今迄
《
『!!!』
《
ケルギラ達の助太刀によって多少優位に立ち、己の拳を撃ち込む事が出来たとしてもディスハーツの力が弱まった訳では無い。刃物を自在に操る能力も当たれば人一人を軽々と消し飛ばせそうな
しかし、ディスハーツには何の変化も訪れなかった。
『……………………!!?』
「はっはっは!!! お前やっちまったな。こいつを完全にキレさせちまった。
こいつは感情の容量もデカい分出力もデカいタイプなんだ。もう指一本だって触れる事は出来ねぇぜ!!」
全力を出すと言いながら何もしてこない、ディスハーツの矛盾した行動にレオーナもハニも怪訝な表情を浮かべるしかなかった。それとは対照的にダクリュールはレオーナの敗北を予言する。それも攻撃を一発も当てられない完敗をだ。
「向かって来ないくせに何言ってんスか!!! 今度こそ終わらせてやるっスよ!!!!」
レオーナは弓を引き絞り、矢をディスハーツに向けて放った。幼少の頃から冒険者になるべく幾度も反復練習を繰り返したその動きは時間にして一秒未満。ディスハーツの反応速度を凌駕し、彼の心臓を狙って飛んで行く。
レオーナに殺害の意思こそなかったが、金属を押し固めて盾を作る暇も無くディスハーツの急所を一突きにする、筈だった。
「ッ!!!!?」
レオーナが放った矢は、ディスハーツの心臓の数センチ前で止まった。しかし、何かに阻まれたような動きではない。高速で飛んでいた矢が徐々にその速度を失い、やがてその速度を完全に失ったように見えた。それはまるで空に向かって投げたボールが重力に引っ張られて真上に飛ぶ力を失った、その瞬間のようだった。
「如何やら言葉足らずだったようですね。確かに貴方は強いと言いましたが、その殆どは女神からの借り物の力。貴方には戦闘経験が著しく欠如しているのですよ!!!」
ディスハーツに向けて飛んでいた矢は、最早彼に対する攻撃力を完全に失い、唯その場に浮かんでいるだけだった。重力という自然法則を完全に無視しているその現象を見て、レオーナはこの謎の防御こそが彼が言う全力、《
そしてその時点でようやく気付く。自分がディスハーツの新たな能力を分析する中でとある単語を連発している事を。それこそが彼の新たな能力の本質なのだという事を。
(重力………………!!? まさか…………!!!)
「さぁ、狩られる獣の気持ちを言う奴を学ぶ時間です。お返ししますよ!!!」
「!!!!」
声高に言い放ちながらディスハーツが指を振るうと、レオーナが放った矢が方向を転換し、彼女に向けて高速で飛来した。ディスハーツはレオーナの眉間を狙っていたが、急所への直撃は辛うじて避ける。しかし完全に躱し切る事は出来ず、鏃が彼女の左肩の肉を切り裂いた。
「ンガッ………………!!!!」
「!!!! ミーアちゃん!!!!!」
鏃の傷は深くは無くとも、レオーナの肩からは鮮血が滴り落ちる。その光景にハニは精神を動揺させ、叫んでいた。
しかし当の本人のレオーナは、その鋭い激痛が逆に功を奏して精神が冷静になり、ディスハーツの新たな能力を分析する事に意識を集中させる事が出来た。
そして今の現象で、彼の能力への疑念は確信に変わった。その確信を言葉にしてディスハーツへと向ける。
「………重力、っスね。あんたの能力……………!!!」
「おや。お気づきになりましたか。馬鹿では無いようですね。
ですが、それならば分かるでしょう。ダクリュールがもう私に指一本も触れる事が出来ないと言った言葉の意味も!!!」
*
ギリシャ神系
能力:自分の周囲の重力の方向を変化させる。