転生したらプリキュアだった件 ~助けてくれた女神様の世界をプリキュアになって守りたいと思います!~   作:Yuukiaway

452 / 518
452 ハニを襲う更なる試練!! ダクリュールとディスハーツ!!! その④

タキサイキア現象 というものが存在する。

或いは交通事故、或いは格闘技の試合、総称して極限状態に直面した時に時間の流れがスローモーションのように感じられる心理的な現象だ。

 

タキサイキア現象、という名称は蛍が元居た世界のものであるが、この世界においてもその現象自体は名付けていられなくとも存在する。今回、ハニ・ミツクナリに現れたのがそれだった。

元々星聖騎士団(クルセイダーズ)の隊長という事もあり、極限状態への耐性は付いていたと無意識の内に自負していた。今回の事が自分に起こった事ならば辛うじて最小限の冷静さを保っていられたかも知れない。しかしそうできなかったのは自分とは別の人間に危機が訪れたからだ。

 

タキサイキア現象により、ハニの視界に映るものや鼓膜に響く音は明確な情報となって彼女の脳へと伝わった。不幸だったのは頭の中で目の前で起こっている事が理解出来ても身体が付いて行かなかった事だ。行動を起こす事は疎か、言葉を発する事すら時間が許さなかった。

 

「━━━━ギャフッ!!!!!」

(!!!!! ミーアちゃん!!!!!)

 

紫色の樹木がキュアレオーナの脇腹を直撃した。それがハニが一番最初に認識した事実だった。

その直後、次々に様々な情報がハニの脳へと流れ込む。内臓がひしゃげる事による喀血。くぐもった苦悶の声。激痛に歪むレオーナの表情。その全てが非常な現実としてハニの脳裏を埋め尽くした。

 

『ズゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴッッッ!!!!!』

「!!!!?」

 

その音がハニを現実へと引き戻した。レオーナを襲った樹木が移動して来た方向に視線を送り、何が起こっているのかを理解した。

地平線の側に聳え立つ紫色の大樹。そして何本もの根が軟体生物の触手のようにうねり、そして津波のように襲い掛かって来ていた。レオーナを襲ったのは一本はほんの先鋒に過ぎない。真の地獄はここから始まるのだ と。

 

『バゴォンッッッ!!!!!』

「グガァッ!!!!!」

「!!!!!」

 

レオーナを襲った一本の根が、彼女を強靭な力で弾き飛ばした。

 

(ミ、ミーアちゃんを抱えて離れないと!!! その為にはこの二人を━━━━!!!!)

「おいディスハーツ!!! ずらかるぞ!!!」

「言われなくとも!!!」

「!!?」

 

レオーナを助ける為に最大の障害であるダクリュールとディスハーツが、真っ先に駆け出して謎の大樹の攻撃から距離を取ろうとしていた。それは即ち二人はその攻撃を行った者を知っているという事。仲間をも巻き込んで攻撃するような危険な敵が新たに現れたという事だ。

 

(な、何かは分からないけど、今はとにかくミーアちゃんを助けてこの場を離れる!!!)

 

背後で何が起こっているのか、天にも届くような不気味な大樹を一体誰が召喚したのか、疑問は尽きないがその一切を押し殺してレオーナを救出する事に専念する。残された体力を全て燃やし尽くす勢いでレオーナに駆け寄り、彼女を抱えて飛び上がる。横方向よりも上空への移動の方が効率的に逃げられると判断した。

 

「《軟化(クナリリース)》!!!!」

 

ハニは己の贈物(ギフト)によって片手に持っていた剣の刃を紐のように柔らかくさせた。その先端を森の木に巻き付けて遠心力によって飛び上がる算段だ。

聖騎士(パラディン)の立場と貴重な戦力としても、隊長の立場と守るべき少女としても、決してミーアを死なせてはならない。その為に出来る事は命を賭しても実行するという強い決意がハニを突き動かしていた。

 

「成程、そういうつもりですか。ならば、

重力之神(ネメシス)》!!!!」

『バゴォンッ!!!!』「!!!!?」

 

ディスハーツはハニの目論見を瞬時に見抜き、その策を文字通り潰した。

重力之神(ネメシス)》によって周囲に強力な重力を展開し、半径数メートルの木々を纏めて押し潰した。これによってハニの剣が引っ掛けられる対象が完全に失われた。

 

「グフッ!!

これでもう貴方はあの攻撃からは逃れられません!! ダクリュール、今度は貴方の番ですよ!!!」

「ケッ!! 調子良い事言いやがってよ!! 《大地之神(ガイア)》!!!」

「!!?」

 

ダクリュールの砂の鎧の肩の部分から翼竜(プテラノドン)の翼が生えた。ディスハーツがダクリュールの足を掴むと、ダクリュールはディスハーツごと飛び上がった。

 

(に、逃げられる!!!)

「はっはっは!!! じゃあなくっ殺聖騎士(パラディン)!! 死肉が残ってたら恐竜共の餌くらいにはしてやるよ!!!」

「!!!!」

 

ダクリュールの嘲笑がハニの精神に突き刺さった。しかしその精神は完全には折れてはいなかった。この場でダクリュール達は逃がしてしまうかもしれないが、ミーアを助ける事は最期の一秒まで諦めはしない。

身体を百八十度回転させて剣を構え、樹木の大群を迎え撃つ決意を固める。

 

(絶望なんか死んでからすればいい!!!!! 私も星聖騎士団(クルセイダーズ)の隊長なら最期の一秒まで職務を全うする!!!!!)

「《七星之剣(グランシャリオ)》!!!!!」

『!!!!?』

 

それは、ハニにとっては最も信頼を寄せる人物の、ダクリュール達にとっては最も危険視すべき人物の一声。その一喝と共にハニの眼前に迫っていた樹木が纏めて両断された。

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。