転生したらプリキュアだった件 ~助けてくれた女神様の世界をプリキュアになって守りたいと思います!~ 作:Yuukiaway
タキサイキア現象 というものが存在する。
或いは交通事故、或いは格闘技の試合、総称して極限状態に直面した時に時間の流れがスローモーションのように感じられる心理的な現象だ。
タキサイキア現象、という名称は蛍が元居た世界のものであるが、この世界においてもその現象自体は名付けていられなくとも存在する。今回、ハニ・ミツクナリに現れたのがそれだった。
元々
タキサイキア現象により、ハニの視界に映るものや鼓膜に響く音は明確な情報となって彼女の脳へと伝わった。不幸だったのは頭の中で目の前で起こっている事が理解出来ても身体が付いて行かなかった事だ。行動を起こす事は疎か、言葉を発する事すら時間が許さなかった。
「━━━━ギャフッ!!!!!」
(!!!!! ミーアちゃん!!!!!)
紫色の樹木がキュアレオーナの脇腹を直撃した。それがハニが一番最初に認識した事実だった。
その直後、次々に様々な情報がハニの脳へと流れ込む。内臓がひしゃげる事による喀血。くぐもった苦悶の声。激痛に歪むレオーナの表情。その全てが非常な現実としてハニの脳裏を埋め尽くした。
『ズゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴッッッ!!!!!』
「!!!!?」
その音がハニを現実へと引き戻した。レオーナを襲った樹木が移動して来た方向に視線を送り、何が起こっているのかを理解した。
地平線の側に聳え立つ紫色の大樹。そして何本もの根が軟体生物の触手のようにうねり、そして津波のように襲い掛かって来ていた。レオーナを襲ったのは一本はほんの先鋒に過ぎない。真の地獄はここから始まるのだ と。
『バゴォンッッッ!!!!!』
「グガァッ!!!!!」
「!!!!!」
レオーナを襲った一本の根が、彼女を強靭な力で弾き飛ばした。
(ミ、ミーアちゃんを抱えて離れないと!!! その為にはこの二人を━━━━!!!!)
「おいディスハーツ!!! ずらかるぞ!!!」
「言われなくとも!!!」
「!!?」
レオーナを助ける為に最大の障害であるダクリュールとディスハーツが、真っ先に駆け出して謎の大樹の攻撃から距離を取ろうとしていた。それは即ち二人はその攻撃を行った者を知っているという事。仲間をも巻き込んで攻撃するような危険な敵が新たに現れたという事だ。
(な、何かは分からないけど、今はとにかくミーアちゃんを助けてこの場を離れる!!!)
背後で何が起こっているのか、天にも届くような不気味な大樹を一体誰が召喚したのか、疑問は尽きないがその一切を押し殺してレオーナを救出する事に専念する。残された体力を全て燃やし尽くす勢いでレオーナに駆け寄り、彼女を抱えて飛び上がる。横方向よりも上空への移動の方が効率的に逃げられると判断した。
「《
ハニは己の
「成程、そういうつもりですか。ならば、
《
『バゴォンッ!!!!』「!!!!?」
ディスハーツはハニの目論見を瞬時に見抜き、その策を文字通り潰した。
《
「グフッ!!
これでもう貴方はあの攻撃からは逃れられません!! ダクリュール、今度は貴方の番ですよ!!!」
「ケッ!! 調子良い事言いやがってよ!! 《
「!!?」
ダクリュールの砂の鎧の肩の部分から
(に、逃げられる!!!)
「はっはっは!!! じゃあなくっ殺
「!!!!」
ダクリュールの嘲笑がハニの精神に突き刺さった。しかしその精神は完全には折れてはいなかった。この場でダクリュール達は逃がしてしまうかもしれないが、ミーアを助ける事は最期の一秒まで諦めはしない。
身体を百八十度回転させて剣を構え、樹木の大群を迎え撃つ決意を固める。
(絶望なんか死んでからすればいい!!!!! 私も
「《
『!!!!?』
それは、ハニにとっては最も信頼を寄せる人物の、ダクリュール達にとっては最も危険視すべき人物の一声。その一喝と共にハニの眼前に迫っていた樹木が纏めて両断された。