転生したらプリキュアだった件 ~助けてくれた女神様の世界をプリキュアになって守りたいと思います!~ 作:Yuukiaway
ダクリュールはハニを、戦闘能力こそ自分には及ばずともその精神力は目を見張るものがあると評した。
そしてその精神的主柱は己の生命の危険を目の当たりにしても揺らぐ事は無かった。自分の身よりも、自分より遥かに重傷を負っている
しかしそれでも、彼女の心の拠り所になる人間はいる。彼女が信頼を置く人間が居る。ハニを中心としたその場に居た全員の耳にその者の声が届いた。その声はある者には最高の、ある者には最悪のタイミングで響いたのだ。
*
「《
『!!!!!』
その声の主は様々な仮面を被る人物。
或いは
ルベド・ウル・アーサー
彼の己の力を行使する声が響き渡った。
『━━━━んぐぅっ……………………!!!!!』
「そ、総隊長!!!!!」
圧倒的な物量で自分達を圧し潰さんと迫って来る無数の木の根が、一瞬にして両断された。その光景にダクリュールとディスハーツは顔を歪め、ハニはその救世主の敬称を口から発していた。
その時の彼女の心にあったのは純然たるルベドへの感謝の意だけだった。人間は最悪の状況が改善すると更に上の好条件を求める悪癖があるが、今のハニにそのような邪な感情は無かった。しかし状況は絶対的に喜ばしいものでは無いという現実に立ち返る。腹部に攻撃を受け命の危機に陥っているレオーナへと駆け寄った。
「ミーアちゃん、大丈夫!!? ちょっと触るよ!!?」
「うぐぅっ!!!」
「!!!」
脇腹を軽く指先で触れただけでレオーナの表情が劇的に歪んだ。その事実がハニに状況は自分が思っているよりも悪いのだと理解した。
(この傷、さっきの一撃で下の方の肋骨が折れてる!! 下手したら折れた骨が肺に刺さってるかもしれない!!! もうミーアちゃんは戦えそうにない。私がこの場を切り抜けないと……………………!!!)
「!」
その時、ハニの肩に背後から触れる者が居た。振り向いて見えたのは自分の身の丈以上もある赤色の鳥、レオーナの
「な、何…………!? 今は時間が無いの。用があるなら早く言って!!」
「……………………」
「…………もしかして、喋れないの!? ミーアちゃん以外とは話せないとか!?」
ハニの推測を肯定するかのように、フェフミリアが長い首を縦に振る。レオーナ以外と言葉を交わす事は出来ないが、肉体言語を発する事は出来るのだ。
「そう、分かった。ごめん。
じゃあ私の質問に首を振って答えて。あなたはフェニックスだよね。それならミーアちゃんを治す事は出来ないの!?」
フェフミリアは首を横に振って「否」の意思を示す。彼女は先程、
「…………そう。じゃあ、私に何か出来ることは無い!? ミーアちゃんを助けられるなら何でもするから!!!
あっ━━━━!」
そこまで言い終えてようやく、ハニは自分の問い掛けが
「『守って』……………!?」
フェフミリアの足元に浮かび上がった文字は単純なものであり、ハニはその言葉の意図を理解出来なかった。
しかし視線を上げて見えたフェフミリアの姿を見て、その意図を理解する。満身創痍のレオーナを背負っている彼女の姿がそこにはあった。
「…………そういう事。分かった!!」
フェフミリアの胸中は以下の通りだ。
自分達がこの姿を保っていられるのはミーアがキュアレオーナに変身している間だけであり、変身が解除されると妖精形態のフェリオやヴェルドと同程度まで弱体化してしまう。その為、そうなる前に他の
誰かに
「━━━━何が分かったって? んなあからさまな作戦会議しといて、俺等が逃がすとでも思ってんのか!!?」
「全く、苛立ちを通り越して滑稽にすら思えてきますよ。あの一撃を受けた時点で既に、彼女の死は決まっているんですよ!!!」
「!!!」
フェフミリアは『守って』と伝えた。今、ハニ達の眼前にその脅威が迫っている。
その両目に明確な殺意を光らせたダクリュールとディスハーツが歩み寄って来ていた。