転生したらプリキュアだった件 ~助けてくれた女神様の世界をプリキュアになって守りたいと思います!~ 作:Yuukiaway
ニトルはスキュアとの戦いの中で、自分が錯覚していた事を理解した。その錯覚とは、自分は今の能力で十分ブレイブ達の役に立てているのではないか という事だ。
その思考に至った要因として、《
しかし自分が出せる全力を出し、思いつく限りの攻撃を全て繰り出しても尚 スキュアに有効打を与えられていない自体に直面し、ニトルは自分が無意識の内に成長する事を放棄していた事を、現状に満足してしまっていた事を理解した。
スキュアに自分の力で勝利する為には、今この場で成長するしかない。その恐怖と決意が入り乱れた名状しがたい感情がニトルの頭に渦巻いていた。
***
スキュア・ノックストランド
幼少の頃の彼女は優れた影魔法の才能を発揮し、それを磨く日々を送っていた。
そしてそれはシャルディアの実弟 ユリウスの迫害を受け、絶望に打ちのめされても変わらなかった。憎悪に身を焦がしても、否、心が憎悪に染まっていたからこそ、スキュアは片時も鍛錬を怠らなかった。
そしてその成果は、彼女に《
その誰もが編み出す事の出来なかった芸当を、スキュアは鍛錬した影魔法を組み合わせる事で可能としたのだ。
「・・・・・・・・・・・・!!!」
「どうだ? これが私が鍛え上げ、研ぎ澄まさせた影魔法の真髄だ。一先ず名を、《
スキュアが黒怨呪縛と呼んだ己の影を変形させて整形した十数本の漆黒の腕。その一本一本が殺意を持って自分に向いている事をニトルは感じ取った。
スキュアがそれを使うという事は即ち、《
「さぁ逃げ惑え!!!」
「!!!」
スキュアの
「くぅッ!!!」
影の腕を前にしたニトルの意識は回避に専念した。《
入れ替わって難を逃れたニトルが見たものは、影の腕の直撃を受けて粉々に砕かれる小石の姿だった。もし回避が間に合っていなければ自分の頭蓋がこうなっていたかもしれないと考え、背筋に冷たいものが走った。
(? あいつはどこに━━━━
!!! しまったヤベェッ!!!)
ニトルは攻撃の回避に成功した事で一瞬、精神の緊張が緩んでしまった。それが如何に危険な事なのかを、スキュアがそれまで居た場所に居ない事を認識した瞬間に理解した。
黒怨呪縛の他に、スキュアには影の中に潜り込んで自在に移動する能力がある。シャルディアの心臓を突き刺す際に使用されたそれが今、ニトルに向けられていた。
「はぁっ!!!」
「!!!!」
ニトルの予想通り、スキュアが影に潜り込む能力を使用して影の腕の中を渡り、最短距離でニトルへ襲い掛かった。体を回転させる遠心力を足に乗せて筋力と体重を全て叩きつけるような回し蹴りがニトルに直撃する。
『ズガァンッ!!!!!』
「!!!!! がはぁっ!!!!!」
スキュアの蹴りに踏ん張る事も叶わず、ニトルは吹き飛ばされ、森に生えた木の幹に背中から激突した。肺が押し潰され口から空気が吐き出され、背骨や筋肉に衝撃が激痛となって一気に走る。
「~~~~~~~~~!!!」
「ふふふ。唯の蹴り一発で地面に膝を着くとは無様だな。
いくら口が達者でも所詮は貧弱な人間だ。私ならたとえどんなに打ちのめされようとも地面に伏せたりなど決してしない。シャルディアの首を取るまではな!!!」
「・・・・・・テメェ一人の恨み辛みを美化させてくっちゃべってんじゃねぇよ!!!」
ニトルは確かにスキュアの攻撃を受け、地面に膝を着いた。しかしその戦意は終えてはいない。
スキュアの左後方に落ちていた木の葉と自分の位置を、《
『ガッ!!』
「!!?」
ニトルの攻撃はスキュアには届かなかった。スキュアは後方を見る事も無く、影の腕を悠然と動かしてニトルの拳を受けたのだ。
「ここ迄散々見て、お前の能力の程は十分に分かった。お前が入れ替えられるのは
加えて執拗に相手の死角を取ろうとする卑劣な癖。最早猿でも簡単に読める単調な攻撃だ!!!」