転生したらプリキュアだった件 ~助けてくれた女神様の世界をプリキュアになって守りたいと思います!~   作:Yuukiaway

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488 贈物(ギフト)と魔法の化学反応!? 入り乱れる影と爆炎!! その④

果たして魔法と贈物(ギフト)はどちらが上か。それは太古の昔から度重なる舌戦が繰り広げられてきた話題である。

魔法を支持する側は「魔力量と魔法陣の構築次第で誰でも何かしらのものを扱える」、その《汎用性》を、贈物(ギフト)を支持する側の主張は「発現した瞬間から刻まれた能力を行使できる」、その《利便性》を主張している。

 

長きに渡る討論の末、現在は贈物(ギフト)の方が優れているという主張が優勢に立っている。人間と、魔物などとの長い戦いの歴史の中で、贈物(ギフト)による討伐事例がその割合の多くを占めるようになったからだ。

それ故に現代の人々の間にはとある暗黙の了解が成立しつつあった。魔法は所詮、贈物(ギフト)の下位互換に過ぎない と。

 

 

 

***

 

 

魔法と贈物(ギフト)に関する暗黙の了解はニトルも知っている事だった。かつて冒険者として活動していた彼も贈物(ギフト)を以て魔物を薙ぎ倒す同業者の姿を度々目にしていた。

しかし今、彼がスキュアとの戦いに突破口を見出しているのは《転換之王(ベリアル)》ではなく、彼の人生を狂わせた炎魔法だった。

自分の身に起こっている変化が魔法によるものだという確信が、今の彼にはあった。その確信を持って、ブレイブに宣言した。

 

(・・・・・・・俺の立てた仮説が正しいとすりゃ、勝ち筋は見えてくる。あいつは自分の能力を魔法で使いやすくした。俺にも同じ事が出来るとしたら・・・・・・・!!!)

 

ブレイブがこの場に馳せ参じた以上、自分は彼女の援護に全神経を注ぐべきである。年長の男として情けないという自覚はあったが、それが仲間達の命を守る事に繋がるならば正しいというのがニトルの理だった。

しかし、その理を含んだ彼の宣言はスキュアの耳には極めて侮辱的に聞こえた。彼女にとってニトルは最早、敵意以外の感情を向ける道理の無い存在だった。

 

「・・・何だお前。今何と言った? 時間を与えれば、お前が誰に勝てるだと?

面白い!!! ならばその時間すら与えず、次の一撃でその勇者気取りの首を落としてやろう!!!!!」

『!!!』

 

瞬間、ニトルの視界からスキュアの姿が消えた。しかしブレイブの目は彼女の体が高速で上空に移動した光景を見た。

 

「こ、これは・・・・・・・!!!」

 

強化されたブレイブの動体視力は、スキュアが超高速で縦横無尽に自分の頭上を飛び回る光景を認識した。

しかし動きの残像が見えるだけでその動きへの対処は難しいと理解し、そしてスキュアがそれだけの速度を出せるのが信じられずに居た。

 

「ブレイブ、分かるのか!!? あいつは何をしてる!!?」

「な、何をって、物凄い速さで辺りを飛び回っているよ・・・・・・・!!!」

「そうか。ならそれも影の能力だ。それで自分(テメェ)の影を引っ張って無理矢理飛んでるんだ!!!」

 

ニトルの推論は当たっている。先程シャルディアの腕をへし折ったように、スキュアは自分の影の《位置》を移動させる事で高速移動を可能としているのだ。

無論の事、生物が速度を上げる為には相応の危険が伴う。物体が音速を突破する際には破壊現象が起こり、急速に方向転換すれば慣性と遠心力による負担が一挙に襲い来る。

しかしスキュアは長年に及ぶ鍛錬の末に、自分の肉体が崩壊しない速度の限界点を見付けていた。いつの日かシャルディアの首を取る為の執念の産物が今、ブレイブ達に向けられているのだ。

 

スキュアの体は加速を始めてから僅か数秒で、彼女に出せる最高速度に到達した。やがてブレイブ達の耳には、四方八方から響いてくる風切り音が飛び込んできた。

最早敵が今どこに居て、どこを狙っているかも分からなかった。しかしたった一つ、スキュアが全力で自分達の命を狙っている事だけは理解出来た。

 

「まずいよ、相手がどこから来るか分からない!! こうなったら《怠慢之王(ベルフェゴール)》で遅くするしか・・・・・・・!!!」

「・・・・・・・いや、その必要は無いぜ。」

「!!?」

「何の事かは分からねぇが、それが究極贈物(アルティメットギフト)だってんなら使わない方がいい。お前がさっきまで死ぬ気で戦ってたなんて事は一目見りゃ分かる。んな状態でこれ以上無理させられねぇよ。

それに遅くする(・・・・)必要なんてどこにもねぇんだ。あいつが速く動くってんなら、それを利用しない手はねぇよ!!」

 

ニトルはブレイブの体力を案じる事を言ったが、ブレイブの耳には荒唐無稽なものに聞こえた。スキュアは明らかに自分達の命を狙っている。今は無理をしてでもこの場を凌がなければならない状況だ。

 

「何より、さっきから言ってるだろ? お前を勝たせるのが俺の役目だってよォ!!!」

『!!!!?』

 

ニトルはそう叫んだ次の瞬間、大量の火の玉を魔力で形成した。それらはスキュアが飛び回っている、ブレイブ達を中心とした半球状の空間を覆いつくすように宙に浮かんでいた。ブレイブはこの現象に見覚えがあった。それは風妖精(エルフ)の里に訪問する前、ニトルがソフィアと戦った際に取った戦法だった。

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