転生したらプリキュアだった件 ~助けてくれた女神様の世界をプリキュアになって守りたいと思います!~   作:Yuukiaway

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489 贈物(ギフト)と魔法の化学反応!? 入り乱れる影と爆炎!! その⑤

ニトル・フリーマとソフィア・バンビエス。

この本来戦う理由など無い筈の二人が真っ向からぶつかり合った事は紛れも無い事実である。他でも無い蛍が、その戦いの目撃者となった。

無論の事、二人の間には確執も怨恨も無い。あったのは相手の能力を知り、力を試し合いたいという、血の気が多くも友情に溢れた精神だけである。しかし両者共に全く手を抜く気は無く、戦いの結果相手が多少傷を負っても構わないという心持ちで臨み、実際にそうなった。

 

多少の傷を負ったが、ニトルもスキュアもその事を一切後悔していない。その一番の理由は周囲に火球を展開するという戦法を実際に使用する事が出来た事にある。

その戦法によってニトルの《転換之王(ベリアル)》の能力はその拡張性を増した。その戦果を蛍やマキも高く評価している。

 

そして今、ニトルはブレイブの為に再びこの戦法を使用した。自分達の首を取る為に飛び回っているスキュアの行動範囲に合わせるように、正確に火球を展開した。

 

***

 

(これは、あの男の小細工か・・・・・・・!!)

 

自分の行動範囲に無数の火球が現れた事を、スキュアはいち早く認識した。スキュアはその火球が自分の行動範囲を制限する為に配置されたのだと考えた。

先程ニトルが指摘したように、火はスキュアの《冥暗之神(エレボス)》の影を操る能力で支配出来ない。火自体が発行しており、操る為の影が無い(仮にあったとしても、スキュアにはそれが見えない)からだ。

 

加えて、自分の周囲に無数の発光体がある事により、それに照らされるスキュアの影の位置も絶えず変化する。それによって高速移動を強制的に止めようという目論見もあった。

しかしその策の、少なくとも後者は失敗に終わった。ニトルが火球を展開しても、スキュアは依然として高速移動を続けていた。

 

(しかし下らないな!! この程度の凡策で私を止められるとでも思ったか!!?

他の者ならいざ知らず、私の影の場所は私が一番良く知っている!! この程度なら操るなど造作もない!!!)

 

無数に展開された火球の隙間を縫うように、スキュアの体は更に加速した。最早ブレイブの動体視力を以てしても、その移動しか視認出来ない程に速度を上げていた。

これだけの速度を乗せて放たれる次の攻撃が直撃すれば、ニトルは勿論の事ブレイブも無事では済まない。スキュアは虚勢でも何でもなく、次の一撃でこの戦いを終わらせるつもりなのだと理解した。

 

「ニトルさん、やっぱりまずいよ!! この攻撃だけは受ける訳には行かない!!!

せめて《堅牢之神(サンダルフォン)》でガードしないと━━━━

!!? な、何やってるの!?」

 

ニトルに防御策を提案しようと彼の方を見たブレイブは、途中で伝えるべき言葉を失った。ニトルが余りに戦闘にはそぐわない行動を取っていたからだ。

ニトルは頭部に布を巻いて、両目を塞いでいた。その時ブレイブは険しい表情を浮かべていたが、ニトルは対照的に口角を上げていた。次の一瞬に自分達の勝利を見たからだ。

 

「安心しろ。お前は死なねぇ。

お前は攻撃だけ考えてろ。次に俺が『今だ』と言ったら、全力で前に攻撃をぶっ放せ!!!」

「!!?」

 

*

 

ニトルが自分達の勝利を確信すると同時に、スキュアも全く同じ事を考えていた。

一見煩雑に配置されたように見える火球の中に、ブレイブ達を背後から(・・・・)一直線に狙える軌跡を見付けた。

その軌跡の起点に入った瞬間、己の影を引っ張る事で自らを限界まで加速させた。その手に影を練り固めた刃を生やし、ブレイブの項を狙う。

 

(この一撃で首を断ち切ってやる!!!!!)

「今だァ!!!!!」

「!!? 《刺突之神(アテナ)》!!!!!」

『ゴッ!!!!!』

『!!!!?』

 

ニトルの合図を聞いた瞬間、ブレイブは咄嗟に拳を前に放っていた。しかし空を切る筈のその拳はスキュアの顔面を捉えた。

 

『ズガァンッ!!!!!』

「!!!!!」

 

何が起こったか理解するよりも早く、ブレイブはその拳を振り抜いていた。自分の加速の勢いと《刺突之神(アテナ)》の能力を纏めて受けたスキュアは、為す術も無く殴り飛ばされて森の木に叩き付けられた。

 

「・・・・・・・・・・・・・・!!!!!

(い、一体何が・・・・・・・!!!!!)」

(な、何が起こったの!!? 私、入れ替わったの!?

ニトルさんが見えてない後ろに!!?)

『!!!』

 

意識が途切れ掛けたスキュアと自分に何が起こったか分かっていないブレイブ。二人は同時にニトルの方に視線を向け、彼に起こった異変を同時に視認した。

布で隠したニトルの両目が赤く光っていた。それは炎魔法を使った際の魔力だ。

 

(ほ、炎の魔力を両目に集中させてるだと・・・・・・・!!?)

「お前まさか、見えている(・・・・・)のか・・・・・・・!!?」

「応ともよ!! さっきお前がやってた事だぜ!!

もう俺の目に死角はねぇ!!! どこからでもお前の()がはっきり見えるぜ!!!」

 

ニトルの両目は布に覆われているが、彼の目には今、全方向の熱が見えている。

先程のスキュアと同様、ニトルは自分の魔法で贈物(ギフト)の拡張性を上げた。ニトルの《転換之王(ベリアル)》は今、死角という弱点を克服したのだ。

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