転生したらプリキュアだった件 ~助けてくれた女神様の世界をプリキュアになって守りたいと思います!~   作:Yuukiaway

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497 狙われた世界樹!! カーベルとグラトニーの防衛戦!!! (矜恃)

風妖精(エルフ)の里を救う戦いは、リルゾールの圧倒的優位で佳境を迎えていた。リルゾールが持っていた《魔樹之王(ゴエティア)》の能力が世界樹に完全に作用するまで、後三十秒を切っている。

万が一にも世界樹が魔界の植物に変えられてしまえば、シャルディア達妖精族の生活は完全に崩壊する。その先に待っているのは遠からぬ絶滅だ。

 

(止める!!!! お前等にこれ以上この里を好きにはさせない!!!!!)

 

親友シャルディアの生命を文字通り成立させている世界樹を守り抜く。グラトニーの意識はその一点に集中していた。

両手を前方に突き出して残る体力を全て注ぎ込み、放出する構えを取る。

 

(リルゾールの姿を取っているからどうかなど、最早関係無い!!!

あいつも所詮はスライムだ!!! ならば細胞も残さず魔力で消し飛ばせば生きていられる道理は無い!!!)

 

フォラスの狡猾さはブレイブ達から聞かされてグラトニーも理解している。そして今、フォラスの本体は風妖精(エルフ)の里から逃げ果せている。ならばリルゾールの分身体を倒しても本体(フォラス)には届かないだろう。

しかしそれは今問題では無い。《魔樹之王(ゴエティア)》の能力を世界樹から遠ざける。それ以外の思考は全て脳内から追いやっていた。

 

「甘い!!!

魔界樹究極魔法 《クリフォトの目覚め》!!!」

「!!!?」

 

リルゾールの、世界樹に触れていない方の手から紫色の木の根が数本放たれ、グラトニーの両手を弾き飛ばした。

魔法の狙いがリルゾールから逸れ、数秒の隙が生まれた。それは風妖精(エルフ)の里を崩壊に近付ける数秒だった。

 

(詠唱破棄によって魔法を最短、最高率で━━━━!!!)

「其処で指を咥えて見ていろキュアグラトニー!!!

此の里の象徴を貴様の故郷と同じものにしてやろうと言うておるのじゃ、嬉しくない筈がなかろう!!?

 

魔王リルア・ナヴァストラにとってはな!!!!!」

「!!!!!」

 

それは、戦ウ乙女(プリキュア)キュアグラトニーの心の中に燻っていた自尊心を露呈させる言葉だった。

自尊心という、彼女の精神の根幹を支えている感情を剥き出しにし、その上で爪を立てるようなその言葉はグラトニーの感情を揺り動かし、一気に沸騰させた。

しかし、その憤怒の感情がグラトニーの行動に反映される事は無かった。それをするよりも早く、グラトニーはより重要な事を自覚出来たのだ。

 

(━━━━!!!

あ、そうか。そうだったのか。やっと分かった━━━━!!!)

 

水が沸騰すると清潔で不純物の無い水が得られるように、感情が臨界点を超えて沸騰したからこそ、グラトニーは自分の心の奥深くに眠っていた感情を自覚する事が出来た。

何故自分がリルゾールの言葉に心から憤慨したのか、その原因が何なのか。それを理解したが故にグラトニーは、否、魔王リルアは己の中の感情の名を理解する事が出来た。

 

(これは『未練』だ。私は昔の『魔王リルア・ナヴァストラだった』という嘗ての栄光にしがみついていたんだ。

今まで今の私と昔の自分を比べていたのは、その所為だったんだ。だからこそその度に焦り、苛立ち、怒っていたんだ。)

「━━━━?」

 

リルゾールは確かに、グラトニーの表情が憤怒の一色に染まるのを見た。しかし次の瞬間には、まるで憑き物が落ちたかのように落ち着き払った表情になった。

その手の平を返すような表情の変化に、リルゾールの表情は怪訝の一色に染まった。

 

(だがそれは全て間違った感情だ。失った物にしがみついていても、何も得られはしない。何よりリズハは私の側で生きてくれている。

それに今の私には新しく得たものも数え切れない程ある。ホタル、カイ、ミーア。他にも色々。戦ウ乙女(プリキュア)になってからの時間も、私にとっては尊いものに違いない。

 

ならばもう、失った物に意識を割く必要など無い。今の私に残っているもの、新しく得たもの。それだけを考えろ。)

「━━━━!!? 何だ? 手が━━━━

!!! まさか━━━━!!!」

 

瞬間、グラトニーの手から光が発生した。リルゾールは、否、フォラスの細胞に刻まれた記憶は、その現象を既に記憶していた。

それはツーベルクでの一戦にて、キュアフォースが発現させた光。それと共に、彼女は新たな究極贈物(アルティメットギフト)を得た。

 

(キュアフォースと同じものを、奴が今、此処で━━━━!!!!!)

「下衆なスライムよ!!! しかとその目に焼き付けろ!!!

私はもう、嘗ての魔王の称号に未練など残さない!!! 私は戦ウ乙女(プリキュア)、《キュアグラトニー》だ!!!!!」

「!!!!!」

 

その言葉と共に、グラトニーの手に握られていた光の塊が変形し、長く伸び、そして姿を変えた。

グラトニーの手に握られていたのは槍だった。紫色の長い柄と赤く鋭い刃を携えた槍。それが彼女の新たな究極贈物(アルティメットギフト)だった。

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