転生したらプリキュアだった件 ~助けてくれた女神様の世界をプリキュアになって守りたいと思います!~   作:Yuukiaway

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50 私は完全アウェー!? 波乱の幕開け 武道会!!

3日なんてあっという間だ。

夢崎蛍はこの状況によってそれを思い知らされた。

 

彼女は今 龍神武道会の予選会場に来ている。

そこは本戦と同じ会場で、大きなドームの中に闘技場があり、周りを観客席が囲んでいた。

 

『さぁさぁ皆様!!! 大変長らくお待たせしました!!!!

ただ今より、この龍神武道会 予選を行いたいと思います!!!!』

 

観客席近くの実況席で、役員のような服装の眼鏡をかけた男が観客を盛り上げる。

 

『この龍の里の一大イベントにしてこの世界で武を歩む者なら誰もが夢を見る晴れ舞台!!!

我こそはと名乗りを上げた者達、

 

ここに集う戦士達、これより行われる龍の里 名物 玄武瓦40枚割をこなした者だけがトーナメントに出場し、龍の里、否 この世界の頂点が決まります!!!!』

 

数えた所 60人くらいは居るだろうか。

 

『では、これより予選を始めたいと━━━━━━━━━━━━━』

「待ってもらおうか。」

「!!!?」

 

観客の声を遮って1人の男が手を挙げた。

 

『あ、あなたは━━━━━━━━━━』

 

手を挙げた男は全身が茶色の毛に覆われた豚のような顔をした男だ。

 

「私はこの予選に1つ 疑問を訂したい。」

『か、彼は予選参加者の1人、シーホース・コール選手の付き人として、そして過去にこの龍神武道会で活躍を見せた格闘家、』

「そう。ゲルドフ・ヨウだ。」

 

彼の存在を知った観客席から少しとはいえ歓声が起こった。

 

「何?あの人凄いの?

ハッシュ君 知ってる?」

「さぁ。そう言うのはよく知らないからね。」

 

『ゲ、ゲルドフ選手、一体何を疑問に……?』

「そうだ。聞いたところによるとこの予選を免除した選手が居るそうだな?」

『は、はい。確かに1人』

「ホタル・ユメザキ。人間族の

 

少女。そう、君だそうじゃないか。」

「えっ!!!?」

 

ゲルドフは蛍に視線を送った。

 

「ここはこの世界で最も強い格闘家を決める場所だ。そこに女が、ましてや予選を免除して出場するなどと、私には到底 納得がいかない!!!

それに このような事を認めるなどというのは、この世界の全格闘家の名折れだ!!!!」

 

ゲルドフにそこまでの説得力があるのか、観客席からは蛍に疑問を持つ声も聞こえ始めた。

 

「……では、」「?」

「どうすれば納得してくれますか?」

 

ゲルドフに言いよったのはハッシュだった。

 

「お前は?」

「僕はハッシュと言います。彼女、ホタル・ユメザキの付き人としてここに来ました。

少しながら格闘術の心得もあります。」

「ほう?格闘術を?

だったらこうしよう。 私と君がここで立ち会う。そして君が勝ったなら彼女の出場を認めようじゃないか。

それに その方が大会も盛り上がるだろ?」

「………いいでしょう。」

 

その会話に観客席は大熱狂した。

 

 

***

 

 

『たった今 皆様に発表したように、

シーホース・コール選手の付き人 ゲルドフ・ヨウ氏がホタル・ユメザキ選手の予選免除の本戦出場を不服として、彼女の付き人 ハッシュ氏との対戦を申し出てました!!!

そしてこの希望を、ハッシュ氏は快諾しました!!!』

 

ハッシュと獣人族の男は会場で対峙している。

 

『ここに、かつての拳闘士 ゲルドフ・ヨウvs(たい)ハッシュ

特別試合が実現の運びとなったのです!!!!』

 

観客席は盛り上がりを見せた。今日のところは人が瓦を割るだけだと思いきやかつての拳闘士と未知数の少年というドリームマッチが見れるとなれば納得がいく。

 

「ハッシュ君、大丈夫かな…………

あんなこと言っちゃって…………」

「ハッシュは蛍のために闘ってくれるんだファ!信じなきゃダメファ!」

「…… そうだよね…………。」

 

 

「ハッシュ君、だったな。君はいくつなんだ?」

「僕は16、彼女は14です。」

「私は君らの数えで41ってところだが、まだまだ衰える気は無い。

 

ところで、この試合の行く末 おさらいしておくか?」

「僕が勝ったら彼女の本戦出場を黙認する。あなたが勝ったらちゃんと予選を受けさせる でしたよね?

仮に僕が負けても彼女が予選をちゃんとこなしたら、本戦には出れるんでしょ?」

「当然だ。むしろ胸を張って 出てくれて構わない。ただし、勝ち上がれるとは思えんがな。」

 

ハッシュの表情は変わらないが、内心穏やかではないだろう。

 

「これから立ち会う訳だが、先に叩いて欲しい。」 「?」

「我が一族に伝わる武術

その実態は、筋肉と脂肪の共存を旨とする。」

 

本来は必要最低限の量 以上を持つことを避けるべきとされる脂肪分。

ゲルドフの一族はその脂肪分と筋肉をバランス良く体に取り込むことで、筋肉だけでは持ちえない耐久力をその身に宿すことに成功した。

 

ゲルドフ・ヨウはかつての龍神武道会もその肉体で勝ち上がってきたのだ。

 

「試合なら観客を楽しませねばならん。そうだろ?

遠慮は要らん。存分に叩き尽くし給え!!!!」

『では特別試合 始めてください!!!!』

 

ゲルドフはそう叫んで身構えた。

 

「じゃあ、お言葉に甘えて…………」

 

ハッシュは意に返さずにゲルドフに近づき、そして腹に拳を密着させた。

 

「………愚かな。」

「!!?」

 

究極贈物(アルティメットギフト) 拳闘之王(ヘラクレス)が発動しました。

究極贈物(アルティメットギフト) 武将之神(スサノオ)が発動しました。』

 

ボッッ!!!!! 「!!!!!」

 

ハッシュの拳から放たれた衝撃がゲルドフの腹を貫通し、吹き飛ばした。

その大柄な身体は一直線にドームの天井に激突した。

 

「………こんなもんか。これならまだチョーマジンの方が骨があった

……ってそりゃそうか。」

 

『……つ、強すぎるぞハッシューーー!!!!

あの名拳闘士 ゲルドフ・ヨウを一撃の下に屠り去ったァァァーーーーー!!!!!』

 

観客席から驚きと熱狂が巻き起こる中、

 

 

(え、えぇーーーーー!!!!!

ハッシュ君 やり過ぎだってェーーーー!!!!)

 

と、蛍は驚愕していた。

 

『こ、これによって彼女、ホタル・ユメザキ選手の実力は証明されました!!!

彼女の活躍に溢れんばかりの期待が寄せられるでしょう!!!!!』

 

観客の大熱狂を一身に受けて、プレッシャーに押しつぶされそうになりながら蛍は涙目で微かに思った。

 

帰りたい と。


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