転生したらプリキュアだった件 ~助けてくれた女神様の世界をプリキュアになって守りたいと思います!~ 作:Yuukiaway
殲國の口から『屍』という文言が出た瞬間、ブレイブは今自分が死地に立っている事を改めて理解させられた。
無論の事、今までの敵も確かにブレイブ達の命に狙いを定めて攻撃をして来た。現実に命の危険に瀕した事も一度や二度では無い。
しかし今ブレイブの前に立っている殲國の気迫はそれまでの者とはまるで質が違っていた。ダクリュールやガミラが剥き出しの殺意と仮定するならば、殲國のそれは内側で凝縮された殺意と言えるだろう。
「此の近辺に、
遠慮する気は無い。此方から征くぞ。」
「待てぇッ!!!」
『!!?』
ブレイブの後方から野太い声が張り上がった。振り返ると、避難していた妖精族の前に立ち塞がる者が居た。
(あの人は確か、
その男の名はユージーン・ウルガニア。シャルディア直属の、
「貴様、名をせんごくと言ったか!?
貴様も今日の一連の事件に加担しているのだな!!? 神聖な大精霊降臨祭を狙うその卑劣、万死に値するぞ!!!
そこから一歩でも歩を進めればこのユージーン・ウルガニアが容赦せん!!! 罪無き彼等には指一本触れさせんぞ!!!!!」
「良く舌の回る男だ。私を止めたくば言葉では無く実力で止めて見せろ。」
その言葉を言い終えた瞬間、殲國は足を前に出した。それが彼我の開戦の合図だった。ユージーンは炎属性の魔力を全開にし、殲國に向かって一直線に駆け出した。
「だアアアアアアアッッ!!!!」
「!!! ま、待って!!!」
棒立ちの殲國に対し、魔力を全開にしたユージーンが自分の射程距離に入った。にも関わらず、ブレイブの目にはまるでユージーンが罠に掛かった小動物のように見えた。ユージーンの名誉に関わるかもしれないが、そう例えられるだけの予感がブレイブを襲ったのだ。
そしてその予感は即座に現実のものとなる。
『━━━━キンッ』
「ッッッ!!!!?」
「!!!!!」
殲國の右手が一瞬
「━━━━ガッ!!! ウグアァッッッ・・・・・・・!!!!!」
「ほう。首を切り落とすつもりで放った一太刀だったが、咄嗟に腕を前に出して防いだか。
だが小手調べは済んだ。
腕を落とされたユージーンは苦悶の表情を浮かべて地面に倒れ伏した。それを見た殲國は半ば満足気に懐から鍔の無い小刀、所謂《匕首》を取り出した。
その刃には血が付着していた。その血が、先程ユージーンの腕を落とした凶器である事を示していた。
(ば、馬鹿な!! あんなナイフ大の刃物で俺の腕を・・・・・・・!!?)
「・・・・・・・お前、名をユージーンと言ったな。実力こそ及ばないが、此の私に物怖じせず向かって来た其の気概だけは賞賛してやろう。」
殲國はそう言ったが、敗者に向ける賞賛の言葉は時には何よりも耐え難い侮辱の言葉になり得る。ユージーンは己の不甲斐なさに奥歯を噛み砕きそうになった。
しかし即座に、そんな事をしている場合では無いと思い直す。殲國の意識が自分の後ろに居る、非力で怯える事しか出来ない一般市民に向いていると気付いたからだ。
「其れに比べてお前等は、此の男の側に居れば安全だと高を括っていたのだろう。其の無力、思い上がり、命をもって償わせなければなるまい。」
「!!! よ、止せ!!!!!」
ユージーンの静止も虚しく、殲國は地面を蹴り飛ばしてテント下の一般市民との距離を詰めた。その表情には相手を確実に葬り去るという執念がありありと現れていた。
「ヒッ━━━━!!!!!」
殲國の凶刃が向いたのは一人の
『━━━━ガァンッッッ!!!』
「! ほう・・・」
殲國の刃が少年の頭部に命中する事は無かった。二人の間にブレイブが割って入り、《
「やぁッ!!!」
『ガァンッ!!!』
ブレイブは腕を振り上げ、殲國を弾き飛ばした。その表情は今や激昂の一色に染まっていた。ユージーンの腕を切り落とし、無抵抗な少年に刃を向けた殲國への怒りは今や臨界点を超えていた。
しかしそれでいて、強さの底が見えない殲國への警戒心が辛うじて冷静さを与えていた。
「・・・・・・・子供だよ・・・・・・・!!!!!」
その一言が、怒りと警戒が綯い交ぜになったブレイブの口から辛うじて出た一言だった。
「見れば分かる。」
「!!!」
「念押しした筈だ。
私達は妖精族に敵対する意思はない。だが
其れも大言壮語だと思っていたならば尚の事、其の思い上がりも纏めて切り伏せるまでだ。」