転生したらプリキュアだった件 ~助けてくれた女神様の世界をプリキュアになって守りたいと思います!~   作:Yuukiaway

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515 風妖精(エルフ)の里を突き刺す妖刀!! 悪鬼羅刹 殲國!!! (奈落)

自分以外の四人の戦ウ乙女(プリキュア)の登場。ブレイブがその光景に目を見開いた理由は偏にそれが起こるという見込みを無意識の内に想定から排除していたからである。

今倒れ伏している自分がそうであるように、極彩色解呪(エターナル・ヒーリング)を使った代償は彼女達の体にも深くのしかかっている。

 

本来ならば彼女達は戦う事は疎か、自分の両足で立っている事すらままならない状態の筈なのだ。そしてその予測は即座に証明される事になる。

 

「━━━━ガフッ!!!」

「!!!」

 

グラトニーが突如、顔を顰めて喀血した。彼女は四人の中で一番消耗が激しかった。自分の力でここまで来るだけでも、相当な体力を消耗したと推測出来る。

 

ブレイブの推測は無論当たっていたが、当のグラトニーを含めた四人は自分達の状態を意に返していなかった。

ブレイブの前に立っている得体の知れない和服姿の男という脅威。彼の前で蹲っている、左腕を切られたユージーンの姿が男の残虐性と冷酷さを何よりも雄弁に物語っている。

 

「・・・・・・・・・戦ウ乙女(プリキュア)が揃い踏みか。万全の状態なら兎も角、バサラに消耗させられたお前達を潰した所で武勲にもならない。

だが、其れでも潰しておく意義はある。お前達に関わる者全ての心を折る為にはな!!

 

奈落之王(タルタロス)》!!!」

『!!?』

 

殲國は拳を合わせると同時にその究極贈物(アルティメットギフト)の名を叫んだ。

直後、殲國の両拳の間にどす黒いエネルギーの塊が発生し、周囲の空気が引き込まれていくようにブレイブ達の目には見えた。

 

一瞬でユージーンの左腕を落とし、素手で刀剣系を構えたブレイブを圧倒した。その殲國が究極贈物(アルティメットギフト)を使い、果たしてどれ程の攻撃が行われるのかとブレイブ達は身構えた。

しかし直後、その場に起こった現象は意外なものだった。

 

「うあああっ!!?」

「何だぁッ!!?」

 

簡易避難場所の奥の森の中から聞こえて来たのは男達の戸惑いの声だった。直後に目に飛び込んできた光景にブレイブ達は目を見開いた。

森の中から出てきたのは、カイやニトルなどの戦ウ乙女(プリキュア)の仲間達、ダクリュールやコキュートスなどのヴェルダーズの配下達、更に星聖騎士団(クルセイダーズ)風妖精(エルフ)の里の妖精族達も居た。

 

その全員が、まるで砂鉄が磁石に為す術もなく引き寄せられるように、殲國の居るこの場へと引きずり出されたのである。

 

*

 

奈落之王(タルタロス)

ギリシャ神系 究極贈物(アルティメットギフト)

能力:自分の周囲に居る生物を自分の方へ引き寄せる。

 

*

 

殲國の後方に、これまで里の各所で死闘を繰り広げていた人物達が、敵味方を問わず一堂に会している。

殲國の意図は何か、この次に何をしようとしているのか。体力を軒並み消耗して指一本動かせないブレイブは恐怖と不安に駆られた。

 

ブレイブが一番に察知し、そして彼女から伝播する異様な雰囲気に包まれる状況下で、一番に口を開いたのはダルーバだった。

 

「殲國さん! ・・・・・・・・・って事は」

「あぁそうだ。バサラは負けた。

今この時より、私が戦ウ乙女(プリキュア)共に引導を渡す。お前達の役目は終わった。撤退しろ。」

 

殲國が口にしたのは撤退命令だった。状況や言葉を額面通りに受け取るならば、村中に散っている仲間達に効率的に指示を出す為の《奈落之王(タルタロス)》の使用という事になるが、ブレイブにはそれだけが真実には思えなかった。

その撤退命令にダクリュールが言葉を返した。

 

「おいおい、いくら何でもそりゃねぇだろ殲國さんよォ!! いきなり現れて漁夫の利掻っ攫うような真似は!」

「黙れ。バサラという戦力まで引き連れて敵の首一つ取れないお前達が悪い。寧ろ其の尻拭いをしてやると言っているのだから感謝しろ。」

 

殲國は厳格な表情と口調でそう言ったが、当のダクリュールはにやけた笑いを浮かべていた。

口から出た言葉は冗談交じりの軽口で、自分が撤退する事に何ら疑問は無く、そして殲國が勝利する事を信じて疑わない様子だった。

 

「━━━━待て、このまま逃がすと思ってんのか。好き放題暴れてくれたお前達をよ・・・・・・・・・!!」

「そうッスよ!! ホントなら今日は里の皆にとって大事なお祭りの日だったんス。それを台無しにしておいて、これ以上好きにはさせないッスよ!!!」

 

ダクリュール達の撤退を阻止すると、フォースとレオーナは宣言した。その言葉に乗っていたのは慢心などでは無い。

彼女達も自分の体力が底を尽き、戦える時間は僅かしか残されていないと理解していた。しかし信念と気力で殲國に向き合っている。

 

「何度も言わせるな。私達は妖精族がお前達に加担しようとしたから始末しに来たのだ。

其れでも主張を変えないと言うならばこうするとしよう。こいつ等を止めたくば、私を殺してから行け。お前達全員でな。」

『!!?』

 

ダクリュール達が撤退し、孤立無援になる事が明らかとなっている状況下で、殲國は不敵に宣言した。

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