転生したらプリキュアだった件 ~助けてくれた女神様の世界をプリキュアになって守りたいと思います!~   作:Yuukiaway

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516 風妖精(エルフ)の里を突き刺す妖刀!! 悪鬼羅刹 殲國!!! (惰弱)

殲國は明確に、グラトニー達戦ウ乙女(プリキュア)に『一斉に掛かって来い』と言った。戦ウ乙女(プリキュア)の力量を知る者ならば、その宣言が如何に無謀なものかを理解できる筈だが、ブレイブの耳にはそれが虚勢やハッタリの類には聞こえなかった。

無論、グラトニー達の事が頼りないと考えていた訳では無い。寧ろこの場において彼女達以上に頼れる助力など片手の指で足りるだろう。

それを理解した上で、殲國の背中にこれからグラトニー達を完膚無きまでに叩き潰すと確信させる気迫めいたものを感じ取った。

 

『・・・・・・・・・!!!』

「どうした? 一度も拳を交えるまでもなく私に怖気付いたか。それとも、今頃になって(・・・・・・)集団で一人を相手にする事に気が引けているのか。」

「何!!?」

「仮にそうならば笑止千万と言う他無い。先程のバサラの時も、魔法警備団の時もアルカロックの時も、往々にしてお前達は集団(・・)で戦ってきただろう。」

 

警戒を全面に押し出すグラトニー達に対し、殲國は淡々と言葉を連ねる。その膠着状態に痺れを切らし、フォースが口を開いた。

 

「何が言いてぇんだよテメェ!!?」

「分からぬか。ならばはっきりと言ってやろう。自分の命の拠り所を他者に置くのは愚鈍者のする事だ。お前達はそれを寄せ集めた煮凝りのような惰弱の群衆だと言っているのだ。」

『!!!!?』

「特にキュアブレイブ、お前は其の見本市だ。

考えても見ろ。魔王ギリス、勇者ルベド、キュアカーベル、そいつらが助けていなければ、お前は何回死んでいた? お前はまるでか細い一本の縄を渡るように、運と偶然だけで生き残ってきただけの愚者だ。誇れる要素など何処にも無い。」

「!!!!!」

 

殲國の言葉はブレイブの心の、核とも言える部分に深々と突き刺さった。ブレイブはこれまで、何度も命の危機を救われている。特に魔法警備団本部では、ギリスの胸に深い傷を負わせ生死の境を彷徨わせた事実がある。

 

「そ、それは・・・・・・・・・!! だから私はルベドさん達を・・・・・・・・・!!!」

「勇者ルベドやシャルディアを助け、恩を返したと言いたいのか。其の程度の事でお前の脆弱さは雪がれん。

第一、私はお前個人の話をしているのであって恩云々の話をしているのではない。そんな物は自分を誤魔化す為の論点ずらしに他ならない。」

「・・・・・・・・・!!!」

(そもそも)、お前が私に埃一つ付けられずに無様に這いつくばっている事がこれ以上ないお前の脆弱さの証拠だ。

お前は確かに言った。『この力があれば私達は大丈夫だ』と。先程見せた解呪(ヒーリング)は確かに目を見張る力だ。だが、お前個人(・・・・)の力ではない。其処を履き違え、己の力の程を見誤り、一人で私に勝てると過信した。

其の思い上がりこそが、今のお前の状態を作っているのだ。」

「!!!!!」

 

殲國の言葉で、ブレイブは確信させられた(・・・・・)。バサラを討ち取った極彩色解呪(エターナル・ヒーリング)。それを『自分達の力』と自分で言っておきながらその実、自分の力(・・・・)だと錯覚した。その認識のズレが個人戦闘力を見誤る事に繋がった。

 

「だが、お前達の其の習性は此方にとって好都合だ。最も効率良く、お前達を完膚無き迄に叩き潰す事が出来るのだからな。

先程言った、『全員纏めて倒す』というのが其れだ。今迄何度も集団で戦ってきた。そうする事でしか己を守り、肯定出来ない惰弱の連中がお前達の正体だ。

だが其れを肯定する事は出来んだろう。成功体験が過剰に積み上がり、何より其れを認める事は己の存在意義を根本から覆す事だからな。

 

故に潰す。肉体的にも精神的にも、一切の言い訳や言い逃れが出来ない程に叩き潰す。第一今日迄集団で戦って来たお前達が今更其れを躊躇うなど矛盾甚だしい。

分かったらさっさと掛かって来るが良い。時間の無駄だ。」

『!!!!!』

 

殲國のその言葉が、グラトニー達の感情を臨界点へと達させる最後の一押しだった。

瞬間、グラトニー達四人は一斉に地面を蹴り飛ばし、殲國との距離を詰めた。それは決して殲國の挑発に乗せられたからでは無い。彼女達の背中を押したのは『自分がこの男を倒さなければ風妖精(エルフ)の里は壊滅する』という使命感と強迫観念に駆られたからである。

 

その瞬間のグラトニー達の思考に、『自分以外の誰かがどうにかしてくれる』という他力本願な思考は無かった。それは奇しくも、殲國が指摘した『個人の強さ』を胸に秘めた行動である。

 

しかし現実とは、往々にして残酷なものである。自分を変えようとする行動が、必ず全て実を結ぶとは限らない。

 

『ドゴォンッッッ!!!!!』

『!!!!?』

 

その場に居た全員がその音を聞いた。しかし何が起こったのかは理解出来なかった。誰が主導するでもなく直感的に後方に視線を送った。

そこにあったのは、森の木々を薙ぎ倒して出来た四つの割れた跡である。

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