転生したらプリキュアだった件 ~助けてくれた女神様の世界をプリキュアになって守りたいと思います!~   作:Yuukiaway

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521 風妖精(エルフ)の里を突き刺す妖刀!! 悪鬼羅刹 殲國!!! (死地)

殲國を取り囲んだ五人の男達。彼らの誰もこれから起こるであろう戦いに勝算など見出してはいなかった。状況は五対一、こちらが圧倒的有利にある筈なのに、自分達が勝利する姿が思い浮かばなかった。それも相対している男のした事を考えれば当然の運びだろう。

 

ブレイブを素手であしらい、戦ウ乙女(プリキュア)四人を瞬殺し、剰えルベドとシャルディアすらも無傷で倒して見せた。仮に今この場で逃げ出したとしても誰も糾弾などしなかっただろう。それ程までに強大な相手が自分の眼前に居る。その相手の手の届く所へ自らの足で踏み込む事がどれ程勇気の居る行動かは計り知れない。

 

それだけの行動を彼等は自らに課した。全ては自分より大切な人間の命を守る為である。

 

*

 

「・・・・・・・・・・・・」

 

殲國は両目を動かし、自分を取り囲む男達、即ちカイ達、戦ウ乙女之従属官(プリキュア・フランシオン)達を見やった。彼等は既に己の射程距離に入っている。手を出せば攻撃が命中する距離に相手が居る。

にも関わらず、殲國は眉一つ、顔の筋肉一本さえも動かす事は無かった。それは紛れも無く、カイ達に不覚を取る事など無いという強い確信があるからである。

 

「・・・・・・一応聞いておこう。此の手を引く気は無いか?」

『・・・・・・・・・・・・!!!』

「ならば、降伏する気は無いか?」

『・・・・・・・・・・・・!!!』

 

カイ達は殲國の問いに無言という名の否定で返した。殲國の胸中は分からずとも、その問いは彼等の決意を踏み躙る侮辱の言葉である。

一方の殲國はカイ達の行動に一切の反応を示さなかった。それは彼等が自分の申し出を聞き入れる筈など無いと分かっていたからである。例えそれが自分を死地に引きずり込むと分かっていても、だ。

 

「そうか。ならば━━━━」

『ガッ!!!』「!!!」

 

殲國の言葉が言い終わるより早く、攻撃が炸裂した。しかしそれは殲國によるものでは無い。攻撃を放ったのはカイとハッシュである。殲國の意識が言葉の発信へ傾く一瞬の隙をついて、最短最速の拳を放った。

しかしそれは殲國の両手によって軽々と受け止められた。言うまでもなく、二人は手など抜いていない。今の自分達に出せる全力を以て放った、並の魔物程度であれば一撃で葬れるような一撃である。

 

しかし殲國はそれを受け止めた。その掌には傷一つ付いていない。

 

「話の途中で手を出すとは、存外行儀の悪い連中だな?!」

 

殲國がそう言い終わるまでに約二秒。その間にカイは左拳を繰り出し、ハッシュは両足を刈り取る蹴りを放ち、マキは《爆破之神(カグツチ)》を乗せた掌底を放った。

しかし殲國はその全てを最小限の動きで躱した。そしてその行動がマキの攻撃への迎撃の余裕すら生んだ。

 

「ッ!!?」

「ガスロドの外套さえも焼き切れない其の火遊び如きで、一体何が出来る!?」

「!? ああっ!!?」

 

ハッシュの足払いを躱す為に両足を地面から離した。その不安定極まりない体勢でマキの掌底を首を捻って躱し、剰えその状態から最小限の動きで投げ飛ばして見せた。

 

「ッ!? マキ!!!」

「遅いぞ小僧。」

『ドゴゴゴッ!!!』「ングッ!!!?」

 

仲間(マキ)が投げられた事実にタロスは一瞬動揺した。殲國はその隙をついてその脇腹、鳩尾、顎を一瞬の間に打突した。

 

殲國がタロスに向けて言った『遅い』という指摘。それがそのまま殲國の戦闘における強さの根幹を示している事をカイとハッシュの二人は理解していた。

殲國は風妖精(エルフ)の里に来てから一度も動揺を見せていない。その冷徹冷静な思考が戦闘における最速最善の判断に繋がり、それが次の一手への余裕を生むという好循環が成立している。

 

それが殲國という男の強さの根幹だった。肉体に圧倒的な力を秘め、それをただ振りかざす事が脅威性だったバサラとはまた毛色の違う力の持ち主。それが殲國の力なのだ。

 

(ッ!! こなくそぉッ!!!)

「! ほう・・・・・・。」

 

意識を殲國に集中させたタロスは、次の一撃の防御に成功した。彼が自分の首を狙っていると見抜き、そこに《影之龍王(バハムート)》のエネルギーを集中させて拳を防いだのだ。

 

「やはりお前は龍王系究極贈物(アルティメットギフト)に選ばれるべくして選ばれたのだろう。

其の力、者共を守る為に使い続けていればまだ活躍の見込みがあったやもしれんと言うのに、戦ウ乙女(プリキュア)如きに言いくるめられて果てるとは嘆かわしいな。」

「グッ・・・・・・・・・・・・!!!」

 

タロスは殲國の悪辣な言葉に反論を出来なかった。それは彼の拳を防御する事など最早然程意味を持たないと分かっていたからである。

この戦いが始まってから、殲國は刀を使用していない。シャルディアが操る植物を一手で微塵に切り裂き、彼女に引導を渡した刀をだ。

 

それは即ち、殲國がまだ本気を出していないという事に他ならない。

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