転生したらプリキュアだった件 ~助けてくれた女神様の世界をプリキュアになって守りたいと思います!~   作:Yuukiaway

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59 海を撃つ拳! 魚人の正拳 炸裂!!

「ば、バカな…………!!!!」

 

ソラは胸から血を吹き出して、膝をついた。

ブレーブは着地を取れずに背中から地面に落ちた。

 

ドサッ

 

ソラは完全に力尽き、地面に倒れ伏した。

ゴングは唐突に鳴らされたのだ。

 

「し、勝負あり!!!!」

 

レフェリーが手を挙げ、ブレーブの勝利が告げられた。

 

『け、決着!!!!

戦ウ乙女(プリキュア) キュアブレーブ

獣人族だけでなく鳥人族をも退けて、3回戦 進出を決めました!!!!!』

 

「ハァハァ……………

ど、どうやって僕の蹴りから…………

あれは完璧に決まってた筈なのに…………!!!」

 

ソラはかろうじて顔を起こし、ブレーブに聞いた。

 

「うん。あなたの攻撃は確かに決まってたよ。私は、吹っ飛んだ時に外枠をジャンプ台にして飛び上がっただけ。

土煙を目くらましにしてね。」

 

この土煙を利用する技術は、彼女が星聖騎士団(クルセイダーズ)の本部でハッシュと手合わせをした時に編み出したものだ。

ブレーブはそれを使って、止めを刺すための時間を稼いだのだ。

 

「………………!!!!

そうか…………… 負けたよ。」

 

ソラは完全に自らの敗北を認めた。

ここに、戦ウ乙女(プリキュア)と鳥人武術家の意地をかけた闘いが決着した。

 

 

***

 

 

『さぁさぁ皆様、この龍神武道会も後半戦に入ろうとしております!!!

ただ今より、Bブロック 2回戦を始めたいと思います!!!』

 

 

「ねぇハッシュ君、

さっき言ってた カイって、あの人?」

「そう。あの人がリュウさんが言ってた人だよ。」

 

蛍とハッシュは武道場を観戦していた。

 

『さぁまずは東の方角!!!!

この男が帰ってきた!!! 竜人族が名を連ねるこの龍神武道会で、魚人の力を遺憾無く発揮させ、かつては優勝にまで漕ぎ着けた、魚人武術を継ぐ男、

 

カイ・エイシュウゥゥゥゥ!!!!!』

 

カイ・エイシュウ

それが名前

全身が薄い青緑の肌に覆われ、髪は長く後ろで三つ編みに組んでいた。

 

「ハッシュ君はあの人、どう思う?」

「僕は、あの身体をどうやって作ったのかの方が問題だね。

人間が一生を捧げても出来るか出来ないかのレベルだ。あの人がリュウさんが優勝すると言っていた人の実力だよ。」

 

『対しまして、西の方角!!!!

スラムの街から下克上を狙ってこの男がやって来た!!!!

愛国心と一族武術を引っ提げて!!! この龍神武道会に殴り込むのはこの男!!!!

 

ゲイズ・タツタロフ!!!!!』

 

ゲイズ・タツタロフ

赤色の道着にその身を包んでいた。

 

 

「……負けるよ。」

「えっ?」

「あのゲイズって人、多分 一撃で負ける。

あの二人にはそれだけの実力差(ひらき)がある。」

 

蛍はさすがに とハッシュに口を開く。

 

「負けるにしたって、一撃は酷くないかな?

あの人だって、2回戦まで勝ち上がってるんだよ?」

「見てれば分かるよ。」

「…………」

 

ハッシュがあまりにも真剣だったので、蛍はそれ以上 何も言えなかった。

 

 

***

 

 

「武器の使用 以外の全てを認めます。

両者、下がって!!」

『さぁ、いよいよ試合開始だァ!!!』

 

カイとゲイズは相対した。

場内には緊張が走る。

 

「始めェ!!!!」

 

ゴングが鳴らされた。

 

『さぁゲイズ選手は、1回戦同様に突きに徹した構えを取ります!!!

しかし、カイ選手は全く構えを見せません!!!

これにどう 応えるのか!!?』

 

(………このままでは埒が開かん!!

仕掛けるか!!!)

 

「ぃやああああああぁぁぁぁッッ!!!!」

『ゲイズ選手が仕掛けた!!!

カイ選手に向かって一直線!!! しかし、当のカイ選手はまだ何の構えも見せないぞ!!!』

 

「馬鹿にしやがってぇ!!!!!」

 

舐めた態度をとるカイに対し、ゲイズは感情をそのまま乗せた正拳突きを放った。

しかし、カイはそれを容易く躱した。

 

そしてそのまま━━━━━━━━━━━━

 

 

 

「呃啊ッッッ!!!!!」

「!!!!?」

 

ゲイズの腹にカイの正拳突きが突き刺さった。ゲイズはそのまま外枠まで吹き飛ばされて激突し、昏倒した。

 

「しょ、勝負あり!!!!!」

 

その唐突な幕切れに、場内は静まり返った。

 

『び、何とカイ選手、秒殺で試合を決めました!!!!

やはり強いぞ カイ・エイシュウ!!!

難なく 3回戦へと駒を進めました!!!!』

 

 

「う、嘘でしょ…………!!!!?」

「だから言ったでしょ? あの二人にはそれだけの実力差(ひらき)があるってね。」

 

蛍は思わず俯いた。 これから自分があんな人と闘うことになるのかと思うと身体が震えた。

 

「随分 顔色が悪いな。」 「!!!!」

 

蛍が見上げるとそこにカイの姿があった。

 

「1回戦と2回戦の君の戦いぶり、しかと見させて貰った。

もし君が次の勝負も勝ったなら、おそらく 私とぶつかるのは必然。

しっかりと体調を整えて試合に望んでくれよ。」

「……………!!!!!」

 

そう言って悠々と去っていくカイに、蛍は何も言えなかった。


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