転生したらプリキュアだった件 ~助けてくれた女神様の世界をプリキュアになって守りたいと思います!~   作:Yuukiaway

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62 闇から襲う拳! リナ・シャオレン ベールを脱ぐ!!

ドクドクドク…………

 

「……ハァハァ………」

 

 

ウツは明らかに息を切らしていた。

腹からは血が垂れ流れている。

その時、ウツは奇妙なことをした。

 

「…………ッッッ!!!!!」

『「??」』

 

ウツは突如 力んだ。 何かの攻撃の予備動作ならまだ説明はつくが、彼がやったのはそれだけだった。

 

しかし、ブレーブはその時 異変に気付いた。

ウツの腹の出血が一瞬にして止まったのだ。

 

そう。彼は腹筋の力だけで乙女剣(ディバイスワン)の傷を止血して見せたのだ。

 

それをブレーブとフェリオは気迫されながら見ていた。

 

「………………」

「………待っていてくれたか。

この時にも1発入れたなら勝てたものを。」

 

これは誰から見ても当てつけの言葉だった。

キュアブレーブという相手が卑怯な手を使う筈がないという事を言外に現していた。

 

 

「…………行きますよ?」

「うむ! 来なさい!!!」

 

ブレーブとウツは同時に身構えた。

それに誘発されたかのように場内は熱狂に包まれる。

 

『両者 再び構え直した!!!

謎多き対戦相手 戦ウ乙女(プリキュア) キュアブレーブ!! そしてそれを相手取る誇り高き柔道家 ウツ・ロッキー!!!

 

両者の闘いは、遂に最終章を迎えるのです!!!!!』

 

試合場が緊張に包まれる中、ブレーブが口を開いた。

 

「………本気でやりましょう。」

「?」

 

一瞬不審がったウツにブレーブが近づいた。

そしてウツの道着の襟と袖を掴んだ。

 

『…………こ、これは一体……………!!!??』

 

「……………………

………そういうことか。」

 

 

まるで何かを理解したかのような言葉を漏らし、ウツもブレーブの襟と袖を掴んだ。

 

『………これは…………!!!

 

う、動かない!!! 両者 全く動かなくなってしまった!!!!』

 

 

その緊張感に、会場の全員が 拳銃の早打ち勝負のような緊張感を見出した。

それからどれくらい経っただろう。

2、3分か あるいは1分も経っていないかもしれない。

 

兎にも角にも、勝負の幕切れは唐突に訪れた。

 

 

「…………ッッッそぉい!!!!!」

 

ウツがブレーブを背負って投げた。

しかしブレーブの身体は空中で離れ、宙を舞い、着地した。

 

何が起きたのか分からないと言うような空気が場を包む中、ウツが口を開いた。

 

「…………負けだな。 私の。」

『!!!? ウ、ウツ選手………!!!?

 

………アアッ!!!!』

 

ウツは観客席に腕を見せた。

その手首はあらぬ方向に曲がっていた。

 

そして、レフェリーが手を挙げた。

 

「し、勝負あり!!!!!」

『勝負あったァーーーー!!!!

決め技はなんとサブミッション!!!!

2回戦でのソラ選手との試合で食らった関節技で、勝負に幕を下ろしました!!!!

 

戦ウ乙女(プリキュア) ホタル・ユメザキ選手が、準決勝に駒を進めたのです!!!!!』

 

観客席からの歓声を一身に受けてブレーブは去っていく。

彼女の頭には戦ウ乙女(プリキュア)のスカウトという本来の目的を忘れてしまいそうになるほどの満足感で包まれていた。

 

 

 

***

 

 

「……もう身体は大丈夫なの?」

「うん! さっきも何回か投げられたくらいでまだまだやれるよ!」

 

蛍は今 ハッシュと一緒に観客席にいる。

今は3回戦 第4試合 リナの試合が始まる所だ。

 

 

『3回戦 第4試合 Dブロック ファイナル!!!

波乱の激闘が続いたこの3回戦のトリを飾るのはこの2名!!!』

 

『まずは東の方角!!!

我が里の長 リュウ・シャオレン様の血をその身にひしひしと流す、荒ぶり猛る新星!!!!

リナ・シャオレン!!!!!』

 

リナが入ってきた。

格好はあの時の緑色のチャイナドレスとは違い、黒色のカンフースーツに身を包んでいた。

 

『それを迎え撃つはこの男!!!

西の方角!!!

 

盲目だって闘える!! いや、盲目だから闘える!!!! 全てを見透かすこの男!!!!

盲目拳法でここまで来た

 

レンジ・クリスタ!!!!』

 

杖をついてサングラスをかけた男が入ってきた。

髪型は典型的な坊主頭。長さは五厘といったところか。

 

 

「………リナ・シャオレン君。」

「あん?」

 

レンジが口を開いた。それもリナの方を向いて。

 

「かの高名なリュウ・シャオレン殿が築き上げた武という芸術 君の身体を通してでも体験したい。」

「はっ。 悪ぃが俺はあんたのこたぁ眼中に無ぇんだわ。 うだうだ言ってねぇでさっさと来いや。」

「もちろん そのつもりだよ。」

 

レンジはリナの啖呵をまるで見透かすかのように捌いている。

これも盲目だからこそなのか。

 

「おい! さっさと始めろや!」

 

リナにどやされてレフェリーが二人の間に入った。

 

「武器の使用以外 全てを認めます。

両者 構えて、

 

 

始めぇ!!!!!」

 

 

(………さて、まずは出方を伺うか…………)

 

 

その時、

 

 

ズドォン!!!!!

「!!!!?」

 

レンジの腹を衝撃が貫いた。


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