転生したらプリキュアだった件 ~助けてくれた女神様の世界をプリキュアになって守りたいと思います!~ 作:Yuukiaway
「武器の使用以外 全てを認めます。
両者 元の位置へ!」
「……フェリオ、腹を括るよ。」
「分かったファ。」
……《プリキュア・ブレイブハート》
蛍の姿は
その時に決意が固まった。
今からこの男と真っ向から闘うという覚悟をだ。
ブレーブとカイは向き合った。
「両者 構えて」
ブレーブは両手で
対するカイは右手を顔に、左手を胴に持っていき、姿勢を低くしている。
「~~〜~~~〜~~ッッ!!!!!」
ブレーブの中にはえもいえない程の緊張が走っていた。気をしっかり持っていないと押しつぶされてしまいそうになるほどの。
「始めぇい!!!!」
試合のゴングは鳴った。
(………ダクリュールとも、ハッシュ君とも、テュポーンとも違う………!!)
ブレーブは未だに緊張に包まれていた。
未だかつて体験したことの無い種類の緊張感が押し寄せていた。
(……こういう時はッッ!!
先手必勝!!!!!)
ブレーブは地面を全力で蹴った。
「ぁあああああああッッッ!!!!!」
『行った!!!! キュアブレーブ、カイ・エイシュウに一直線だ!!!!』
ブレーブは貫手を構えた。
狙いは彼の眼球だ。
相手の身体を気遣う余裕は無かった。
(悪いけど、本気で"殺"らせて貰う!!!!)
クンッ! 「!!!?」
ブレーブの貫手が空を切った。
カイの手に上げられて、受け流された。
フォッ という音が地面から聞こえた。
それが攻撃への動きの音だということに気付いた。
(!!!! まずい!!!!)
ブレーブは咄嗟に
ゴッッッ!!!!! 「!!!!?」
ブレーブの顎に衝撃が走った。
「カ、カウンターだ!!!!
カイ選手の蹴りがホタル選手の顎に直撃!!!!」
(………こ、これが顎……………!!!!!)
顎への打撃を避けなければならない というハッシュの警告の意味がとうとうわかった。
ブレーブは大の字に倒れた。
『ダウーーーーン!!!!!
「クッ!!!」
ブレーブは意識を強引に覚醒へと持って行き、飛び上がって着地した。
『た、立った!!
ホタル選手、 まだ闘えるのか!!!?』
「……ハァハァ…………」
「上手く受け流したようだな。
私の蹴りに1回で対応して見せたのは
「………………」
「やはり君がふさわしい。
この試合をあいつへの手向けにさせてもらう!!!!」
(……そう。このための10年だった。
あいつの死を乗り越え、そして更なる高みへ歩を進めるための あの10年だ!!!!)
***
カイ・エイシュウ
彼の半生を語る際に、決して外すことの出来ない人物が1人いる。
それは、彼の親友 そして 龍の里の長 リュウ・シャオレンの孫にして、リナ・シャオレンの実兄
ラド・シャオレン である。
カイは魚人族だが、少年時代からは龍の里で修行として生活し、リュウ・シャオレンに弟子入りして彼、ラドと出会った。
2人は時には認め合い、時には反発し、そして常に互いを切磋琢磨し合う 良い関係を築いていた。
そしてリュウも2人の成長に心を踊らせていた。
しかし、それは突如 終わりを告げる。
人は幸福と言う物がいかに脆い物かを失って初めて気づく。 当時のカイも例外では無かった。
龍の里に怪物が攻め入ってきた。
姿は木の葉が巨大化したようで、腹には謎の魔法陣が描かれていた。そして、ラドはその怪物から当時はまだ幼年だった妹 リナを庇って命を落とした。
カイは当時は悲しみに打ちひしがれ、自分の目的すら失いかけた。
しかし、ある日 彼はラドの夢を見た。
その内容ははっきりと覚えていないが、彼の中に1つの決意が生まれた。
それ以来 彼は龍の里から故郷へと戻り、それから10年もの間 誰とも連絡を取る事 無く修行に明け暮れた。
彼の決意とは 自らと闘い、己を高め続ける事で親友の死を乗り越え、そして彼に恥じない闘士となる事だった。
***
(……あぁ。ありがとう ラド
お前がいてくれたから、お前が支えてくれたから今の私が居る。
お前の死を乗り越えるため、お前に顔向けできる男になるため 自分に試練を課した。
そう。あの10年が、あの自分との闘いが、私をここまで成長させた!!!!)
「……キュアブレーブ
心から礼を言う。」 「!!?」
「君にならば構わない。
私も本気を出させて貰おう!!!!」
そして、彼はある行動をとった。