転生したらプリキュアだった件 ~助けてくれた女神様の世界をプリキュアになって守りたいと思います!~   作:Yuukiaway

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74 勇者を襲う悪魔の幻覚! 戦場と化す武道会!!

観客席は まさにパニック状態に陥っていた。突如 現れた青髪の男が明確な殺意を持って襲いかかって来たのだから当然の結果である。

 

その強襲をハッシュがかろうじて受け止めた。

2人は脚を交差させたまま競り合っている。

 

「厄災 ヴェルダーズの一味 ダクリュール・イルヴァンだな!?」

「そうともよ!!

お前は星聖騎士団(クルセイダーズ) 三番隊隊長 ハッシュ・シルヴァーンだったよな!!?

国の軍隊のお偉いさんがこんな田舎で戦ウ乙女(プリキュア)共の狗をやってるとは情けねぇ話だなぁ オイ!!!!」

「黙れ。 僕は星聖騎士団(クルセイダーズ)のために彼女たちと手を組んだんだ。

それに、蛍達には命を賭ける価値があると僕は信じている!!!」

 

「………そうかい。 だったらどんな目に遭っても文句は言えねぇよな!!!!?」

 

ダクリュールが残っていた片方の脚でハッシュを蹴り飛ばした。 ハッシュの身体は吹き飛ばされ、客席の背もたれに叩きつけられる。

 

「さすがに硬ぇな。その筋肉。

確か、拳闘之神(ヘラクレス)っつったけっかな。その肉を作ってんのは。」

「……そうだ。お前の()()()の力なんかじゃ、僕を倒す事はできないぞ。」

 

「…………………トカゲか。あながち間違ってはねぇな。 ただし、

 

大昔、この世界を意のままにしたトカゲの力だ!!!!!」

 

 

 

***

 

 

「な、なんだよアイツ、魔人族だったのか!!?

じゃあ お前ら戦ウ乙女(プリキュア)ってのは、あんなヤツらと戦ってんのか!!?」

「!! リナちゃん………!!!」

 

ブレーブは返答に困っていた。

このまま隠し通すなど出来るはずもないし、かといってまだヴェルダーズと戦うと決まっていない人間を危険に巻き込む事も出来なかった。

 

「何とか言えよ オイ!!!」

「ねぇ、うるさいんだけど。もうお前に用は無いんだよ。

ってか戦ウ乙女(プリキュア)、お前いつまでそいつを抱えてるつもりだよ?

それとも、その状態で俺と戦うつもりか?」

「………………!!!!」

 

ブレーブは選択に迷っていた。

ハッシュは今 ダクリュールと交戦していて手を借りる事は出来ない。つまり この状況を自分一人で打開しなければならないのだ。

 

「……まぁあれだ。

どうせ 今まであの軍人とかに頼りっぱなしでやってきたんだろ?

そんな糖尿になりそうな甘ったれた性根してるから 何も出来ないんだよ。」 「!!!!」

 

ブレーブは面食らった。

今まさに自分の置かれている状況に対してダルーバに核心を突かれて動揺を隠せなかった。

 

「………まぁ、そいつをかばいながらやりたいってなら好きにしなよ。

どうなっても知らないけどね。」

「!!?」

 

 

幻覚之神(アザゼル)》 「!!!」

 

ダルーバの目が禍々しい黄色に光った。

ブレーブに幻覚を植え付けたのだ。

 

「!!!!? こ、これは━━━━━━━!!!!!」

 

ブレーブが置かれた状況は、【断崖絶壁】だった。半畳程の広さしかない岩場に立たされ、見渡す限り見下ろすことも出来ない程の高さだった。

 

(!!!! ………大丈夫。 これは幻覚…………!!!!!)

「あぁ。幻覚でも気をつけた方が良いよ?」

「!!!!?」

 

あっという間に背後を取られてバランスを崩しかけるが、なんとか踏みとどまる。

振り向くと、ダルーバは()()に立っていた。

 

「確かにこれは幻覚だけど、落ちたら死ぬよ? 《幻覚之神(アザゼル)》の見せる幻覚がもたらした感覚は、実体験になる。

そして、実体験になった【死】は現実になる。

【病は気から】って言葉、聞いた事ないか?」 「…………………!!!!」

 

ブレーブはその言葉に肝を抜かれていた。

その言葉は自分が今 圧倒的に不利な状況にあることを示していたからだ。

 

「悪いけど、殺せるなら容赦はするなって言われてるからね。 思いっきり()らせてもら

 

!!!!?」 「!!?」

 

突如、ダルーバが吹き飛んだ。

両腕で衝撃から身を守っているものの、ダメージは隠しきれていない。

そして、ブレーブは断崖絶壁の幻覚から解放された。

 

「!!! カイさん!!!」

 

ブレーブの視線の先には先程 死闘を繰り広げたカイ・エイシュウ が脚を向けていた。

 

「どうしてここに!!?」

「言うまでもない!! 同じ龍神武道会に出る者として、助けるのは当然の話!!!

それにこの龍の里の危機ともなれば、じっとしては居られないだろう!!!」

 

「…………カイ・エイシュウ。

キュアブレーブに敗けた敗残兵が何のつもりだ?これは俺達への宣戦布告と取って良いよな………!!?」

 

ダルーバはかろうじて冷静さを保っているが、内心は穏やかではなかった。

そして、天を仰いで口を開いた。

 

「もう来てるんでしょ!!?

早くこっちに来て下さいよ!!!

 

 

オオガイさん!!!!!」


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