転生したらプリキュアだった件 ~助けてくれた女神様の世界をプリキュアになって守りたいと思います!~   作:Yuukiaway

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87 炸裂するギリスの究極贈物(アルティメットギフト)!! 厄災逃避大作戦!!

ブレーブは目の前の光景に そして威圧感に押されていた。

ギリスは未だに力を抑えている少年の姿ではあるが、その全身から かつて自分をダクリュールから助けるために見せた魔王の力をひしひしと感じることが出来た。

 

『…………ブレーブ、動けるか?』 「!!!?」

 

『よく聞け。今俺は魔力を媒介にしてお前だけに話しかけている。』

「…………………。」

『単刀直入に情けない話をするようだが、さっきのは全部(ハッタリ)だ。

今の俺にある力はまだ全盛期には遠く及ばない。 それに今ヤツはおそらく魔力を練り固めた腕をけしかけている。

だから例えブツ切りにしようと細切れにしようと ヤツ本体には一切ダメージは無いだろう。』

「………………!!」

 

ブレーブは、ギリスが矢継ぎ早の発言に言葉を返す暇も失っていた。

 

『だから、俺がヤツを攻撃するフリをしたら、向こうにいるフェリオ達を連れてここから離れろ。』

『!!

…………分かった。』

 

 

 

「……厄災 ヴェルダーズよ。

今の俺の力が貴様にどれほど通用するか、試させて貰おう。」

『ブレーブ、タイミングは俺が魔法を地面に打ち込んだ時だ。

俺はハッシュ達を。お前はフェリオを連れてここから逃げる。

場合によっては龍の里より遠くへ逃げることも想定しておけ。 そこまで行けば、リルア()が待機している。』

 

 

ギリスはそこまで言うと姿を青年に変え、ヴェルダーズの腕に手のひらを向けた。

そこに紫色のエネルギーのようなものが蓄積していく。

 

 

(………失敗は許されない。

この場は何としても凌ぐ…………!!!)

 

その状況下でもギリスはヴェルダーズの腕の構えが一瞬緩んだのを見逃さなかった。

 

(今だ!!!!)

 

ドガァン!!!!! 「!!!!!」

 

ギリスの魔力は地面に炸裂した。

そこからもくもくと土煙が巻き上がる。

 

「今だ!!!!」

 

ギリスはブレーブを促して身を翻し武道場から走りさろう━━━━━━━━━━━━

 

 

ガシッ! 「!!!!?」

 

とした時 腕を掴まれた。

 

「………それをやると思っていたぞ。

魔王 ギリスよ。」

「!!!! き、貴様!!!」

 

ヴェルダーズの腕がギリスの手首をがっしりと掴んで離そうとしなかった。

万力のような力で握られて赤紫の痣が付いてしまいそうになる程強く掴んでいた。

 

「ギリス!!!! 早くこっちに!!!」

「ダメだ来るな!! お前だけでも早く行け!!!!」

 

ブレーブは今まで全幅の信頼を寄せていたギリスが窮地に陥ったのを見て冷静さを失った。

 

「何か策を講じていたんだろうが、甘かったな。 この俺が何年 貴様を殺すために潜伏したと思っている? 侮りこそせずとも力量はとうに見切っていたわ!!!!」

「………………!!!!!」

 

「それから言っておくが、始末するのは戦ウ乙女(プリキュア)からだ。」 「!!!!」

「当然だろ? 解呪(ヒーリング)こそ、女神ラジェルの遺志こそ我の脅威なのだ!!!!」

 

ヴェルダーズの片腕の狙いはブレーブに向いていた。

 

(!!!! ここであいつを失う訳にはいかない!!!

やるしかない!!! あれをやるしかない!!!!)

 

「!?」

ギリスは掴まれていない方の腕を振り上げた。

 

「《混沌之王(アスタロト)》!!!!!」

「!!!!!」

 

ギリスの手のひらの周辺が()()その刹那 そこから魔力がヴェルダーズに向けて爆発した。

 

その反動でブレーブとギリス自身も吹き飛ばされる。

 

 

「…………!!!

ウー 痛たた………!! 何が起きたの今……!!?

 

!!!」

 

意識を取り戻したブレーブの目に飛び込んできたのは少年の姿になったギリスだった。

その目は明らかに虚ろになっている。

 

 

「 ゴハァッ!!!!!」 「!!!!!」

 

その瞬間、ギリスは口から鮮血を吐き出した。

 

 

***

 

 

武道場端では ハッシュ達が先程吹き飛ばされたフェリオに必死に呼びかけていた。

 

「フェリオ、大丈夫!!?」

「わ、私は大丈夫ファ。

それよりブレーブを助けないとファ………!!」

 

「うむ。 分かっている。

それは私に任せ━━━━━━━━━━━」

 

 

「みんなァーーーーーーーー!!!!!」

「「「「!!!」」」」

 

ブレーブの声の方に全員が振り返った。

 

「ブ、ブレーブ!!

良かった 無事だった

 

!!?」

 

フェリオは喜びの言葉を途中で止めた。

彼女が両腕に何かを抱えている事に気づいたからだ。

 

「ブ、ブレーブ!?

それってまさか…………!!!」

「?! 子供?!

なぜ彼女が子供を抱えているのだ?!!」

 

「だ、誰か!!! 誰か助けてェ!!!!

ギリスが、私の【友達】が 息をしてないの!!!!!」


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