転生したらプリキュアだった件 ~助けてくれた女神様の世界をプリキュアになって守りたいと思います!~   作:Yuukiaway

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88 この拳と友にかけて! 命の誓いをここに果たす!

「 !!!」

 

ヴェルダーズを撃退するために究極贈物(アルティメットギフト)を使い、体力を使い果たして気を失ってどれくらい経っただろうか。

 

見慣れない一室のベッドの上でギリスの意識は覚醒に至った。

 

「あ、ギリス!! 起きたファ!?」

「お おお。 フェリオ。」

 

上半身を起こして最初に目に入ったのはフェリオの姿だった。 その眉間には絆創膏のようなもので手当が施されている。

 

「……それよりここは……………?」

「ここはリュウさんの屋敷の客室ファ!」

「リュウ………………?

ああ。 リュウ・シャオレンの事か。 あいつ、少し見ない間にこんなに立派な屋敷を構えていたのか…………。」

 

「そんなことより身体は大丈夫ファ!?

どこか痛むとかはないファ!?」

「……これと言って問題は無い。

まぁまだ節々に痛みは残っているが、支障は無いだろう。

 

それよりフェリオ、今何時か分かるか?

俺は何日寝込んでいた?」

「何日? まだ3時間も経ってないファよ。

リルアだってまだ着いてないファ。」

「…………そうか。」

 

「それからギリス、報告しなきゃいけない事があるファ!」

「報告? 何だ?」

「フェリオ達、とっても頼れる人材を引き込む事に成功したんだファ!」

 

「…………ああ。 そうだったな。

戦ウ乙女(プリキュア)になれそうな人が居るんだったな。 それで、人数は1人だけか?」

「いや、もう一人心強ーい人が仲間になってくれたファ!」

「もう一人?」

「私だ。」

「「!!」」

 

ギリスの部屋の扉を開けて入ってきたのはカイだった。 彼も武道会とヴェルダーズの襲撃で所々負傷しており、身体にその手当の痕が見受けられる。

 

「……カイ・エイシュウ お前だったのか。」

「お初にお目にかかる 魔王 ギリス=オブリゴード=クリムゾン 殿。

私をご存知とは恐縮だ。」

 

ギリスの前で手を合わせ、頭を下げて会釈をする。

 

「……俺を知っているのか?」

「いかにも。 あなたの事はリュウ長老から聞いていた。

………私はどうやら自分で思っている以上に過酷な戦いに身を投じる決断をしてしまったようだ。」

「だったらどうする 止めるか?」

「滅相もない事を。 一度の決断を無下にしようなどと 私の矜恃に関わる。

この拳にかけてあなたや彼女達に身を捧げることを誓う。」

 

仰々しい と思ったのを隠し、ギリスはよろしく頼む とだけ言っておいた。

 

「それで、もう一人はどこにいるんだ?

蛍のやつは戦ウ乙女(プリキュア)の候補が見つかったと報告していたんだが。」

「リナはまだ疲れて寝てるファ。」

「リナ?」

 

 

 

***

 

 

 

「諸君に報告する。

龍の里の侵略に失敗した。」

 

そう報告したのは他でもないヴェルダーズだった。 そしてその場にいる全員にざわつきが走る。

 

「そしてもうひとつ ヤツらは新たに戦ウ乙女(プリキュア)を一人仲間に引き込んだ。言うまでもないが、作戦は佳境に入っている。 これからも気を引き締め、作戦遂行に尽力して貰いたい。」

 

龍の里の侵略失敗という凶報と気を引き締めろという激励の言葉はその場にいた全身の気持ちを奮い立たせた。

 

 

 

***

 

 

 

「何、リュウの孫娘だと?!」

「そうファ。 言葉遣いとかは完全に男みたいなやつだファ。」

「それからリナのことで2つ報告があるファ。」

 

そしてフェリオはギリスに『リナと一緒に戦ウ乙女之媒体(プリキュア トリガー)として新たにヴェルドが仲間になった事』と『ハッシュがリナの戦ウ乙女之従属官(プリキュアフランシオン)になった事』を報告した。

 

「なるほど。 あいつがな。

それで、ハッシュは今どこに居るんだ?」

「今はヴェルドと一緒にリナを診てる所ファ。」

「そうか。 悪いが二人を呼んできてくれないか? 俺はまだ動けそうにない。」

「わかったファ。」

 

ギリスに促されてフェリオは部屋を後にした。

 

「それで、カイ。」

「何か?」

 

「お前は誰の従属官(フランシオン)になるのか 決めているのか?」

「まだはっきりとは決めていないが、ホタル殿に就こうと思っている。」

「蛍に?」

 

「そうだ。

私は準決勝で彼女と闘い、そして敗れた。 その時に思い知ったのだ。彼女の 【自分以外のために戦う決意から生まれる強さ】を。そして彼女達に力添えをする事こそが 死んで行ったラドのためというものだ。」

「そうか。それはこちらも願ってもないことだ。 しかし【自分自身のための鍛錬】というのも重要なことだ。 それで自力で究極贈物(アルティメットギフト)を覚醒させたんだからな。」

 

ギリスがそこまで話し終わった所で懐の水晶が反応した。

 

 

『ギリスか? 私だ リルアだ。』

「どうした?」

『たった今 龍の里の入口に着いた所なのだ。今どこにいるか教えて欲しいのだ。』


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