転生したらプリキュアだった件 ~助けてくれた女神様の世界をプリキュアになって守りたいと思います!~ 作:Yuukiaway
ギルドへの人員募集の依頼が思った以上に早く終わったので、2人はその日の内にできそうな依頼をこなして時間を潰した。
そして今は別の食事処で夕食を取っている。
「……蛍たち、もう龍の里に着いたと思うか?」
「あの列車は快速だからな。
その日の内に駅に着いていれば今頃は里の門をくぐっている頃だろう。」
「……しかしまぁなんだ。 龍の里と言えば あいつの事を思い出すな。」
「……そうか あいつか。」
目の前の料理を口に運びながらリルアは感慨深くそう呟いた。
2人が思い出しているのはまだ2人が現役の魔王だった頃の事、当時 湯水のように沢山やってきた勇者達の中に一際強い者たちが居た。 それが今の
「強かったよな あいつら 何人いたっけ?」
「4人だったはずだぞ?
ルベドと3人 俺達2人が2対1で相手をしたんじゃないか。
ルベドとリュウと、あと名前は覚えてないがビーストテイマーと
「そうか そうだったな。
あいつら、今も生きてると思うか?」
「!!!」
ギリスは咄嗟に食べる手を止めてしまった。
「………どうだろうな。 あの時から一体どれほど時間が経っているか もう正確には分からない。 お前だってそうだろ?」
「……そうだな。 ルベドは転生を繰り返してずっと私達を待ってくれていた。 それだけの時間が経っていれば……………。」
ギリスもリルアも食事の事など頭から消えてしまっていた。 少しでも気を緩めようものなら懐かしさを思い出して涙を見せてしまいそうだった。
「悪かった。 食事中にこんな気持ちをしてたらあいつらにも申し訳ないよな!」
「そうだな。 蛍達も頑張ってるんだ。
俺達がしっかりしてないと示しがつかない。 俺達は【魔王】だからな。」
「そうだな! 魔王の面子にかけてもこれ以上恥は晒せん!」
気を使って【元】魔王と言ってくれなかったリルアに少しだけ感謝した。
***
「うーむ! 結構広いではないか!」
「ああ。 少しだけ奮発してダブルベッドもつけてもらったからな。 今日の疲れを癒していくといい。」
2人は宿の高めの部屋を取った。
現在は夜で、入浴も済ませ、後は寝るだけとなっている。
「ふむふむ 申し分ないふかふかさだな!
私が魔王城に居た頃でもここまでのもので寝たことはそうそうなかったぞ!」
「そうか。 それは良かった。
それなら俺も無理をしてこの部屋をとった甲斐が有るという━━━━━━━━━━━
?」
返事が無いのを不審に思って見てみると、リルアは眠りについてしまっていた。
一瞬 呆れたものの、今日は一日中依頼をこなしていたのだから無理もないかと結論づけた。現在は午後の9時 ギリスにとって寝るにはかなり早い時間であった。
リルアを気遣って灯りを消し、ロウソクの火を付け、その前に水晶を置いた。
そして通話機能を付ける。ギリスが話をする人間は1人しかいない。
「ラジェル、聞こえるか 俺だ。」
『ああ。 ギリスじゃない。どうしたのこんな時間に。 眠れないの?』
「……! そんなくだらないことでお前を頼ったりしない。 単刀直入に言うと、俺は今リルアと一緒に行動している。
蛍とハッシュは今龍の里に向かっている。」
『そのことはフェリオから聞いてるわ。
で、どうしたの?』
「……お前、ルベドが現役で俺達と戦った時に連れていたヤツらの事を覚えているか?」
『連れていた? パーティーって事?
それなら覚えてるわよ。 確か4人組だったわよね?
龍人族の武道家と、ルベドの幼なじみの
「そうだな。 それでお前に聞きたいんだが、あいつら 今も生きてると思うか?」
『!!
………難しいと思うわね。 あれからかなり時間が経ってるし。』
「………だろうな。」
『要件はもう無いの?』
「ああ。 つまらない事を聞いたな。
もう通話を切るよ。 時間を取らせて悪かった。」
ラジェルの返事を聞くより早くギリスは水晶の通話を切りそれを鞄にしまった。
短くなったロウソクの火を消し、ギリスも早めに床に就く事にした。
リルアの隣のベッドにもぐると、ふかふかとした感触が自分を包み込んで癒してくれるようだった。
魔王と人間とでは種族が違うから別れが来ることは承知していたことだった。 彼にとって問題なのは、それが厄災【ヴェルダーズ】によって早く引き起こされた事である。
一刻も早く厄災を倒さねばならないと己を奮い立たせ、ギリスは眠りについた。