転生したらプリキュアだった件 ~助けてくれた女神様の世界をプリキュアになって守りたいと思います!~   作:Yuukiaway

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96 初めてのソロ依頼! オーク討伐作戦 開始!!

ミーアに戦ウ乙女(プリキュア)の事の全て話し終わり、ギリス達は食堂を後にした。

 

「それで、今日はどんな依頼をやるんすか?」

「別に決めていない。

そもそも急いで依頼をこなさなければならないほど金には困っていない。

依頼をこなすのはあくまでギルドの仮の姿で、本職はヤツらと戦う事だからな。」

「それじゃ 自分 戦ってみたい魔物(ヤツ)がいるんスけど!」

 

 

***

 

 

「………戦ってみたいってのはここに居るオークの事か?」

「ウッス!

故郷の村じゃ、オーク倒せりゃ1人前だって言われてたんすよ! だから早かれ遅かれここに来ようって決めてたんス!」

 

ギリス達が来ているのはオークが出没する洞窟だった。 この洞窟の周辺の集落でオークによる被害が発生しており、ギルドからも依頼されていたが、危険度に対して報酬が少ないからと受けるギルドの手がつかなかったのだ。

 

「でもひどい話ッスよね。

報酬が少ないからって受けようとしないなんて。」

「それがギルドの現実ってもんだ。

依頼、特に魔物なんかとの戦闘には常に死の危険が付きまとう。 それに俺達ならいざ知らず、通常は依頼の達成が収入源となっている。

だから、身の丈にあった依頼を慎重に選ぶ事こそがギルドのセオリーなんだ。」

「……マスター、魔王なのによくそんな事分かりますね。」

「ギルドとまではいかずとも、パーティーとは1つ 腐れ縁があるんだ。」

 

かつて現役の勇者だったルベド、そして一緒にいた格闘家や聖騎士(パラディン)、ビーストテイマーの事を思い出していた。

 

「ほら、もうすぐ来るぞ。 気を引き締めていけ!」

「ソロのバトルだ。 頑張ってくるのだ!」

「ウッス!!!」

 

ミーアは意を決して洞窟に入っていった。

 

 

***

 

 

「矢は………………

えーと、25本持ってきたから、これだけありゃ大丈夫っしょ!」

 

ミーアの手には件の弓矢が握られている。

いつ敵に遭遇してもいいように、準備は万全に済ませていた。

 

「うーっし!

オーク、何時でもかかって来やがれー!!!」

 

ミーアがそう己を鼓舞して腕を上げたその時、洞窟内にケタケタと気味の悪い笑い声が響く。

 

(!!

…………来たッスね。 この鳴き声は…………。)

 

笑い声が聞こえてくるや否や ミーアは気を引き締めて弓矢を構える。

その前方に出てきたのは十体ほどのゴブリンだった。

 

「やっぱりゴブリンだったッスね。

あんたらオークの差し金っスか?」

 

ミーアの質問にはもちろん答えず、ゴブリン達は持っていた武器を振り上げる。

 

その瞬間、矢が突き刺さる音が立て続けに10回響き、ゴブリン達は眉間から血を流して倒れ伏した。

 

「よっしゃー! ヘッドショット 10連発!

こんなん ラクショー ラクショー!!

ゴブリンなんてガキん頃から狩りまくってたッスからね!!」

 

ミーアは拳を掲げた。

ちなみに彼女が魔物は生け捕りにした方が良いという事を知るのはまた先の話である。

 

 

ミーアの手元に残っていた矢は後 15本しか無かった。 しかし彼女が慌てることは無い。 オークに10本も残せれば良いと見積もっているし、何よりいざとなれば獣人族 特有の爪や牙を使って戦う策も残されていた。

 

「じゃあまずはこいつらから素材剥ぎ取っとくとするッスかね!

スライムは倒したら魔石になるって聞いたけど、ゴブリンはそうじゃないんスね。」

 

魔物は大きく分けて倒すと半永久的に持続する魔石になる物と、倒しても変わること無く足の早い素材を回収せねばならない物の二つに分かれる。

 

素材の回収は早急に行うのがギルドの依頼のセオリーである。 しかし、それを簡単にはやらせてくれないのが冒険者の現実である。

 

 

ズシンッ!!!!

「!!?」

 

ミーアがゴブリンの死骸に近づこうとした時に 洞窟内を揺り動かす轟音が響き渡った。

 

「………どうやら運が良いみたいッスね。

こんなに早く()()に出会えるとはね。」

 

洞窟の奥の闇から浅い緑色の肌をした巨大の魔物が姿を現した。

 

正真正銘のオークだ。

 

「タイマン張らせて貰うッスよ。

残りの15本 全弾ぶち込んでやるッスよ!!!!」

 

ミーアは弓矢を構え、オークと相対した。

 

 

 

***

 

 

ギリスとリルアは洞窟の入口で待機していた。

 

「……なぁギリス、本当に1人で行かせて大丈夫だったのか?」

「本人が行きたいと言ったのだからそうしてやれば良いだけだ。

それにあいつの身に危険が迫ったら報告する魔法をかけてある。

 

ここらで冒険者の心得を知っておくのも悪くないだろう。」

「そういうものか?」

 

「そういうものだ。

 

にしてもゴブリンと聞くと思い出すな。あいつの初仕事を。 」

「あいつ? 蛍の事か?」

「そうだ。 あいつのギルドの初仕事もホブゴブリンの討伐だったんだ。 といってもまだ【討伐する】覚悟ができていなくて生け捕りになったがな。」

 

そう 無意識に少しだけ得意げに話す様子がまるで蛍の保護者のように見えた とリルアは思った。


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