転生したらプリキュアだった件 ~助けてくれた女神様の世界をプリキュアになって守りたいと思います!~ 作:Yuukiaway
「さっそく現れてくれたッスね 本命。」
洞窟の奥の暗闇から出てきたオークに対し、ミーアはそう得意げに言いながら弓を構えた。 得意げな口調の中でも慢心は微塵もない。 故郷の村でオークなどの魔物の恐ろしさは物心つく前から知らされていた。
シュパッ!!!!
「!!!?」
オークの姿がはっきりと見える位置まで近づくや否や、ミーアは目にも止まらぬ速さでその眉間 目掛けて矢を打ち込んだ。
故郷で何回も繰り返し練習した弓の早撃ちを成功させた。
しかし オークは眉間目掛けて飛んでくる矢を咄嗟に拳で防御した。 それでもオークの手を貫通し、鈍い声をあげる。
(!! やっぱそう上手くはいかないッスよねー)
ミーアはオークが反応ではなく本能と反射で防御したのだと理解した。 そしてすぐに次の攻撃の準備に入る。
ミーアのような弓を使う人間にとって、攻撃の準備は死活問題といえる。 矢を装填している隙だらけの状態を攻撃されては勝てる勝負も勝てなくなってしまう。
拳に走った激痛で精神のスイッチが入り、オークはミーアを敵と認めた。自分に向けられた視線がそれをありありと物語っていた。
(………さーて、 どう出るッスか………?)
オークの攻撃は純粋な突進攻撃だった。
筋肉でできた丸太のような脚を駆動させて地面を蹴り飛ばし、ミーアに向かって持っていた巨大な棍棒を振り上げる。
シュドンッ!!!!!
「!!!!?」
ミーアに強襲しようとした瞬間、オークの脚が撃ち抜かれた。 肉が吹き飛び骨も露出する。 肉を抉られた激痛に 今度は絶叫をあげる。
「うっし ヒット!
一気に3本も使ったんだからこんくらい食らってもらわないと!!」
ミーアは一気に三本の矢を放った。
矢の数に限りがある局面でこういった決断は勇気を問われるが、オークの脚を奪い自由を封じるには安すぎる代償といえる。
片脚を奪われてもオークの闘士が消える事は無かった。 残った脚で再び地面を蹴り飛ばす。
オークはミーアとの距離を詰める事に成功したが、その大振りの攻撃は軽々と躱された。
(うっし! 冷静冷静!
村でやった特訓の成果が出てるッスよー!)
ミーアが普通の弓使いと異なる点は、ひとえに獣人族であるという点である。
猫のしなやかな筋肉を備えた脚をもってすれば、オークの攻撃を避けることはやってできないことでは無い。
(もう出し惜しみはしないっス!)
再び三本の矢が放たれ、今度はオークの首に深深と突き刺さる。
急所をもろに打ち込まれ、オークは苦しみながら残っている膝を着く。
「こいつを喰らえッス!!!!」
グサッ!!!!! 「!!!!!」
ミーアが続けざまに放った矢がオークの左眼に突き刺さった。 既に全身に矢を打ち込まれ、誰がどう見ても満身創痍の状態だった。
しかし、それでもオークの戦意は消えていなかった。
ドゴッ!!!! 「!!!」
オークの振り上げた棍棒がミーアの持っている弓矢を吹き飛ばした。
一瞬の隙をついて相手の攻撃手段を奪った事で一気に形勢を逆転させ、一撃必殺の攻撃を打ってこの【敵】の息の根を止める事が出来る とそのオークは言葉を扱えないながらも確信した。
ミーアの頭蓋骨に狙いを定めて棍棒を振りかざした。 オークが頭で想定していたのは目の前の獣人族が頭を砕かれる光景だけである。
(……甘いっスね。)
シュパンッ!!!!
「!!!!」
オークが大振りの攻撃を撃ち込む間にミーアは懐に潜り込み、その手に備わった爪で喉を切り裂いた。
オークは喉から血を吹き出し、残った虚ろな目をミーアに向けながら倒れ伏す。
「…………………………………
ッッシャーッ!!!!!
討伐完了ーー!!!!!」
ミーアは自らが倒したオークの目の前で拳を挙げた。
「……………とはいっても最後の隙はまずかったッスね……………。」
オークに最後に貰った攻撃で 普通の弓使いは攻撃の手段を失い逆転されて死んでいたはずだった。
ミーアは例外的に弓以外の攻撃手段を持つ獣人族であったが故に難を逃れることができた。 しかし、そんな幸運に甘えていてはいつか足元をすくわれるという事は新米のミーアにも理解出来る事だった。
「………で、このオークどうやって運ぼうか…………
ギリスマスターに手伝って貰うか………」
貴重な素材の宝庫と化したオークに背を向けてギリス達が待つ洞窟の入口へと歩を進める。
「やっぱ 実戦は学ぶこと多いッスね〜〜
矢もまだ残ってるし、70点台は堅いっしょ!」
故郷で続けていた狩りの延長のような感覚で挑んだ初めての単独依頼でミーアは多くの事を学んだ。 それがこれから ギリス達のギルドに入ろうと入らずとも必ず役に立つ事だと確信していた。