転生したらプリキュアだった件 ~助けてくれた女神様の世界をプリキュアになって守りたいと思います!~   作:Yuukiaway

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98 現れた厄災の追っ手! 狙われたオークの遺体!!

「ギリスマスター!」

 

洞窟の奥からミーアの元気の良い声が響いた。 入口で待っていたギリスとリルアがその声に振り返る。

 

「なんだ もう済ませて来たのか

? オークはどうした?」

「それがめちゃめちゃ大きくってですねー

とても1人じゃ運びきれなくて」

 

「俺達に手伝って欲しいと言いたいのか?

お前、これがソロ依頼ならどうするつもりだ?」

「……ギルドの職員に来てもらう とかッスかね?」

「それも選択肢だが、今はその必要も無いだろう。 そのオークはどこにいるんだ?」

「ここからそう遠くはないっスよ。

あと、その近くでゴブリンの群れも出たからそいつらも倒しておいたんで、一緒に運んでくれるッスか?」

 

「……それは良いが、お前 何本矢を使ったんだ?」

「結構残ってるッスよ。 15、6本位ッスかね。使ったのは」

「それはお前的にはどうなんだ?」

「? まあ及第点ってとこじゃないンスか?」

 

とても1つの依頼をこなしてきた人間の言葉とは思えない脳天気な言い方に ギリスは心の中で少しだけ呆れた。

 

 

 

***

 

 

「……これで全部か?」

「ウス! 結構頑張ったっしょ?」

 

3人の目の前にはミーア討伐したオークと10体のゴブリンの遺体が並べられた。

 

「討伐してからでも依頼を受ければ達成扱いになるんでしょ? ならゴブリンの討伐依頼の報酬も一緒に貰えばいいじゃないっスか!」

「それは構わないが、こういう魔物は討伐するより生け捕りにした方が素材が効率良く手に入るんだぞ。それにもう結構時間が建っている。これじゃ大した金も手に入らないぞ。」

「そうなんスね! いきなり出てきたんでそこまで気が回りませんでしたよー」

 

素直に自分のアドバイスを聞き入れるミーアを見て ギリスの彼女に対する好感度は少しだけ上がった。

 

「んで、どうっスか?

自分 ここで働いてもいいっスかね?」

「そうだな この分なら

 

 

 

 

「!!!!?」」

「?」

 

ギリスとリルアは同時に血相を変えて何も無い所を振り返った。

 

「? どうしたんすか2人とも?」

 

「ギ、ギリス 今のって まさか…………!!!」

「ああ 間違いない《ヤツら》だ……!!! 」

 

 

ギリスとリルアの視線の先に【そいつ】はいた。 切り立った岩場に生えている木の影から姿を現す。

 

「あれ? 意外だね 2人きりじゃないんだ。

だけどそいつは見た事ない顔だし、やっぱり情報に間違いは無かったんだね。」

 

木の影から褐色の中性的な男性が現れた。 赤い和服のような物に身を包み、少年のように無邪気な笑顔でこちらを見つめる。 二人には、それが漠然とした恐怖に感じられた。

 

「僕の名前は《ハジョウ・タチバナ》。

分かってるだろうけど、ヴェルダーズ様が、君たちに死んでくれって言うから来たよ。」

「………いきなり敵に名前を名乗るとは、それは余裕の表れか?」

「失礼だなぁ。 ただ 礼儀のつもりでやったのに。」

 

ギリスとリルア そしてヴェルダーズの事をほとんど知らないミーアでさえ ハジョウと名乗ったこの男に不気味な何かを感じていた。

 

「にしてもさ、ここ あまり強い魔物がいないよね。 いい素体を探してたんだけど、 まぁそこにいるので間に合わせるか。」

「?

!!! ミーア!!! そいつを隠せ!!!!」

 

「もう遅いよ。 《魔物召喚(サクリファイス)》!!!」

 

ハジョウの手の平から紫色の魔法陣が浮かび上がり、それを投げつけた。 魔法陣はミーアが討伐したオークの遺体に貼りつく。

オークの遺体から禍々しいひかりが立ち上った。

 

「!!? なんスかこれ!!??」

「!!! しまった!!!

ミーア!!! そいつから離れろ!!!!!」

 

 

ビカッ!!!!!

「「「!!!!!」」」

 

オークの身体の光が炸裂した。

そこから放たれた爆風が3人を吹き飛ばす。

 

「………………!!!!

な、なんなんスか これ……………!!!!」

 

自分が倒した時より一回りも二回りも大きな怪物が目の前に立っていた。 胸の部分には魔法陣が描かれている。

オークの遺体を素体としたチョーマジンが生まれた。

 

「おほ〜! 結構な上玉だったね〜!

死体でそこまで行くとはねー」

 

 

「リルア!! 早く変身しろ!!!

こいつを街に出してはダメだ!! ここで食い止めろ!!!」

「分かった!!!!」

 

リルアが懐に手を入れ、ブレイブ・フェデスタルを取り出そうとする。

 

「させないよ。」

「!!!」

 

ドゴッ!!! 「!!!」

 

その瞬間、ハジョウの蹴りがリルアを吹き飛ばした。

 

「ブランク抜けてないんだね。 魔王様がこんな僕の蹴りで吹っ飛ぶなんて 情けないねぇ。」

 

ヴェルダーズがリルアの力を奪ったと知った上でハジョウはいやらしい笑みを浮かべた。

 

「!!!! き、貴様…………!!!!」

「あれ? どうしたの その余裕のない顔は。

魔王様はさぁ、もっと凛々しい顔をするもんでしょ?!!」


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