Fate/Vilebloods   作:ゾラ!ヤクルトゾラ!誰のもの〜

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誓約書

名前 ■■■■■■■■■■
性別 男性
年頃 若年
過去 一族の末裔







プロローグ

 冬木市の町はずれにある古びた洋館。レンガ造りの壁には所々に蔦がはびこり、敷地内では全く手入れされていないのか雑草はそこら中に生い茂り人の営みを感じさせず、言葉ではうまく言い表すことができない不気味な雰囲気のせいで洋館の前を通り過ぎようとする人の歩みは無意識的に早足になってしまう。その不気味な雰囲気のせいか、一家全員で無理心中を図った事故物件だとか、殺人事件で殺された女の子の悲鳴が夜な夜な聞こえるだとか、その洋館にまつわる噂は近所の住民なら何かしら1つは聞いたことがある。

 

そんなホラーゲームの舞台さながらの洋館、間桐邸の地下室は普段ならば無数に蠢く蟲で埋め尽くされ10歳にも満たない少女を凌辱しているのだが、今日に限ってはその蟲たちの代わりに血で書かれた魔法陣を挟んで2人の人影が見える。

 

一人は間桐雁夜。20代でありながら髪の色素は抜け落ち、顔の半分も老人のように深い皺が刻まれている。優れた魔術の資質を持ちながら間桐の魔術を嫌って家を出奔しフリーのルポライターとして生計を立てていたが幼馴染である遠坂葵から葵の娘である桜が間桐家の養子に出されたことを知り、11年ぶりに家に戻り聖杯戦争のマスターになり、桜を助けるため1年間魔術の鍛錬を受けマスターとしての資格を得た。しかしその代償として魔術回路を補うために刻印虫をその身に宿し、半死半生のような状態に陥り寿命もすでに一ヶ月程になっている。

 

もう一人はこの館の主、間桐臓硯。坊主頭に深い皺が刻まれた短躯の和服姿の老人、戸籍上では目の前に立つ雁夜とその兄である鶴野の父親にあたるが、その正体は延命に延命を重ねその体もすべて蟲に置き換えらた「妖怪」。英霊を使い魔にするサーヴァントシステムや令呪の考案者で、魔導の名門であるマキリ家の500年前の当主であり、現在も実質的に間桐家を牛耳っている。

 

そして、雁夜は臓硯から1年間の鍛錬に耐えきった褒美として渡されたアーサー王伝説の円卓の欠片を触媒としてサーヴァント「バーサーカー」の召喚を始める。

 

「素に銀と鉄。 礎に石と契約の大公。

降り立つ風には壁を。 四方の門は閉じ、王冠より出で、王国に至る三叉路は循環せよ

閉じよ(みたせ)。閉じよ(みたせ)。閉じよ(みたせ)。閉じよ(みたせ)。閉じよ(みたせ)。

繰り返すつどに五度。

ただ、満たされる刻を破却する

――――告げる。

汝の身は我が下に、我が命運は汝の剣に。

聖杯の寄るべに従い、この意、この理に従うならば応えよ

誓いを此処に。

我は常世総ての善と成る者、

我は常世総ての悪を敷く者。

されど汝はその眼を混沌に曇らせ侍るべし。汝、狂乱の檻に囚われし者。我はその鎖を手繰る者――。

汝三大の言霊を纏う七天、

抑止の輪より来たれ、天秤の守り手よ―――!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

雁夜side

 

 

「雁夜よ、儂が折角与えた極上の聖遺物をもってしても目当てのサーヴァントを召喚出来ないほど劣っておるとは…今まで聖杯戦争を見てきたがまさかここまでとはとは思いもせんかったわ。お主は三流魔術師どころか魔術使いにすら劣っておるぞ」

 

 

 

目からは血が流れ息も絶え絶えになりながらサーヴァント「バーサーカー」を召喚した俺に臓硯は言い放った。魔法陣の中から出てきたサーヴァントは右手で腰ほどの高さがある杖を突き、マントの付いた青い軍服姿で、頭にはバケツをひっくり返したような兜を被っており、兜の覗き穴は片目のみ空いている。そして腰には散弾銃を携帯していた。

 

本来の予定であればアーサー王伝説の円卓の欠片を使っての召喚であるためアーサー王はいうに及ばず、ランスロット、ガウェイン、トリスタンなどの円卓に関連するサーヴァントを召喚するはずが、実際に召喚されたサーヴァントは軍服姿も気になるが問題は腰に銃を装備していたことだった。

 

アーサー王伝説は5世紀末から6世紀にかけての物語であり、対してヨーロッパに火薬が伝わったのは13世紀ごろであり、火薬を使う武器‟火砲”が使われ始めたのは15世紀の百年戦争当たりである。もちろん必ずしも史実がすべて正しいということはなく、サーヴァントが史実とは違い性別が違うといったことはあり得ることだろう。

 

だが、世界に大きく影響を与える発明品の出現が数百年単位で間違っているということは、まずありえないだろう。

 

「いったい何の英霊を呼び出したかは知らんが、桜は諦めることじゃな。お主の1年間は無為に終わったも同然。恨むのなら自分の才能の無さを恨め、なんならバーサーカーを捨てて残された1ヶ月を蟲蔵で桜と過ごすのも悪くなかろう。」

 

呵々と嘲笑いながら臓硯が地上に戻ろうとする。

 

「気色悪い「虫」が蠢いてるな…」

 

気がつくとバーサーカーは臓硯の目の前に立っており、先程まで持っていた杖は消え失せ、いつの間にか出した彼の身長ほどある電動のこぎりのような、陳腐な表現をするならばピザカッターのような武器を出していた。だがその武器、正式名称‟回転ノコギリ”には辺縁にノコギリの刃を配した円盤が複数重ねられており、数多の命が刈り取られてきたような禍々しさがなぜか感じ取れた。

 

そして臓硯がその言葉に反応するよりも早く、唸り声をあげた‟回転ノコギリ”が振るわれた。

 

「ぎゃあああああ!!!」

 

臓硯の腹部に向かって突き付けられた‟回転ノコギリ”は真っ赤な血と臓物…ではなく臓硯の体をかたどっていた無数の蟲の残骸とその紫色の血飛沫が舞った。そしてバーサーカーは思わず片膝をついた臓硯のぐちゃぐちゃになった腹の中に何のためらいもなく手を突っ込み、そして一匹の「虫」を引き抜いた。

 

「何じゃ…その蟲は…。そんな蟲…儂は知らんぞ!」

 

バーサーカーがつかんでいた「虫」は臓硯の体を構成していた刻印虫や翅刃虫、淫虫のような魔術的な蟲のように特別な蟲ではなく、恐らくどこにでもいそうな百足の類であろう細長い虫を掴んでいた。だがその「虫」からは泥のような悪意に塗れ、ここにいるほかのどの蟲よりも、言いようもない悍ましさを発していた。

 

「それもそうだろうよ…この「虫」は本来ならば我ら連盟の狩人以外の目には見えぬものだ。この「虫」は貴様らのような汚物の内に隠れ蠢く人の淀みの根源であり、言うなればこれが貴様の本質だ。」

 

「そして連盟とは、狩りの夜に蠢く汚物を根絶やしにするために、すべての「虫」を踏み潰し人の淀みを根絶することだ…ちょうどこんなふうにな。」

 

そう言うとバーサーカーはおもむろに掴んでいた「虫」を手放し、そして床に落ちた「虫」を躊躇なく踏み潰した。

 

その瞬間、先ほどよりも更に大きな絶叫が蟲蔵に響き渡った。あの臓硯が、500年以上醜く生きながらえてきた吸血鬼擬きが、俺や桜ちゃんが蟲蔵に放り込まれたばかりの時のように、二度も情けなく大声で叫んでいることが信じられないなかったが、あの臓硯が苦痛を感じているそれだけでここまで耐え忍んでよかったと本来の目的を忘れてしまいそうなほど嬉しかった。

 

「な、なぜじゃ…儂の本体は確実に桜に寄生しておる…それなのになぜその蟲を潰されただけで―」

―儂は死ぬのか。と疑問をぶつけようとするも、無意識的に自らの死を受け止めたくない気持ちがその後の言葉を紡がせない。

 

その問いにバーサーカーは、踏み潰した「虫」をさらに踏みにじりながら

 

「先ほども言った筈だぞ?この「虫」は人の淀みの根源であり、貴様の本質だとな。たとえどこに本体がいようとも、たとえどれだけストックがあろうとも関係ない。連盟の狩人たちは狩りの成就に、この「虫」を見出すのだからな」

 

その言葉を聞いた臓硯は力尽きるまで譫言のように、死にとうない死にとうない。と繰り返す。

 

そして臓硯の声が聞こえなくなると、先程まで臓硯の体があった場所には、臓硯の体を構成していた蟲の死骸で山ができていた。臓硯が死んだことにより人の体を模すことができなくなっていたらしい。

 

「情けない糞袋野郎が」

 

その小さな山を見てバーサーカーが忌々しそうに吐き捨てた。

そして一度大きくため息をつくと、ゆっくりとこちらに振り向いた。

 

「サーヴァント、バーサーカー。鐘の音は聞こえなかったが、召喚に応じ参上した。貴公が私のマスターだな?」

 

その言葉を最後に俺は意識を手放した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 




 蟲と表現しているのは間桐家の方々がどっちの虫も区別なくそう表現しており、「虫」と表現しているのはバーサーカーが指している百足のことです。

「虫」を『虫』にした方がいいのかわからない。

■の数は適当です。

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