TS転生して吸血鬼になったけど創作欲しか思い出せない   作:石化

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第13話

 

 麻の種籾をもらって、蒔いてみた。

 

 大麻の成長はゆっくりだった。2年でだいたい1mくらいだろうか。一回目は実験と思って特に世話をしなかったからかもしれない。

 刈り取って、紙工房に持っていくと大層喜ばれた。

 なんでも、布に需要が集中して、紙に回って来る麻が減ったらしい。

 いいことをしたな。

 この調子でもっとたくさん麻を作っていくぞ。

 

 この前は、きっちり一個ずつ植えて行ったけど、前回の様子を見ている限り、そんなに気を使わなくても大丈夫そうだ。丈夫な植物のはず。

 

 あとやるべきは生産量をアップする試みだな。

 

 なんだろう。肥料を与えれば問題ないと思うんだけど、どういう肥料がいいかな。まずは草木灰でも試してみるか。

 

 収穫した大麻は、成長期間2年で大きさは2mだった。

 うーん。成長は早くなったけど、できればもっと早くなっても良いんだよな。

 

 なんだろう。あとは、肥溜めを用いるくらいしか思いつかない。

 ⋯⋯あれはできればやりたくない。流石にそこまで女を捨て去るわけには⋯⋯。

 

 しかし、麻の安定供給が紙の安定供給、ひいては小説の普及に繋がるんだ。甘えたことは言ってられない。やれることはなんでもやらないと。

 

 堆肥を混ぜてみた大麻の結果は2年で1、5mだった。

 前のよりも悪くなってるんだが。なんでだよ。

 

 ひょっとしてあれか? 

 連作障害ってやつ。

 同じ場所で同じものを作り続けることで、育ちが悪くなるらしい。

 

 土地を休ませる時期が必要という話だった。

 

 なるほど⋯⋯。仕方ないな。

 

 とりあえず農家は一旦休業しよう。

 

 ●

 

 都の大路を歩きながら俺は考え事をしていた。

 

 随分人が集まって活気が出てきている。ゆくゆくは本屋も簡単に開いているような世界にしていきたい。そのためにも大麻を大量生産しないといけない。

 

 どうしていくのが正解だろうか。

 

 ふと、気がつくと、街の一画に人が集まっていた。

 

 興奮した声が漏れていて、活気がある。

 

 何をやっているのだろうか。

 

「そこだ! やれ! 東王(あずまおう)!」

 

「躱せぇ! 都将(みやこのしょう)!」

 

 二羽の鶏が互いに戦い合っていた。

 

 闘鶏ってやつか。

 

 自分以外が戦うなんてと思っていたが、なかなかどうして悪くない。

 

 雄鶏たちは、飛んでお互いの爪を交錯させ、つつき合い、闘志を燃やしていた。

「東国から来たという東王は体が大きい。闘鶏においては体重が絶対の意味を持つ。この勝負、価値は揺るがないだろう」

「いやいやいや。都将だって、こっちで一番の雄鶏の子供を代々継承してきた一羽だぞ。この血統の強さは折り紙つきだ」

 

 解説おじさんたちが訳知り顔で語っている。

 

 なるほどなあ。面白い。闘鶏の世界にも色々なドラマがあるようだ。

 

 と、決着がつきそうだ。

 

 両方ともに疲れが見て取れる。次の一撃が最後だろう。

 

 東王が突進を敢行した。思い切りの良い動きだ。

 

 それに逆らわず、都将は、体を引いた。

 それは、東王の動きを完璧に見切ったかのようなタイミングだった。

 わざと置かれていたとしか思えない都将の足が、東王のバランスを崩し、東の王は無様に転がった。

 

「うおおおおー!」

「都将の勝利だ!!!」

 

 ⋯⋯。何あの鶏。そんじょそこらの人間よりも戦いの技術に長けているぞ。

 

「やはり都将か、強いものをより強く改良して行けば結果は違ってくるのだな」

 

「東王も強かったが、所詮は一代限りよ」

 

 解説おじさんたちはしきりに頷いている。

 

 暇なのかな⋯⋯。

 他の人々はしきりに嘆いたり、賭け金の交換に勤しんでいるというのに。

 いやこっちはこっちでロクでもなかったわ。

 

 でも、闘鶏は面白かった。またやってたら見たいな。

 今度は金を持ってくるか。

 

 金は基本的にはいらないので放置している。

 そんなものなくても俺は生きていけるし。

 

 ただ、天皇家が謎の献金を毎年くれるので、腐る程金はある。

 大丈夫? 不透明支出に当たらない? 

 

 というわけで金の心配はいらないのだ。

 

 それはそうと、大麻の大量生産の答えが見つかったかもしれない。

 

 そう。それはつまり、品種改良だ。

 

 2年でやっと育つ。なら、それを一年で育つようにする。連作障害が起こる。

 なら、連作障害を起こしにくいタネを増やす。これらを目標に品種改良をしてみれば、俺の考える最強の大麻ができるに違いない。

 

 幸い、俺の持つ時間は無限だ。品種改良に充てる時間は長いほうがいいに決まっているから、有利すぎる。

 

 大麻農家として頑張るぞー! 

 

 ⋯⋯なんか、間違ってる気がする。

 

 気のせいだな。おそらく。

 

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