少年の名は、
学校を終え、帰路に就く恵一。
帰宅の途中、仮面を被り胸に穴を開けた、
「ウマソウダナ」
虚が恵一に迫る。
「ん?」
気配に気づき、振り返る恵一。
「ば、化物!?」
恵一は驚くと同時に悲鳴を上げて逃げ出す。
「うわああああ!」
「マテマテ。俺ハオ前ガ食イタイ」
「来るなあ!」
恵一は角を曲がるが、行き止まりに追い込まれてしまう。
(し、死んだ?)
「イタダキマース」
虚が恵一を掴み上げると、その肉体から魂魄が抜け出した。
(な、なんだ? すげえ体が重い)
恵一は胸に繋がる鎖に気づく。
(これは……?)
鎖の先を目で追うと、地面に恵一の肉体が倒れていた。
「死んでるやん!」
「ギャアギャア喚クナ」
虚が大口を開けて恵一の魂魄を飲み込もうとする。
そこに、刀を
「はあ!」
赤毛の女の子は虚の腕を刀で切り落とした。
「ギャアアアア!」
激痛に悲鳴を上げる虚。
解放される恵一。
「き、君は?」
彼女は
苺花は痛みに悶絶する虚には目もくれず、その体を斬魄刀で真っ二つにして消滅させる。
(すげえ……)
斬魄刀を腰の鞘に差し込むと、苺花は恵一の方に体を向けた。
「抜けちゃったのね」
「え?」
苺花は恵一の魂魄を掴むと、半ば強引に肉体へと押し込んだ。
「えっと……」
苺花を見る恵一。
「君は一体?」
「なによ、あんた。私が見えるわけ?」
「見えてるから聞いたんだろ」
「阿散井 苺花。死神よ」
「死神?」
「
「ああ、うん。霊とかよく見るけど。ていうか、あの化物なに?」
「あれは虚と言って、普通の霊が悪霊になったものよ」
「君はその虚とかいうのと、いつも戦ってるのかい?」
「うん」
「怖くないの?」
「そりゃ、怖くないわけないけど、それが護廷十三隊の仕事だから」
「そうなんだ」
(護廷十三隊?)
「しばらくあなたのボディガードしてあげる」
「ボディガード? なんで?」
「あなた、霊力が高いから虚に狙われやすいのよ。私が虚から護ってあげる」
「ほう、死神がいるとは」
その声に振り返る苺花。
「……!?」
振り返った先には別の虚が。
「二人ともうまそうだ。食わせろ」
虚が苺花に襲いかかる。
苺花は攻撃をかわす。
「
苺花は虚に対して鬼道による攻撃をしかける。
虚は赤火砲を自らの拳で打ち消してカウンターを苺花に浴びせる。
「ぐわ!」
吹っ飛び、塀に突っ込んで破壊する。
虚が苺花の目前に迫る。
「やば!」
逃げ出せず、死を覚悟する苺花。
恵一が苺花目掛けて駆け出すと、虚の攻撃から彼女を救出する。
「ちょっとあんたなにやってんの! 命が惜しくないの!?」
「か弱いレディに傷を負わせたくないんで」
「か、か弱い……?」
苺花は頬を赤らめた。
「さて、ここからは俺が相手だ」
恵一は塀の向こう側にあった人様の金属バットを手に取る。
「うりゃ!」
恵一は振り回したバットを虚に叩きつける。
だが、反撃を受けてバットがひしゃげてしまう。
「そうか、お前から食われたいか」
「やべえ」
恵一は後ずさる。
虚は恵一を殴り飛ばした。
「うわ!」
衝撃で魂魄が肉体から飛び出す。
「二度と生き返れぬようにしてやる」
虚が恵一の鎖を掴み、引きちぎった。
「あの野郎!」
苺花が虚を斬魄刀で切りつける。
断面から血飛沫が上がる。
「トドメ!」
怯む虚を頭から真っ二つに切り裂く。
「ぐわああああ!」
虚は光の粒子となって消滅した。
「ごめん。私が弱いばかりに、君を護れなかった」
「何言ってんだよ。さっきみたいに重なればいいだけだろ?」
「それが無理なの。胸の因果の鎖が断ち切れると、その人は完全な死を迎える」
「え?」
「つまり、あなたは死んだの。尸魂界に行かないといけないの」
「そんな……」
断ち切れた鎖を手に取る恵一。
「まあ、生き返る方法の一つとして、死神になるっていう手もなくはないけど……」
「俺が死神に?」
「うん。だけど、無謀な賭けよ」
「どうすればいいんだ?」
「浦原さんのところへ行きましょう?」
恵一は苺花と共に浦原商店に移動した。
「事情はわかりました」
帽子を被った中年の男、浦原が言う。
「では、矢澤さんの死神化計画を始めましょう」
二人は浦原に地下へと案内される。
そこはかつて、
「では」
浦原が杖で地面を叩くと、穴が開いて恵一は落下した。
「72時間以内に死神になってそこから這い上がってきて下さい!」
「無茶言うなよおっさん!」
「赤がヒントですよー」
「赤? なんのことだよ」
ガジガジ、と何かを噛み砕くような音が聞こえる。
恵一が音の発生源を見ると、鎖が侵食を始めていた。
「なんだこれ!? 鎖が鎖を食べてる!」
「その鎖がなくなると、あなたは虚になります! もしもそうなったら、私はあなたを殺しますので!」
「なにー!?」
驚く恵一。
「つってもなー」
そうこうしているうちに、71時間を無駄に過ごしてしまう恵一。
「矢澤さん、まだ死神にはなれないんですかー? 諦めて尸魂界に行きますかー?」
「うっせえ! てか飯くれ!」
骨付き肉が投げ込まれた。
恵一は肉を腹一杯平らげた。
侵食する鎖はもうなくなる寸前だ。
そして、鎖は完全になくなった。
「ん?」
恵一の魂魄に変化が起きた。
「あ?」
虚化が始まったのである。
「消しますかね」
浦原が杖から刀を抜こうとすると、苺花がそれを止めた。
「待って。虚化に魂魄が抵抗してるわ」
「……………………」
次の瞬間、一筋の光が恵一の魂魄から放たれた。
光が消えると、二人の前に仮面をつけた黒い死覇装姿の恵一が立っていた。
「なるほど。