BLEACH 死神になった少年   作:桂ヒナギク

2 / 5
2.世話係

「うわああああ!」

 その朝、眠りから覚めた恵一は大声を出しながら起き上がる。

 辺りを見渡し、自室にいることに安堵のため息をつく。

「夢?」

 恵一の脳裏に自分が虚に襲われ、死神になって蘇ったという映像が()ぎる。

「夢なんかじゃないよ」

 部屋の窓からそう言いながら苺花が入ってくる。

「わああああ!」

 驚く恵一。

「あんたは虚に殺されて、死神になったの。浦原さんの仮面の軍勢(ヴァイザード)ってのはよくわからないけど。とりあえず、死神の力は宿ってるわ」

「で、なんでお前がいるんだよ?」

「尸魂界から現世への滞在命令が出てね」

「はあ?」

「しばらく厄介になるからよろしく」

 ニシシ、と笑みを浮かべる苺花。

「しばらくって、うちに住むのか?」

「だって行くとこないもん」

「……!?」

 恵一は何かの気配に気づく。

「どうしたの?」

「来る!」

「何……があ!?」

 天井を虚の腕が突き破ってくる。

「ちょっ、いきなり!?」

 苺花は恵一に代行証を投げる。

「それで死神に!」

「ああ?」

「早く!」

「お、おう!」

 恵一が代行証を体にあてがうと、死神化した魂魄が肉体から飛び出した。

「人ん家荒らした罪を報いな!」

 恵一は斬魄刀を抜いて虚を斬りつける。

「ギャアアアア!」

 虚は光になって消え去った。

「随分と手慣れてるじゃない」

「あ? 剣道やってたからな」

「ふーん」

「てか、こいつは?」

死神代行戦闘許可証(しにがみだいこうせんとうきょかしょう)

「許可証?」

「現世で死神になった魂魄に与えられる免許みたいなものよ。尸魂界のえらい人があんたに持ってけって言ってたから」

「そうか。……うちには置かないぞ」

「なんで!?」

「見ず知らずの者は置けないって家の決まりなんだ」

「ああ、それなら……」

 苺花が懐から記憶置換機を取り出す。

「なんだそれ?」

「記憶置換。これであんたの両親に親戚と思い込ませる」

「そんなにうちへ来たいのか?」

「え? いや、別にそう言うわけじゃ……」

 頬を赤らめる苺花。

(なるほどな)

「しゃあねえな。置いてやるよ。親には適当に言っとく」

「いいの!?」

 恵一は肉体に戻った。

「けど、おめえはどうすんだよ? 母ちゃん、霊は見えねえぞ?」

義骸(ぎがい)に入るわ」

「義骸?」

「うん。現世で活動する死神に支給される仮の肉体のことよ」

 苺花はどこからともなく義骸を取り出し、中に入り込んだ。

「てか、なんで空座第一高校(うち)の制服なんだ?」

「え? そこに通うからじゃん」

「はあ!?」

「恵一、うるさいわよ!」

 そこへ恵一の母親がやってくる。

「朝っぱらから騒ぐんじゃな……って、誰?」

「阿散井 苺花です。今日からお世話になります」

「お世話?」

「実はこいつの両親が事故で死んじゃって。行く当てないから置いてやろうと思ったんだけど……」

「ふーん」

 不適に微笑む母親。

「いいわ。その代わり、ちゃんと面倒見てあげるのよ」

「はーい」

 かくて、恵一は苺花の世話をすることになった。

 

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。