「石田 霰。滅却師よ」
光る矢を放つ女はそう答える。
「滅却師?」
「虚と戦う対魔師よ」
それより、と霰は西の空を見上げた。
なんと、
「なんだよあれ!?」
「メノス……グランデ……?」
「メノスグランデ? 苺花、メノスグランデってなんだ?」
「一言で言えば巨大な虚よ」
恐怖で足がガクガクと震え始める霰。
「嘘でしょ? あんなものが現れるなんて……」
「石田、お前の責任だからな」
恵一は斬魄刀を抜いた。
「はああああ!」
大虚に迫り、渾身の斬撃を浴びせ……ようとするが、巨大な手の平で払われた。
「うわああああ!」
恵一は地面に叩きつけられた。
「ぐっ!」
「恵一!」
駆け寄る苺花。
「大丈夫?」
「ああ、なんとかな」
覚束ない足取りで立ち上がる恵一。
「ボロボロじゃん! 大丈夫?」
「平気だよ」
恵一は斬魄刀を一振りし、大虚に斬撃波を飛ばしだ。
落下して消え去る大虚の右腕。
「ぐおおおおああああおおおお!」
咆哮した大虚が虚閃を放ってくる。
一直線に飛来した光線をかわす恵一。
大虚の右腕が復活する。
「超速再生!」
恵一は無我夢中で瞬歩をすると、大虚の眼前に出現した。
「くらえ!」
恵一は大虚の頭から縦に斬魄刀で斬り付けた。
「ぐああああ!」
悲鳴を上げて徐に消滅する大虚。
恵一は苺花の前にゆっくり着地する。
「メノスを一人で?」
「石田!」
霰に詰め寄る恵一。
「倒せたからいいものの、撒き餌なんか持ち歩くんじゃねえよ!」
「ごめんなさい……」
「石田さん、今度からは気をつけるのよ」
「はい」
「行きましょう?」
と、苺花が恵一に言う。
「ああ。……」
恵一は苺花と共に学校の屋上に戻った。
「おかえりなさい! それより大変よ! 恵一に入った義魂丸が!」
「そう言えば俺がいねえな」
「その義魂丸が暴れてるのよ!」
「え?」
「早く止めないと!」
その頃、教室では、恵一の肉体を持った義魂丸が、女の子を相手にあんなことやこんなことをやらかしていた。
「おい、てめえ!」
駆けつけた恵一と苺花。
「げ!」
窓から飛び出して逃げる義魂丸。
「待て!」
後を追う恵一。
「体返せ!」
「いやだね。せっかく自由になったんだ。この体は俺がもらう!」
「ならば!」
恵一は腰の代行証を取り外し、義魂丸の頭部に投げつけた。
「うわ!」
肉体から義魂丸が飛び出す。
恵一は力なくその場に崩れた肉体に入り込み、義魂丸を拾った。
「とんでもねえことしやがって!」
「ちょっと待って」
と、苺花が義魂丸を手に取る。
「ああああ! これ、
「モッド・ソウル?」
「うん。廃棄が決まってた商品」
「不良品なのか?」
「うん。浦原さんに返さなきゃ」
苺花が改造魂魄をしまおうとすると、恵一がそれを取り上げた。
「例え作られたとはいえ命は命だ。向こうの都合で勝手に廃棄されるなんて見てらんねえよ。こいつは俺がもらう」
恵一は改造魂魄を見る。
(聞こえてたよな?)