恵里は今日も壁に頭を打ち付ける(完結)   作:コミッサール

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エリリン劇場第二十幕恋愛?の幕開けです。
これも、恋愛ジャンルなんだろうか?
きっとそうだ!
そうに違いない!
「この粛清は我が愛である」
愛情省の仰る事に間違いは無い。


第二十話 疫病神がやって来た♪♡

クラウディアの自白で判明した、オムニブスのアジトには、早速監視に屍虫が配置され、盗聴を開始した。

その結果、南雲家とその周辺が監視されている事が判明したが、監視カメラなどはわざと除去せず、逆用してバチカンの行動を誘導する事にした。

監視カメラに恵里の姿を写す時を選ぶ事で、いつバチカンが攻撃してくるかを、こちらが誘導出来る。

バチカンに最大の政治的打撃を与えるために、途中でアジトに踏み込む事はせず、行動を起こす瞬間に一斉検挙に踏み切る事に決定した。

 

所謂カウンタークーデターのやり方である。

陰謀の初期段階で捕まえた場合、まだ具体的な罪を犯していない者を釈放せざるを得なくなってしまい、彼等が陰謀を引き継いでしまう。

それを防ぐため、計画段階ではなく、実行段階まで待ってから、叩き潰すのだ。

バチカン側がタンクローリーを盗み、アジトに集結して出撃しようとした瞬間、警官隊が突入した。

万一タンクローリーが、発進してしまった場合に備え、周辺の道路は封鎖してマキビシをばら撒き、恵里とハジメ、悪魔お姉さんが逃げ出した者を全員捕獲した。

実行グループ全員の逮捕に成功し、外部で協力していた者達も、盗聴で身元がバレていたため、同時に一斉検挙された。

 

大使から警告していたにも関わらず、ここまでの暴挙に及んだ以上、日本政府はもう穏便に済ます気は無かった。

まず日米合同でバチカンに対し、悪魔との交渉経緯とエヒトについての情報を開示した上で、日本でのテロ行為に対する発表と処罰を受け入れるよう迫った。

バチカンは情報が開示されていれば、このような事態は起きなかったと主張したが、ではバチカンは悪魔の情報を開示していなかったではないかと一蹴された。

マスコミにはカトリック教会の複数の幹部を含むカトリック教会内部のキリスト教原理主義組織によるテロ行為、たった一人の小学生の女の子を魔女狩りで殺害するため、タンクローリーを爆発させ、周囲の住民ごと焼き殺そうとしたと発表され、蜂の巣をつついたような大騒ぎとなった。

この現代に今だ魔女狩り、それも昔の魔女狩りでさえ一応裁判が有ったのに、本人を取り調べる事すらせず、子供を殺害しようとしたのだ。

カトリック教会を統括するバチカンは、管理不行き届きを認め、何人かの幹部の首が飛び、日本政府と南雲家他に賠償を支払う事になった。

逮捕されたメンバーは、バチカンから見捨てられたも同然となり、有罪判決を受け刑務所に収監された。

 

唯一クラウディアだけは、未成年である事と、自白してタンクローリーのテロを阻止するのに貢献した事が認められ、保護観察処分となった。

日本国内に身寄りが無い事から、マスコミ避けを兼ねて、ガードの固い八重樫家に引き取られ、暮らす事になった。

クラウディアは浩介を守りたいと、トータス行きを志願したため、忍術コースで体術を鍛えられる事になった。

聖女ニンジャ爆誕である。

それに悪魔お姉さんが対抗心を燃やし、弟子入りしてきた。

コスプレイベントに参加して、稼いで貯めこんでいたお金を放出して、ちゃんと入門料を払っての弟子入りである。

今度は悪魔ニンジャ爆誕である。

本人達は浩介とお揃いの格好にご満悦だった。

二人は魔法を使って編み出した聖女忍法、悪魔忍法の使い手として名を馳せる事になる。

ニンジャってナンジャろう?

 

恵里は今日もご機嫌で、ハジメと手を繋いで登校していた。

悪魔とバチカンの件は大体片付き、後の事は政府に丸投げで済む。

バチカンはこれでうまく片付いたと思っているらしいが、まだ第一段階の報復が済んだだけ、エヒトが片付いた段階で真相を全て公表する事で止めを刺す予定である。

後は修行で強化しながら、お兄ちゃんとイチャイチャしてればいい。

ハジメとの関係の変化を察した菫からは、台所を手伝いながら色々とレシピを教えてもらっている。

もう何も怖くない、そう思った時だった。

 

「おはよう、南雲君♪♡」

疫病神さんが笑顔でやって来た♡

「お、おはよう、え、ええと白崎さんだっけ」

(アイエエエ?!ファブリーズ、ナンデ?!ドウシテ?!

前回散々惚気で聞かされた、お兄ちゃんとの出会いの一目惚れ、フラグ立たないように潰しておいたのにぃ。

日時と場所、百回以上聞かされて暗記しちゃっていたから、お兄ちゃんは家に居させて、当日お巡りさんこっちですを、ボクがやって念入りに潰したのに?!

どうしてこうなった?!)

「南雲君、妹さんを助ける為に、命を投げ出してまで護るって、凄いんだね。

私だったら、体が竦んで動けないと思うよ、見ていて感動して、尊敬しちゃった」

(ソッチかいっ、なんでコイツは毎回ボクの前に立ちはだかるんだよ。

ボクにナンカ恨みでも有るんかい?!

コイツ確か前回、お兄ちゃんを監禁して独占する計画立ててたよね。

もしまたヤラカシたら、ボクが助け出さなきゃ・・・チョットマテ、お兄ちゃんは深窓の姫君かいっ。

あーれーって拐われるお兄ちゃん、無いな。

うん、大丈夫だ、お兄ちゃんがファブリーズごときに拐われる事も、ボクを裏切る事も無い、お兄ちゃんを信じろ)

 

香織の後を追って、光輝と檜山が現れた。

「香織、南雲はかすり傷しか無かったじゃないか。

車がスピードを出していたように見えたのは、何かの見間違いで本当は大したこと無かったんだ。

電柱が折れたんだって、元々ひびが入っていて、わずかな力でも折れる状態だったんだよ。

だから、そんな大したことを、したわけじゃない。

そうでなきゃ、南雲がバケモノだって事になるじゃないか」

「う、うん、でもそれは後知恵だし、咄嗟に体が動いただけでも、凄い事だと思うよ」

「いやいや、自分がバケモノで、ぶつかっても平気だってわかっていたから、庇えたんじゃないの。

そうでなきゃ、電柱はともかく、塀に大穴が空いたのに南雲が無傷なのは、説明つかないよ?

そんなバケモノを庇うなんて、白崎もお仲間だったりして」

「檜山言い過ぎだ。

香織が、南雲と一緒の訳無いだろう」

(うわあ、ムカつく、檜山のクセにい。

でも光輝君の言っている事は、常識からは正論だ。

マズイなあ、お兄ちゃんの竜化の事がバレたら、学校で完全に孤立する。

クソッ、お兄ちゃんが毎回ピンチになるのは、みんな白崎が悪いんじゃないか!

余計な事ばかり言って、火種ばらまきやがって!

少しは後始末しやがれ!

とりあえず、白崎と檜山の争いを煽って、お兄ちゃんから注意を逸らすか)

 

恵里は爆弾をほん投げた。

「ねえ、光輝君、白崎さんの事好きなのかな?」

「なっ、何を言い出すんだ?」

「だって、よく目が白崎さん追っかけているから」

「南雲、テメエ余計な口利くんじゃねえ。

俺に散々嫌がらせしやがったテメエが、まだ光輝を狙ってやがるのか?!」

「嫌がらせの事は反省しているし、光輝君の事は完全に諦めたよ。

ボクじゃ光輝君にふさわしいとは、言えないし、そうだろう。

ただそうなると、光輝君にふさわしいのは誰かなと思っただけだよ。

檜山君は誰がお似合いだと思う?」

「ウルセエー、ネクラ女はアッチ行きやがれ」

(よしよし、うまく煽れた。

これから少しずつ煽って、対立を深めて行こう。

まっ、白崎は檜山を相手にしないだろうから、いずれ沸点の低い檜山が暴発するだろうな。

うまく大騒ぎを起こして、お兄ちゃんの目眩ましになってくれよ)

 

その後、檜山が香織にしょっちゅう絡んで、光輝を巻き込み、校内で毎日のように三角関係のドタバタを繰り広げ、クラスメートの注意を卒業まで完全に引き付ける事になっていった。

卒業式で檜山が香織から嫌がらせを受けたと糾弾する事件が発生したが、なぜか証拠の捏造がバレたり、証人として呼ぼうとした生徒が架空の人物だったりして、自滅した。

檜山は香織の企みだと、叫んでいたが檜山を嵌めた黒幕が誰かは未だ不明である。

 

??「いやあ、悪役令嬢なんて檜山君に言われたからには、少しはそれらしい事をやらなくちゃねえ♪」

 

 

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