恵里は今日も壁に頭を打ち付ける(完結)   作:コミッサール

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第二話だけだと短いので、第三話も投稿致します。
次の投稿はもう少し、時間がかかります。


第三話 巡る因果応報、糸車

中村家の一室で、恵里の母親は床に座り込み、茫然とした顔でブツブツと呟いていた。

「アレはナニ?黒い翼なんて人間じゃない、悪魔かナニか?

じゃあ、アレは恵里じゃない偽物?

いったい、いつ恵里とすり変わったの?

でも最近変わった様子は全然なかったわ。

あの子が変わったのは、あの人が死んだ時からだった。

という事は、ずっとずっと前から?

そうだ家に悪い事ばかり起きるのは悪魔がいるせいだったんだ。

あの人が死んだのも、アレの仕業だったんだ。

そうよ、あの人との愛の結晶のせいであの人が死ぬなんてあるはずがなかったのよ。

本物の恵里もとっくに殺されて、ずっと騙されていたんだわ。

許さない、あの人と恵里の仇を討たなければ」

彼女はユラリと立ち上がると、キッチンに向かっていった。

 

 そんなことが起きているとは露知らず、未来の夢に酔いしれていた恵里は、今後の計画を立てていた。

(ウ~ン、最初はやはりヒモ男の始末かな?

前回と同じ日にするために、後一週間待つ必要あるかな?

アイツからボクに手を出させればいいんだし、万一押し倒されたとしても、短時間なら限界突破使えるから、確実に叩きのめせるよね。

アイツは最初からボクをヤラシイ目で見てたから、わざと隙を見せてやれば・・・・・(汗)。

あれっ、ちょっ、ちょっと待てよ。

前回は小学生の時だから深く考えてなかったし、その後はどうでもよかったから思い出しもしなかったけど、小学3年生のボクを襲うって、そうゆう趣味の奴?

で、でも、そうなら、なんで大人のうちの母親と一緒になったんだ?

まさか最初から本当のターゲットはボクで、うちの母親は近付くための道具?

そういえば、うちの母親がアレを家に連れ込むよりずっと前に、スーパーでアレに声をかけられたことががが。

ウゲェェェ、ヤベエ奴じゃないか!!

ウン、ハッキリ決めた、ツブスと決めた、いつ殺るか?今でしょ!!

あんなノータッチも守れない変態男と同居なんて、1分でもお断りだ)

恵里はヒモ男がベッドの上に寝そべってスマホをニヤニヤ見ているのを見つけると、媚びた笑顔を造って着崩した服装で近付いていった。

 

 男はこれまで逃げ回っていた恵里が珍しく自分から近付いて来たのを、ニタニタ笑ってベッドに座らせた。

「おう、いい所に来たな、楽しい事を教えてやるぜ」

男が伸ばした腕を恵里の手がパッと掴んだ。

次の瞬間、恵里は男の手を自分のワンピースに引っ掛かけ、一気に引き裂き、絹を裂くような悲鳴を上げた。

「テ、テメエ何をしやガァ…」

恵里の足が立ち上がろうとした男の股間にめり込み、ブチッとツブレル音が響いた。

ピクピクと痙攣しながら倒れる男を見ながら恵里は会心の笑みを浮かべた。

 

(ナイスショット。

いやー、スッキリしたねえ。

こんな清々しい気分は始めてだよ。

でも、ちょっと残念だね、ねえ今どんな気持ち?って言って見たかったからね。

さあて、次は用意しといたタマネギ使って涙を流しながら、外へ飛び出せば完璧だ。

破けたワンピースにはヒモ男の指紋が付いてるから、コイツの言い訳なんて誰も信じない。

これで終わりだ)

 

突然後ろから「ズブリッ」と音がして、恵里のお腹から包丁の切っ先が飛び出した。

「ガァァァァ!!」

絶叫する恵里が振り返ると、血走った目をした母親が叫んだ。

「死ね、悪魔!!」

恵里が咄嗟に限界突破を発動させて母親を突飛ばすと、母親の手に引っ張っられ包丁がズルリと抜け落ちた。

 

(マ、マズイ、深傷を負い過ぎたうえに、限界突破のタイムリミットが来たら、動けなくなる。

後一撃でも食らったら死ぬ。

タイムリミットまでに逃げ切らなければ、やっぱり死ぬ。

かといってこの二人を殺したら、ボクが社会的に死ぬ、チクショウめえ)

恵里はよろけながら、倒れた母親の上を飛び越えて、部屋から逃げ出した。

後ろから母親が悪鬼羅刹のような顔で追いかけ来て、更に意識が回復したヒモ男の叫びが響いた。

「優しくしてやりゃあ糞ガキがあ、ぶっ殺してやる!!」

恵里は傷口を押さえながら、家の外に飛び出した。

だが、大量の血を失ったため身体がふらつき、追跡を振り切れない。

(クソッ、こんな住宅街じゃダメだ。人通りのあるデカイ道路に出て車を停めるか、ビルの中に逃げ込まないと。

時間切れになったらオシマイだ。)

恵里は公園を突っ切り、大通りに出ようとする。

公園に飛び込んだ恵里に、自転車の練習をしていた男の子が鉢合わせして衝突する。

スピードが出ていなかったので、転んだだけだったが、現状では致命的だった。

(この馬鹿やろう、せめて盾になりやがれ)

追い付いてきたヒモ男との間に男の子がくるように廻る。

(よしっ、走って、ウッ)

膝から力が抜け落ち、意識が遠のいていく。

(タイムリミットがっ、あ、後せめて5分でいい、時間をくれえ)

男の子の服の裾を掴み、手を伸ばすが、がくりと膝を付き、絶望に墜ちる恵里。

(どうして、こうなった?!

ボクは何のために逆行したんだ?!)

気が遠くなり、恵里の意識は暗転した。

 

 




恵里の過去の回想に出てくるヒモ男ですが、良く考えるとヤベエ奴ですよね。
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