恵里は今日も壁に頭を打ち付ける(完結)   作:コミッサール

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エリリン劇場第三十七幕始まりま~す。
今回は原作のオルクスのお風呂話にあたる物です。
R18規制に掛からないように、話を大人しくしたので、分かりにくいかも知れませんが、ご勘弁下さい。
後、感想返しで後二話位と申し上げましたが、お風呂話を独立させる事にしたので、一話増えております。


第三十七話 永遠の絆

ほとんどの魔物に気付かれる事無く、ライセン大峡谷を疾走する一団のニンジャ達。

初めて見る種類の魔物と不幸にもニンジャに気付いてしまった魔物だけを刈り取りながら、ライセン大迷宮に突き進む。

オルクス大迷宮では付いていくのも精一杯だった香織も、今ではちゃんと付いてこられるようになっている。

ユエはまだ流石に無理なので、雫に背負われて移動しながら話していた。

「教えて欲しい、南雲ハジメとはどんな人?」

「ユエさんにはどう見えた?」

「むう、覇気の無い頼りない男、お姉様を護れるような男に見えなかった」

「そうね、昔の偉い人を評した言葉で「鐘のような男だ、小さく撞けば小さく鳴り、大きく撞けば大きく鳴る」ハジメ君はその言葉が当てはまる人だと思うの。

最初会った時は、私もおとなしい目立たない人だと思ったわ。

でも、恵里ちゃんを敵から護る時、イジメを受けた私を助けてくれた時、ハジメ君は凄まじい覇気を発して、どんな恐ろしい相手でも怯む事無く、立ち向かって勝利してきたのよ。

敵が強ければ強い程、ハジメ君はもっと強くなれる人。

そして単に強いだけじゃなくて、色々と出来る人なの。

私が着ている服全部、ハジメ君が作ってくれた物なのよ。

初めて魔物を食べた時、私達みんな身体が急成長して、私が着ている服全部破けちゃったのよ。

身長が数分で10センチも伸びて、身体全体がふた回り大きくなったの。

下着なんかビリビリ破けて、恥ずかしい格好になって大変だったわ。

そしたらハジメ君が、その場で採寸して、デザインも私達の希望通りに、錬成して作ってくれたの。

ユエさんもハジメ君の側に居れば、いずれ本当のハジメ君を知る事が出来るわよ」

「シズシズは南雲ハジメが好き過ぎ」

「ええ、大好きよ」

「いっそ奪えるものなら、そう考えた事もある?」

「いいえ、恵里ちゃんという半身と離したら、ハジメ君はきっと壊れてしまう。

だからせめて、もう一度生まれ変わって会えたなら、今度はハジメ君の一番になりたいって思うぐらいよ。

大好きだからこそ、ハジメ君には幸せになって欲しいの」

「むう、シズシズは人が良すぎ。

変な男に引っ掛からないか心配」

「何よ、それえ」

二人の会話をユエの背中に付けた屍虫で聴き、恵里はホッと一安心した。

(うん、ユエさんもスマッシュしてくる様子は無い。

でもホント雫ちゃんには頭が上がらないなあ。

悪いけどもう来世もお兄ちゃんをキープしてしまったし、雫ちゃんにも幸せになって欲しいよ)

ハジメの背中に背負われて移動しながら、恵里はハジメの耳元で罵倒した。

「お兄ちゃんのケダモノ、ケダモノ、このケダモノ♡」

 

時は前日に遡る。

オスカー・オルクスの遺産の調査を一段落させたハジメは風呂に向かい、呆気にとられていた。

脱衣場の手前にいつの間にか番台が出来ており、恵里が陣取っていた。

「ナニコレ?」

恵里は得意満面で説明した。

「 お兄ちゃん、これは雫ちゃんと二人で作ったんだよ。

この番台が有る限り、許可を得ない者は結界に防がれて風呂場に侵入出来ないから、お兄ちゃんは安心してお風呂を楽しめるよ」

「ナニその無意味な高性能?

こんな所で誰が覗き見するんだよ?

ところで雫ちゃんは?」

「さっき、侵入してお兄ちゃん待ち伏せしようとしていた白崎さんを、キリキリ連行していった。

これから徹夜で説教するって言ってたよ」

「エエ?!ホントに役に立ったのかよ、コレ?!

何考えてるんだよ、白崎さんは?!」

二人は話をしながら脱衣場へ入っていく。

「まあまあ、ゆっくりしていってよ。

ボクが背中流してあげるから」

ハジメの動きがピタリと止まった。

「恵里ちゃん、自分が何言ってるかわかってる?

そんな事されたら、僕は自制心のタガが外れて我慢出来なくなるよ」

「もちろんだよ、これから起きるハルマゲドンは、謂わば核戦争みたいな物。

エヒトは確実に倒せると思うけど、正直生き残れるかは運次第だ。

それでも前回の倒し方もわからないのに、お兄ちゃんを何とか成るさと、エヒトに突っ込ませるなんて、ギャンブルみたいなやり方よりはマシだけど。

だからハルマゲドンが始まる前にお兄ちゃんと結ばれたい、嫌かい?

いまなら、家主さんも引き込もってるから、邪魔は入らないし」

震える手を差し出す恵里を、ハジメは窘めた

「恵里ちゃん、やる事の順番が違うだろ」

「えっ、な、何だろ?

ボク何か忘れてる?」

「そういう事はちゃんと結婚してからやるべきだろ。

僕はまだプロポーズもしてないんだよ。

色々セリフ考えてたのに!」

「エエエッ、けっ、結婚?ボクがっ?」

「そうだよ!指輪だって絶対壊れない最高の素材が手に入ったから、こっそり作ったし、ウェディングドレスだって、服の作り方勉強して、レーザーレーダーで計測した恵里ちゃんの3Dモデル作って、サイズ調整してたのに!

デザインだって三種類作って、好きなの選んで貰おうとしてたんだよ!」

「そ、その何と言うか、ゴメン。

でも、そのアリガトウ!」

茹でダコのような顔の恵里の耳元で、同じような顔のハジメが言葉を囁き、恵里は涙を零し笑顔で頷いた。

 

二人とも互いに目を合わせない、ギクシャクした動きで風呂に入って念入りに身体を洗った後、ハジメが使っている工房に入った。

ウェディングドレスの見本を見て、恵里は散々迷った末、オパールのように光を受けると様々な色に輝く素材の物を選んだ。

ハジメがそれを変身アイテムの原理で組み込んである婚約指輪を恵里の指に嵌めると、恵里の姿が一瞬でウェディングドレス姿に変わる。

今度は恵里がハジメに嵌めると白のタキシード姿に変わった。

当初はモーニング姿を検討していたのだが、モーニング仮面のとばっちりでボツになったのは秘密だ。

二人とも神の実在は知っているが、確認出来ている範囲では碌でもない神(エヒト、アザトース)しかいないので、神の代わりにお互いの魂に誓いを立て、結婚指輪を交換し、最後に口づけを交わした。

 

その瞬間、恵里の身体がビクンと跳ねた。

恵里の魂はハジメの魂と繋がっている。

それが結婚指輪に組み込まれたアイテムの効果が、口づけをトリガーに発動し更に深い所まで繋がったのだ。

二人の心の奥底まで繋がり、互いの秘めた想いと欲望が剥き出しに暴かれ、感覚まで共有される。

ハジメの恵里への深い深い愛情と欲望が、恵里の心に大波のように押し寄せ、恵里はハジメに心を侵された。

恵里の心にはハジメの欲望は巨大なケダモノに見えた。

そのケダモノの目が恵里を喰らおうとギラギラと見ている。

なのに全然恐怖を感じない。

(アハッ、オナジだから、お兄ちゃんもボクもケダモノだからだ♥)

ハジメと恵里の心はケダモノに堕ち、互いの心を喰らい合い、心の隅々まで曝け出した。

 

翌朝、恵里はウェディングドレス姿のまま、ハジメに宣言していた。

「お兄ちゃんに言っておきたい事がある。

ボクに途中で休む時間ぐらいよこせ!

ボクに魔物から吸収した能力、変な使い方するな!

ボクの結婚指輪、感覚共有しないよう改修しろ!

ボクの面倒今日一日見る事!

お兄ちゃん色々夢見るのは良いけど、トンデモなさすぎぃ!!」

 

(前回のユエさん、なんで生きてるの?

今のボクよりレベル下だった筈だし、魔法メインタイプだから体力無い筈なのに?

あっ、そういや魔力がある限り無限の超回復持ちだった。

魔力はお兄ちゃんから血を吸えばこれまた回復、ズルイ(泣)

でも、身体はともかく、精神が持たなかったんじゃ?

ああ、だからハーレムに文句言わなかったのか。

知りとうなかった。そんな身も蓋もない真実(泣))

 

さてここで身も蓋もない数字の話をする。

ハジメがオルクス大迷宮をクリアした時のステータスの数字だが、軽くオール一万越えを叩きだしている。

それに対し、ユエのステータスはもっと後のウルの町防衛戦後でも身体系ステータスは僅か体力300が最大だった。

ハジメの体力一万三千はその43倍、黒竜体型になったティオでさえ体力は八千に満たないというのにだ。

つまりハジメは黒竜の六割増しの体力という事になる。

人が竜の相手をして、身体が持つ訳がない。

 

そして原作と違い、こちらのハジメは竜因子のためレベル1でステータスが千越えて、アンノウン戦でレベルが跳ね上がり、召喚で更にステータスが強化され、奈落で魔物因子を受け入れ、更にまたレベルがカンストし、・・・。

少なくとも、オール二万越えているんじゃなかろうか?

そんなバケモノを相手にすれば、いくら恵里がレベルがカンストしていても只では済まない。

「お兄ちゃんの、お兄ちゃんのバカァー」




最初に書いたのが、R18に当たるか判断が付かなかったので、大幅改定してそういう事をしたかどうか、わからないようにしました。
ハジメの心の中のやりたいリストを見て、恵里がハジメを叱っているとも解釈出来ると思います。
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