思ったより長くなりましたので、前後に分割いたしました。
皆様の長らくのご愛顧に心より御礼申し上げます。
筆者の初めての拙い作品にお付き合い頂き有り難う御座いました。
なお、光輝はこんな性格じゃ無いとお考えになる人がいらっしゃるでしょうが、恵里を助けたという、小学生の光輝の人格に巨大な影響を及ぼしたイベントが消滅したため、性格が大きく変わっています。
小学三年生の年で女の子を助け、回りの大人から称賛される、そりゃあ正義バカにもなるでしょう。
正義バカでなくなり、恵里が改造されたのは自分のせいと思い込んだため、贖罪のため滅私奉公する人になりました。
これは変わっていない思い込みの強さが珍しく良い結果をもたらしています。
ノイントは教皇の命令書で王国の抵抗を排除し、檜山を連れ出した。
光輝に会わしてやると希望を与え、代償として改造した。
檜山もノイントを信用する程馬鹿では無いので、おとなしく改造を受け入れ、隙があれば逃げ出すなり行動する気だ。
ノイントは真オルクス大迷宮に侵入した。
奈落からのルートには出入り用らしいロープが張ってあり、間違えようがなかった。
真大迷宮では使徒とエヒトのリンクが切れてしまうため、何が起きても報告する事が出来ない。
絶対に逃がさないよう、ノイントが第二層に降りきて恵里達とぶつかった直後、第一層の入り口の水路をリモコンで爆破して埋め立てた。
水路部分は迷宮では無いので、破壊可能だ。
後は次々と解放者達の魔法の支援の元、ローラーダッシュの機動力で波状攻撃を掛け、ノイントの魔力を消耗させる。
エヒトとのリンクが切れたため、魔力の補給ラインも切断されているからだ。
こちらの数が多すぎるため、ノイントは飽和攻撃を防ぐのが手一杯で、攻撃する余裕が無い。
恵里達七人に光輝、解放者達七体、計十五人掛かりだ。
まるでウルトラリンチのような袋叩きの末、魔力を使い果たしたノイントは縛鎖の魔法を何重にも掛けられて拘束された。
「無駄な事です、イレギュラー
私を破壊しても代わりは幾らでもいます。
我が主に勝つ事など不可能です」
「うん、知ってる。
だから「ボクは」エヒト神に勝とうなんて、欠片も考えちゃいないよ」
意味が分からず微かに困惑を表すノイントの背後に、魂魄魔法を司るラウス・バーンが憑依したゴーレムとリーゼロッテが近寄った。
ノイントにヘッドギアを被せ、ノイントのプログラムに干渉する。
想念の集合によるAIもどきのノイントに新たなプログラムをインストールする。
これまでのプログラムに反する物では無いため、防衛プログラムに引っ掛かりにくい。
「我思う、故に我有り」この言葉を核に自我を形成させ、使徒に人格を与えるプログラムだ。
これをノイントが使徒の統制ネットワークに再接続すると同時に、ネットワーク経由で他の使徒達に流し込むのだ。
このプログラムには特定の、たとえば「エヒトを倒せ」などの命令は、一切含まれていない。
使徒毎に、より強い想念を中心に自我が形成される事になるので、性格も考え方も使徒毎に全て違う存在になる。
自我が形成されても、直ぐに行動が変わる訳では無い。
これまでの命令は消された訳では無いし、出来たばかりの自我はまだ弱いから、命令に逆らう事も無い。
だが強いストレスに晒されれば、たとえば大量殺戮を命じられたり、死の恐怖を感じるような激戦になれば、潜在していた自我が一気に表に出てくる事になるだろう。
エヒトのロボットである使徒達に、心と自由を与え「解放」する。
このプランは解放者達に大いに受け、全面的な協力を引き出した。
ノイントへの処理を終え、この場所の記憶を消去して、光輝は他へ移動していたと報告させた。
そのタイミングで光輝は生徒達の所へ戻り、ノイントの報告の信憑性を高めた。
全てうまくいったと、ノイントの処理に成功して気が緩んだ恵里達。
だから檜山が戦闘前にこっそりノイントの側を離れて、迷宮内部に潜んだのに気付かなかった。
エヒトの改造による高度なステルスと感覚強化による偵察、追跡用の能力持ちのため、一度潜まれると見つけ出す事は出来ないのだ。
そして魔物化しているため毒が効かない檜山は、魔物を捕食する事でレベルと特殊能力を得て、ゆっくりと力を蓄えていった。
その頃王国では、光輝を逃がさない為、婚約者になったリリアーナ姫と光輝は親睦を深めるため、何度も逢瀬を繰り返し、真オルクス大迷宮を「裏口から」視察していた。
光輝に解放者達や恵里に引き合わされ、何が起きるか知らされたリリアーナは、以後光輝とハルマゲドン対策を練っていた。
「それでオルクスの収容可能な人員は、戦争が始まる一月後までで、どこまで増やせるのですか?」
光輝が資料を拡げた。
「これが拡張工事の進展具合の予測グラフ、後王国各地への転移魔法陣の設置準備状況。
正直全国民のシェルター避難は無理だ。
幸い予見者のシアさんの協力で被害がひどい地域は前もってわかっているから、そこからの避難を優先する。
被害が少ない地域は、敵も弱いって事だから俺と清水で倒せば被害を減らせるだろう」
「光輝さん、貴方の尽力には感謝の言葉も有りません。
なぜ、貴方は関係無いトータスの人々のためにここまでして下さるのですか?」
「俺というくだらない人間の話だ。
昔女の子が一人、俺を地球から拐う練習台にされて、トータスに拐われ改造人間にされた!
あいつはたった九歳だったのに、あいつが俺の身代わりで地獄へ放り込まれている間、俺は何も知らずにのほほんと生きていた。
正直俺に怨み言を一杯言いたいだろうに、あいつは俺と精一杯仲良くしようと、近付いて来てくれた。
それなのに、何も知らない俺はあいつを邪険にしちまった。
エヒトも許せないが、俺は俺自身を一番赦せない!
だけど、悔しいが今の俺にはエヒトを倒すような力は無い。
だから俺は俺に出来る事を精一杯やる事にした。
あのエヒトのクソ野郎を倒す途中で出る犠牲者を少しでも減らす!
これが俺に出来るあいつへの償いだ。」
リリアーナ姫と侍女のヘリーナは暖かい眼で光輝を見た。
「いえ、エヒトに情報が漏洩するのを防ぐためとはいえ、他国の民を全て切り捨てた挙げ句、お父様にまでこの事を教えていない外道の私よりは遥かに立派な方です」
シアは縫いぐるみ型通信アイテムのウサウサ君を通じて語り掛けた。
「そんなに何もかも一人で背負い込む事ないですよ。
そんなこといったら、私なんかとっくに首括らなきゃいけなかったですー。
部族のみんなは私を庇ったばかりに、故郷を捨てて犠牲者を出しながら、やっと今の場所に辿り着いたんですから。
光輝さんは私が予見で導きますから、絶対に死なせませんよ」
シアは未来を視る事が出来る。
しかし過去を視る事は出来ない。
だから光輝の聞かされた話が、わざと誤解するよう恵里が仕組んだ引っ掛け話だと知らない。
だがインチキからでた真が人を幸せにする事もあるという事なのだろう。
光輝達はいい雰囲気で、和気藹々と話していた。
清水は人間形態のティオの前で土下座していた。
なぜそうなったか?
清水はプラズマ砲の実験でティオにプラズマ砲を連続発射させ続けていた。
「焼き払え!薙ぎ払えー!」
「グルル(も、もう、無理~)」
「ええい、それでも世界を焼き払った邪悪な一族の末裔か?!」
「グルル(そんな事しとらんー)」
清水が調子に乗ってクシャナ殿下ゴッコして遊んだ結果、魔力切れで人間形態に戻れた。
改造後のティオは人間形態にも関わらず、尻尾が消えず、身体のアチコチに砲塔や色々な武器が着き、片腕にはドラゴンを思わせる巨大な鉤爪が付いている。
まんま艦隊コレクションに出てくる深海棲艦である。
特に爛々と光る血走った眼に、牙を剥き出しにしたコワ~イ顔がそっくりだ。
「のう、妾をこんな身体にした責任はどうしてくれるんじゃ?
落とし前は付けんといかんのう」
「は、はい、俺は男として責任を取ります」
「お、男として?そ、そんな事を急に言われてものう」
頬を染め、モジモジしたティオに清水は宣言する。
「いえ、俺の責任っす、俺の誠意を見せるっす!
俺も貴女と同じ改造人間になるっす!」
「男の責任って、違うじゃろう、それ!
期待させておいて、なんか違うと思わんのかあ!
ええい、お主のようなアホは野放しに出来んわ!
お主がこれ以上人様に迷惑かけんよう、妾が一生見張ってやるから覚悟せい!!」
「よ、よろしくお願いするっす!」
そして遂に戦争が始まる。
夕日が落ち、夜の帳と共に「彼等」は来た。
恵里達が据え付けたオーブが発する魔力をビーコン代わりに、トータスの魔力の地脈が豊かな七つの場所に巨大ゲートが現れ、七王が直卒する悪魔の軍団が、整然と隊形を組んでゲートから続々と出現する。
各軍団はゲート周辺に事前計画通り展開し、六芒星の形の土塁で囲まれた橋頭堡を設営し、地脈から魔力を吸い上げていく。
次々と悪魔達が受肉し、戦力が跳ね上がっていく。
無論エヒトはゲートが開いた時点で、超知覚力で状況を把握した。
これだけ巨大なゲートによる空間変動に気付かないなどあり得ない。
ただちに球状の小空間の集積体である神域の、ウニのトゲのような部分が次々と通常空間に突き出した。
トゲの表面にビッシリと有る蜂の巣状の壁龕に入っていた使徒達が眼を空け、次々と飛び出していく。
エヒトは悪魔側のエネルギー量から、現時点なら間違いなく勝てると判断した。
悪魔側はゲートの大きさに通行を制限され、向こう側にまだ多くが残っている。
受肉による急成長も、強力な個体ほど膨大な魔力が必要な為、まだ完成には時間がかかる。
上陸作戦と同じで最初の一日が勝敗を決める最も長い日となるのだ。
他にもまだゲートを作られる可能性もあるので、各上陸ポイントに使徒をまず一万ずつ差し向け、損害無視の突撃を命じた。
その後方に五十万の本隊が展開し、前衛の戦況を見て、投入される筈だった。
悪魔側は時間稼ぎの為か、土塁の後ろに皆隠れ、突撃は成功するように見えた。
その突撃をひっくり返したのは、ちっぽけな部隊だった。
ベレー帽を被った英軍兵士達が受領に来た悪魔の書類を念入りに確認してから、トレーラーで搬入した物体をセットして、空間魔法に優れた高位悪魔達に幾つも引き渡していく。
周囲には同じ物を積んだトレーラーが何十台も止まっていて、米軍のマークのトレーラーも見える。
悪魔達はその物体を数人掛かりの班で持ち上げると、パッと姿が消え、突撃してくる各使徒軍団のすぐ後ろに現れた。
担いできた物体を捨て、再度転移で退避する。
後方の使徒達が危険を感じ、その物体を分解砲撃で破壊しようとしたが間に合わなかった。
ルシファーが命じた。
「総員対衝撃波、対閃光防御」
悪魔達が一斉に土塁の陰に伏せた。
次の瞬間、各使徒軍団の後ろに目が眩むような閃光が輝き、後方の使徒達が瞬時に蒸発してゆく。
蒸発しなかった使徒達は熱線に炙られて火達磨になり、爆風で身体がバラバラになり、地面に叩き付けられ、七万体の突撃は崩壊した。
「地球舐めんな、ファンタジー!だっけ。
いい言葉だねえ。」
沸き上がる水爆のキノコ雲を神山の上から眺めながら、ゴーグルを外して恵里は嗤った。
前衛部隊の壊滅にエヒトは顔を引つらせたが、無傷の主力部隊の使徒に対し、散開して悪魔を攻撃する事を命じた。
そうすれば、核攻撃を受けても損害は少ないし、接近戦が始まれば、巻き添えを恐れて使えないからだ。
だが使徒達は命令に従わない。
それどころか、五十万もの使徒がバラバラに逃げ始めた。
心が出来たばかりの使徒達は、あまりにも精神的に弱かった。
幼児並みの弱い心の持ち主が、仲間が核攻撃で蒸発し、火達磨になり、バラバラにされる無惨で残虐な光景を人間の何十倍の知覚能力でハッキリ見てしまったらどうなるか?
使徒達は悲鳴を上げ、泣き叫びながら全速で逃亡した。
無防備になった神域に、受肉を終えた悪魔達が空間を抉じ開け、内部に雪崩れ込んでいった。
魔物など幾ら数がいても、壁にもならなかった。
ナイフしか無い相手を戦車で踏み潰すような、戦いとも言えない戦況だった。
「陛下、これでは戦さというより、狩りですな」
「アガレスよ、そなたの手配りのお蔭だ。
狩りを楽しむとしようぞ。
何、最後に大物が残っておる」
核爆発の爆発音で叩き起こされた首都の民衆は、城壁越しに見える巨大なキノコ雲に怯えていた。
安全な場所に避難を命じる騎士団に従い、大広場に移動する民衆は、広場にあるゲートに飲み込まれて消えた。
リリアーナが始めている国民の避難を妨害から守るべく、ガンダム姿のクラスメイト達は騎士団と警備と誘導に当たっていた。
密かに最前線から戻されたメルド元団長に説得された騎士団は、リリアーナ姫の指揮下に入っていたのだ。
首都に密かに複数設置されていた転移魔法陣が作動し、避難する国民を各大迷宮に送り出す。
これにより放射能被曝から守り、エヒトの手が届かぬ大迷宮に国民を入れる事で、信仰心が送られる事も防ぐ。
迷宮に着いた民衆は魔法で眠らされ、解放者達が指揮するゴーレムや魔物に運ばれ、安置された。
だが全ての民が避難出来る訳では無い。
地方まで全て避難は無理だ。
「だから俺達がここにいる!
シアさん導いてくれ!」
「はい、任せて下さい!」
光輝の背中にしがみついたうさうさ君からシアの気合いの入った声が響いた。
光輝と清水、ティオは手分けしてシアの予見で被害に遇う場所に向かった。
統制から外れたエヒトの魔物や、不幸な流れ弾と称して人間を殺戮し魂を摘まみ食いしようとする下級悪魔などと、次々と戦い、最後の敵を倒した光輝は疲労困憊していた。
聖剣を支えに息を吐き、清水達と合流するため立ち上がった時、近くの町から爆発の轟音が響いてきた。
燃え盛る炎をバックに暴れている人影が見える。
核攻撃の有り様を目撃して、発狂してしまった使徒達だ。
狂っていて、あまりにも支離滅裂な行動を取り続けているため、シアの予見にもかからなかった。
ケラケラと嗤いながら、目に入る全ての者を殺戮するバーサーカーの群れ。
「光輝さん、ダメです、逃げて!
勝ち目の無い相手です!」
「シアさんゴメン、俺もう逃げるのはイヤなんだ。
俺が殺られるまでの間に、あの町の人も少しは逃げられるんじゃないかな」
光輝は聖剣を抜き、聖鎧の上から装着したジェットローラーダッシュを吹かして、使徒の注意を引き付けるべく突進した。
「ああもう、だったら勝ちなさい!!
私の予見のサポート受けながら、負けるなんて許しません。
負けたらお仕置きですよ!!」
光輝は吹き出し、おもいっきり笑った。
(なんだろう?勝てっこないのに全然負ける気がしない)
それからは辛く苦しい戦いが続いた。
シアの予見の助けとジェットローラーダッシュの機動力が無ければ、瞬殺されていたろう。
何とか使徒の間に割って入る事で、同士討ちさせる事に成功したが、代償に片腕を分解された。
ボロボロになって体力も尽き果てた光輝に、最後の使徒がケタケタと嗤いながら分解砲撃を掛けようとして、背後から砲撃の直撃を喰らってバラバラになった。
シアの急報で全速力で飛行して駆け付けてきた、ティオのプラズマ砲の狙撃が命中したのだ。
ブレスを収束して直進性を高め、射程を大幅に伸ばしたプラズマ砲で無ければ間に合わなかったろう。
「のう清水、お主の造ったプラズマ砲とやらが、お主の友の命を救ったぞ。
良かったの。
妾もデスザウラーとやらになって良かったと、初めて思ったぞ」
清水は喋ろうとして、言葉にならず、嗚咽を漏らしながら、ただ涙を流していた。
清水は彼の成りたかった特別な存在になり、夢を叶えた。
膝を付く光輝の後ろから影も音も無く忍び寄る姿が有った。
浩介をも上回るステルス能力を迷宮で得た檜山は、光輝を手に入れる確実なチャンスが来るのをひたすら待っていたのだ。
ティオ達に気付かれる事無く、光輝の真後ろに付くと蛇の様に口がパックリと開き、丸呑みにしようとした。
抵抗出来ないよう体内に呑み込んで、光輝の魔力を吸い尽くし、無力化して自分の物にするのだ。
その妄想は突然断ち切られた。
光輝が前を向いたまま、聖剣を脇の下から突き出し、檜山の無防備な口の中に突き刺したのだ。
完璧なステルスであっても、シアの予見を逃れる事は出来なかった。
一撃で延髄まで断ち切られた檜山に向き直り、光輝は涙を溢しながら別れを告げた。
「さよなら、俺の友達」
檜山は崩れ落ちながら、微かに笑い答えた。
「さよなら、友達」
エヒトはなおも全力で抵抗する。
葡萄の房のように、亜空間に浮かぶ多数の球体状の小空間が繋がる事で構成されている神域その物が鳴動し、悪魔が侵入した小空間が空間毎弾け飛び、悪魔達を引き裂き亜空間に放り出す。
使徒と魔物の製造プラントは全力稼働し、汚染されていない使徒を生産する。
教会を使いトータスの人間から信仰を吸い上げ、エヒトの力を増大させようとする。
だがその時既に本山は襲撃を受けていた。
本山のメイドさん達との逢瀬で、教会の出入口を全て把握したモーニング仮面の手引きで、恵里達ネコレンジャーが入り込んでいた。
侵入していくネコレンジャーを見送りながら、パラディ護衛官がジェファーソン・オルグレイに語りかけた。
「いやあオルグレイさん、寝返りしませんでしたね」
「ハッハッハッ、パラディ君がいつでも私の後ろから撃てるように見張っているのに、そんな事する訳がないじゃないか。
ちゃんと盗聴器は付けていたんだろう?
私の無実を証明するため、あえて捜して外したりせず、聴いてもらっていたのだからね」
「ええ、お蔭で聴きたくもない.、メイドさん達との逢瀬まで聴かされてウンザリしましたけど。
ああ、そうでした、今回の功績に対しお上からオルグレイさんに報奨がありますので、こちらをお読み下さい」
渡された書類を読んだオルグレイの顔が引きつった。
「パラディ君、目の迷いで無ければ、これは私の財産のほとんどを寄附するという誓約書のようだが?
これの何処が報奨なのだね?」
「イイエ、報奨ですよ。
今回の功績で特別に、財産と引き換えにこれまでの数々の罪を帳消しにして下さるとの有難~い思し召しです。
ね、ヒュドラ首領のオルグレイさん」
オルグレイはガックリと肩を落としたが、すぐにシャンと背筋を伸ばした。
「フム、ここにはビジネスチャンスが腐る程有る。
すぐに何倍にもして取り返せるだろう。
私の輝かしい未来を祝して、どうだね今夜は一杯?」
「イ~エ、遠慮いたします。
メイドさん達に刺されたくありませんので」
「そんな、私と君の仲じゃないか?」
「犯人と捜査官の仲デ~ス♪」
溜め息を吐くオルグレイとパラディは闇の中に消えていった。
見張りの死角の使用人用通路を進み、鍵は恵里が紙より薄くした灰翼を、ドアの隙間に入れ分解切断して開ける。
ネコのように音を立てず、天井に張り付き、ステルスモードで地下の大魔法陣のある部屋に音も無く忍び寄る白い影のニンジャ達。
ノイントが守るここは、トータス各地の教会が集める人々の信仰心を、エヒトの元に送信する極めて重要な場所だ。
これが有るからこそ、エヒトは神として力を振るえている。
作戦段階では、神山毎吹き飛ばすメガトン級水爆による核攻撃が検討されていたが、地下深くに隠された魔法陣を破壊出来る自信が無いため、恵里達の出番となった。
ドアを開け、中にいた当直の神官とノイントに容赦無く奇襲砲撃を叩き込んだ。
反応出来ない神官を、咄嗟にノイントは銀翼を拡げて、我が身を盾として庇った。
銀翼でカバー出来ない無防備な背中を灼かれ、抱え込んだ神官毎、壁に叩き付けられたノイントは崩れ落ちた。
だがエントリールームが片付いただけ、戦闘は始まったばかりである。
賛否両論有るでしょうが、光輝君も清水君もハッピーエンドです。
ついでにヒロインの何人かもそっち行きましたが、展開上そうなりました。
シアは原作のタイトな出逢いタイミングから、恵里達と出逢う事自体無理ではないかと。
恵里達がオルクスを出るタイミングがちょっとずれただけで、シアはお仕舞い。
予見でシアの方がタイミングを合わそうにも、魔物と帝国兵に挟まれ、それを許される状況ではありません。
かといって、ライセンの魔物に食べられましたではあまりにも可哀想。
結果ミレディの元に。
そうなるとハジメの後付いて歩く展開自体無理です。
ヤバイネタ一杯抱えてる恵里も、予見持ちなどいて欲しくありません。
余計な事知られたら始末しなきゃなりませんから。
ティオの方はハジメ達が外回りしないので、これまた無理。
幸い清水が悪堕ちしなかったので、バットエンド(魔人族に捕まり改造)にもならず、まあ一応ハッピーエンドです。
原作でも、あれ清水に見つからなきゃ、魔人族に確実に捕まっていたと思います。