―中立地帯・荒野―
「生存者は!?」
「もういないみたいだ…」
リーリナとジャセン、配下のアベロン兵は、しゃがみ、祈りを捧げた。
「偉大なるアウリアス様、この悲劇で失われた命をどうかあなた様の楽園へとお迎えください。
そして、この戦争を我らアベロンの勝利で終わらせください。
聖霊と汝の真名にこの祈りをおささげいたします…」
「………アベロン軍がいたぞ!」
どこからか、声がした。
振り向くと、アルカナン兵に取り囲まれていた。
「まずいわ…。
逃げるわよ!」
リーリナは、懐から巻物を取り出して、
「タウン・ポータル!」
その巻物を放り投げた。
巻物は、青く輝き、時空の歪みを作り出した。
「さあ、早く飛び込んで!」
リーリナが叫んだ。
「そうはさせまい!
マナ・ディオール!」
キロスが叫ぶと辺りで爆発が起きた。
時空の歪みは、消えた。
「くっ、辺りのマナをかき消されたか…!」
「リーリナ殿、私が引きつけている間に皆を連れて逃げるのです。」
ジャセンが剣を引き抜いた。
「ジャセン、ここは私に任せてください。
私がなんとかしましょう」
リーリナがジャセンを止めた。
「女のくせに、何ができる?」
「女だと、私をなめると痛い目に遭いますわ!
……マナ・リーヴァ!」
リーリナの手から青い光がほとばしる!
青い光は、アルカナン軍を襲った。
「クゥゥ…マナが逆流して…」
「今のうちだわ!
タウン・ポータル!」
再び時空の歪みを作り出し、リーリナとジャセンは飛び込んだ。
しかし、その歪みは、不安定で二人が飛び込んだ後、消えてしまった。
残されたアベロン兵は、アルカナン軍が動けない間に逃げ去った。
「ヌウゥ…、仕方あるまい。
お前たちは、先に基地へ戻れ。
わしは、まだやることがある」
キロスは、兵を帰すと、ノコノコと倒れている男の近くへ寄った。
「まだ生きているようじゃな。
わしの計画に使えそうじゃ」
キロスは、倒れている青年に蘇生魔法をかけた。
「……うっ……」
男の意識が戻ったようだ。
「フォッフォッフォ、また会おうぞ。
アベロン兵・エドワード・ルークよ…………」
「…………誰かの声がしたような………はっ!」
目を覚ましたときにはすでにキロスの姿はなかった。
あわてて懐を探った。
「あった!
よかった…………聖騎士団からの召集令状…………」
『エドワード・ルーク』と宛名された封筒を見つけ、ひと安心した。
「さて、テュフォー要塞へ向かわなければ…」
エドワードは、身体中の痛みをこらえながら、歩き出した。