コンラッド・シェパード
コンラッドが戦場を後にして、30分。
やっとのことでソルフェリア基地の場所にたどり着いた。
しかし…
「ど……どうなって……」
そこは、廃墟と化していた。
辺りを歩いてみるも、人の姿はない。
煙が漂うところからして、火が消えたのはほんの数分前くらいだろうか。
「………ラッド………」
「オーウェン!」
小屋の中には、負傷した戦友がいた。
彼は、ひどく衰弱していた。
「オーウェン!
何があったんだ!?」
「………ラッド達が………会戦に向かったあと………アベロン軍……奇襲………ゴホッゴホッ!」
「しっかりしろ!」
「………みんな………死んだか捕虜にされたよ………。
メイジめ…、火を放ってったんだ…。
……ラッド……お前だけは、オディア基地に行け…」
「オーウェン、お前も一緒だ!」
「……行けない……毒が……」
「オーウェン?」
「………………」
「オーウェン!!!」
コンラッドは、同郷の友人であり、良き戦友でもあったオーウェンの骸を丁寧に葬った。
「オーウェン………オディア基地に行くよ………。
さらばだ、我が
コンラッドは、オディア基地に向けて旅立った。
―オディア基地―
「ソルフェリア基地の被害は!?」
「全滅です!」
「くそっ…、あそこには精鋭が揃って…」
アルカナン軍司令部があわただしく情報の整理をしていた。
「たのもー!」
コンラッドは、門の前で力の限り叫んだ。
「お前は、何者だ!?」
「私は、コンラッド・シェパード!
ソルフェリア基地が奇襲に遭い、生き残ったのは私だけだ!」
「ふん、戯言を言うんじゃない!
アベロンからの侵入者は、滅するのみだ!」
門番が叫ぶと、どこからかモンスターが現れた。
それは、アルカナン軍の中枢とも言えるオディア基地を守るためだけに生み出されたモンスター。
まるでクモ怪人のような姿。
その名は、
「………ガーディアン………!
本当にいたなんて…」
「なにっ!
アベロンは、このガーディアンの存在を知っていたのか!?
くそっ!
ガーディアン、あの者を死よりも恐ろしい目に遭わせてやるのだ!」
ボルルルル………
その四本の腕と八本の足を持つモンスターは、素早くコンラッドに近寄る。
「………仕方ない、サクッと殺ってやろうじゃないの!」
コンラッドは、剣を引き抜いた。
ボボボボ…!
ガーディアンの腕がコンラッドに向かって振り落とされる!
「ハッ!」
コンラッドは、身軽にかわした。
「ヤッ!」
コンラッドは、ガーディアンの腕に向けて、剣を振り下ろした。
ザシュッ!
キーッ!
一本の腕が切り落とされた。
しかし…
シャーッ!
クモの糸が放たれた。
「ウッ!」
糸に縛りつけられた。
「ガーディアン!
やってしまえ!」
グルル!
「負けてたまるか!」
コンラッドは、糸を断ち切った。
「ハアァァァ…!」
コンラッドの剣がガーディアンの体を縦に切った。
ゴアァァァ…!
次の瞬間、ガーディアンは煙となって消えた。
「ガ…ガーディアンが…!」
「一体なにがあった!?」
司令官のドゥエルグが現れた。
「………コンラッド!」
「………ドゥエルグ司令官!」
「おいっ!
門番、何をやってるんだ!
ガーディアンも倒されて…」
「も…申し訳ありません…」
門が開かれた。
「さ、急いで入るんだ!」
「は、はい!」
「門番がすまないことをした…」
「いえ、私も悪いのです…」
「まあ、こちらに来い」
ドゥエルグは、コンラッドを連れて、軍本部の建物に入った。
「…ソルフェリア基地の様子は…」
「全滅だ…。
それにハーシェル村がまるまるやられた…。
俺の家族も犠牲に…」
「そうなのか!?
アベロンめ…」
(…ほう)
………その話に聞き耳をたてている人影。
「この基地に転属させてほしい」
「……いいだろう……。
だが、その前に試練を課す」
「それは…」
ドゥエルグは、地図を取り出した。
「この基地から北に2kmの平野にデモニアというモンスターが大量発生している。
20匹ほど退治してほしい。
その毛皮を証拠として持ってくること」
「わかりました。
退治してきます」
地図を握りしめると、疾風のごとく走り去っていった。
ドゥエルグが言った通り、そこはデモニアで溢れかえっていた。
「これがデモニア…」
歴戦の勇者であるコンラッドでさえもデモニアを見るのはこれが初めてだった。
二本の腕に長い爪。
2mもの巨体に生えた禍々しい翼。
その姿からバルドニア語で“
そして、その毛皮は、断熱効果があるという。
ギギギー!
一匹のデモニアがコンラッドの姿に気づき、襲いかかってきた。
ギャギャンギャン!
他のデモニアも続いてコンラッドに近づく。
「セイヤーッ!」
ギギッ!
バッサバッサ……………
「ハアァァァ!」
ザシュッ!
ギャーン!
ギギギー!
デモニアの長い爪がコンラッドに襲いかかる。
ザッ!
そこには、コンラッドの姿はない。
ギギギッ!
デモニアは、地面に刺さった爪を引き抜こうとするが、深く食い込んでいるために抜けない。
木の上に飛び上がっていた
カーン!
コンラッドは、デモニアの翼の付け根めがけて剣を振った。
大きな翼が切り落とされ、ドスンと空気を震わせた。
翼を切り落とされ、爪は地面に食い込んで抜けないデモニアは、もはや袋のネズミ。
「お前の毛皮、もらったぁぁぁ!」
頭から剣を突き刺した。
ギャア゛ァ゛ァ゛…!
一匹のデモニアが毛皮と長い爪を残して、煙となって消えた。
ギャンギャンギャ!
仲間がムザムザと倒されたのを見て、他のデモニアは急いで飛び立とうとした。
しかし
「逃がしてやるものか!」
デモニアの死角から飛びかかり、次々と翼を切断。
デモニアの巨体が墜落するたび、大きな音と震動が世界を揺るがす。
「皆まとめて、あの世行きだあァッ!」
大きく振りかぶって、一気に振り下ろす。
デモニアの山に幾筋も刻まれていく。
ザシュッ!
ギーッ!
ザシュザシュッ!
ギャア゛ァ゛ァ゛!
気がつくと、大量の毛皮と爪が残されていた。
「帰るか」
コンラッドは、魔法のバッグにそれらをつめると、オディア基地へと帰還した。
「これは、すごい…。
武器や防具を作るのが楽になるな。
…よし、お前を今日よりオディア基地所属の戦士だ」