バルドニア戦記   作:アリス・リリス

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アラン・ダンドーロ

―オディア基地―

 

「大賢者・キロス様!

アラン・ダンドーロを連れて参りました!」

 

 

 

「…………中へ」

 

 

しばらくの沈黙のあと、(いら)えがあった。

 

 

アラン・ダンドーロは、一人天幕の中に入った。

 

 

「キロス様…」

「おお!

我が弟子、アランよ!

大きくなったのぅ」

「お久しぶりでございます、我が師よ。

あなた様のお言葉の通り、鍛練を積んでおりました」

「わかるぞ、見ただけでもよーくわかる!

強くなったのう…!」

 

 

二人は、熱い抱擁を交わした。

 

 

「………ようやく、ようやく呼び寄せることができたのじゃ。

 

我が弟子の中で最も優秀なお前を…」

 

「キロス様、我がアルカナンとアベロンの戦いは……」

 

「しばし待て」

 

 

そう言うとキロスは、水晶球をアランの目の高さに掲げた。

 

 

「これをよく見つめるのじゃ」

 

 

すると、水晶球の中に霧が立った。

 

 

「キロス様、何も見えませんが……?」

 

「慌てるでない、よく見るのじゃ……」

 

「……見えません」

 

「心で見ようとするのじゃ。

さすれば、霧が晴れる……」

 

 

アランは、じっと水晶玉を見つめた。

 

 

「あっ………!?」

 

キロスの言う通り、不意に霧が晴れ、アルカナンのどこかの風景が映し出された。

 

 

「我がアルカナンは、美しい土地を持つ場所であった……」

 

キロスの言葉と共にボォっと風景が火に包まれた。

 

 

あとに残されたのは、焼け跡。

 

 

「しかし、憎きアベロンの者どもは、我らの神を邪神とし、その神を封印したアウリアスを神と崇めておる」

 

「!?」

 

 

焼け跡にはアウリアスを示す旗印がはためいていた。

 

 

 

「アベロンどもは、我らの宗教を邪教とし、『福音』だというアウリアスの教えを説くためだけに………じゃ」

 

 

(ウワーン!怖いよう、助けてよぅ……!)

 

 

遠い記憶がアランの脳裏によぎった。

 

「ウッ!」

 

アランは、頭を抱えて、座り込んだ。

 

「アラン!

大丈夫かの?」

 

「………キロス様………」

 

「昔の記憶を思い出してしもうたのじゃな?」

 

「ええ…」

 

「確かに幼き者にとっては、あの記憶は恐ろしいものじゃろう。

だが、お前は充分に強くなったはずじゃ。

 

………皇帝陛下は仰った。

『我がアルカナン帝国は、最後まで戦い抜く!

我が国民よ!

ともに、戦おうではないか!

我らの自由のために!』と。

 

アラン、そなたはアルカナンを守る力が備わっておる。

その力、我らの自由のために戦うか?」

 

 

「………はい!

我が師・キロス様!

 

私、アラン・ダンドーロは、我らアルカナンの民として、そして、メージとして、侵略者・アベロンと命の限り戦うことを宣誓する。

 

アルカナン帝国万歳(ビエラ・リエル・アルカナン)!」

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