異世界に適応する少年   作:Yuukiaway

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#113 The excalibur underground

ワードは両手に剣を構えたまま哲郎とミゲルにじりじりと近づいてくる。その表情からは慢心とは違う絶対的な自信が見て取れた。

彼の両手に握られた二つの茶色の剣こそが彼の強さの象徴であり、彼の努力の結晶なのだ。

 

「……………! おっと」 『?』

「こいつぁ邪魔だな!!!」

 

ワードのつま先から泥が鎌の刃のように伸び、その足による回し蹴りで周囲に飛んでいた泥を薙ぎ払った。これによってミゲルの魔法による動きはかなり制限された。

 

「!!!」

 

ミゲルはワードの口元が緩んだのを見逃さなかった。瞬間に背筋に寒気が走り、咄嗟に隠し持っていた泥の破片を二つ空中に投げる。

 

泥死神鎌(ドロード・シルック)》!!!!!

「!!!!」

 

ワードは足に遠心力を乗せて泥の刃を伸ばし、そのまま二人に向かって振りつけた。

かろうじて魔法の発動が間に合い、二人の身体は空中へと移動した。

 

「飛んで避けるたァ悪手だぜ ミゲル!!!」

 

まるで空中への回避を予測していたかのように二人に向かって剣を向け、その鋒か、泥の弾丸を大量に飛ばした。

弾道はミゲルの胸を狙っていたが、哲郎が手を伸ばしてミゲルを守る。

 

「ここは僕が!!!」

魚人武術 《滑川(なめりがわ)》!!!!

 

両手を巧みに操って泥の凶弾の軌道を全て変え、弾幕を凌いだ。それでも満足することはなく、追撃の準備に入る。

 

「ミゲルさん、僕を蹴って!!」

「! 分かった!!」

 

空中で互いの両足の裏を付けた体勢を取り、ミゲルが両足を全力で伸ばして哲郎をワードの方へと飛ばす。

下方向へと飛びながら、《カジキの構え》を取ってワードへと急接近する。

 

魚人波掌 《打たせ滝水》!!!!!

「!!!!」

 

哲郎の上空から放たれる渾身の掌底をワードは両腕を交差させて受け止めた。衝撃がワードの身体を伝って地面へと迸り、周囲の地面に亀裂が入る。

 

「………こいつがハンマーをぶっ倒した技か!!あまり大したことねぇな!!!」

「いいえ まだです!!!」 「!?」

 

「フンッ!!!!」 「うおっ!!!!?」

 

逆立ちした状態でワードの手首を両手で掴み、ワードを飛び越えて身体を捻り上半身を上にあげた。ワードの身体はそのまま上下が反転する。

 

「やああッッ!!!!」

「!!!!?」

 

ワードの身体は地面へと激突した。

泥のクッションこそ間に合ったが、対応する余裕も無く投げ飛ばされた。

 

「ふんっ!!!」 「ヂィッ!!!」

 

顔面への踏み蹴りを紙一重で躱し、ワードは二人と向かい合った。

その表情からは先程まであった余裕さは消え、息も上がっている。

 

(………よし!イライラしだしたし余裕も消えている!!このまま攻めれば━━━━━━━)

「俺がイラついてるって思ったか?」

「!!!?」

 

哲郎の思考を読んでいるかのようにワードは口元に笑みを浮かべて言った。

 

「笑わせんなよな。そっちにゃエクスの右腕(No.2)がいるんだぜ。端から無事で済むなんて思っちゃいねぇよ。

そして、ラドラ様の右腕(No.2)になるのはレイザーじゃねぇ この俺だ!!!!」

 

ワードは高らかにそう叫んだ。

その直後、彼の足元から大量の泥が溢れ出し、あっという間に周囲の床を埋め尽くす。

 

「テツロウ そしてミゲル

テメェらの実力にせめてもの敬意を表して、全力でぶっ倒してやるぜ!!!!!」

『!!!!』

 

床を埋め尽くす泥の上を滑り、二人に急接近してきた。

 

「まずはテメェだ ガキ!!!!」 「!!!」

 

哲郎の首元を狙って泥の刃を振るう。哲郎はその刃を後ろに飛んで回避しようとする

 

「!!!?」 「バカが ここはもう俺の独壇場だぜ!!!!」

 

哲郎の足首が浸かっていた泥が固まり、哲郎の自由を奪う。身体を反らせて刃は躱せたが、体勢は限界まで仰け反り、隙ができる。

その隙を狙って哲郎の心臓目掛けて刃を振り下ろす。

 

「ふんっ!!!!」 「!!?」

 

ミゲルがワードの脇腹を蹴り飛ばした。そのまま吹き飛び、集中が途切れた事で固まっていた泥も融解する。

両足が自由になった哲郎はすぐにこの泥の地面に対する策を思いついた。

 

魔界コロシアムの決勝戦で空中に浮くノアを見て思いついた技だ。

 

「…………テ、テツロウ君 それは……………!!!?」

「これは魔法じゃありませんが、僕の奥の手です。」

 

【飛べない状態】に【適応】する事で【空中に浮けるようにする】哲郎の技だ。

戦いの最中では思いつかなかったが、これほどワードの泥の床に最適な対抗策もそうそう無い。

 

「ミゲルさん、お願いがあります。」

「!?」

 

「僕が決着をつけますから、ミゲルさんは僕の援護をしてください!!」

「!

分かった!!」

 

ワードはミゲルに蹴られた脇腹を抑えて剣を構えている。最後のゴングが鳴る時は刻一刻と迫っていた。

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