異世界に適応する少年   作:Yuukiaway

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#114 Bradamante

「……………!!」

「ミゲルさん お願いです。僕に全てを賭けてください!!」

「………分かった。君に賭けよう。

エクス様の思いを託すぞ!!!!」

「はいっ!!!!」

 

ワードの固まった泥に両足を取られていたミゲルは哲郎に全てを任せて援護に専念するのが最適解だと結論づけた。

 

 

「………空を飛べるって噂 デマじゃなかったんだな。だがな、そんな小細工で俺の魔法を封じ込めたと思ったら大間違いだ!!!!」

「そんな事は百も承知の上ですよ。だからこそあなたを全力で倒すんです!!!」

「やれるもんならやってみろ!!! ハンマーやレイザーに勝ったくらいでテングになるな!!!!!」

 

ワードの足元から大量の泥の触手が襲いかかる。哲郎は空中を縦横無尽に旋回してその全てを正確に躱す。

 

「かかったな!!!」 「!!?」

 

背後から襲いかかった触手の一本が哲郎足首を掴んだ。 しかし哲郎にとってこの状況は既に経験している。

 

「ハッ!!!」 「!!!?」

 

ワードが引き寄せるより先に足を振り上げて触手を引っ張り踵が宙に浮く。

投げられるより先に触手を地面から切り離して難を逃れた。

 

「………………!!!」

 

十数本の泥の触手を身体の周りに展開して次の出方を伺う。今の攻防で目の前の少年がハンマーとレイザーを単独で倒したという信じ難い事実 そして下手に攻撃を仕掛ければカウンターが飛んでくるという事を確認した。

 

泥で両足の自由を奪ったミゲルに攻撃したいのは山々だったが、上空という圧倒的な有利状況に立っている哲郎に集中すべきだと考える。

 

(…………全く動こうとしない…………………。

僕が動くのを待っているのか?空中に浮いたのは良いけど僕は遠距離には弱いし 近づくしかない…………………………。)

(…………あのカウンターはモノホンだ。

下手に近づいて襲いかかろうもんなら真っ先にカウンターから組み立てられてやられるのがオチだ……………………。)

 

((だったら!!!))

 

(懐に飛び込んでこの掌底で一瞬で終わらせる!!!)

(飛び込んで来た所をカウンターを超えるカウンターでぶっ倒す!!!)

 

哲郎とワードはそれぞれ最後の作戦を纏めた。遂に最後のゴングが打ち鳴らされる。

 

「ハッ!!!!」 「!!!」

 

泥の触手の一本が細長い鋭利な触手へと変化し、横方向から襲いかかった。哲郎は軽く見切って触手を避けるが、触手が空中で固まった。

ワードはそれを足場にして滑りながら高速で哲郎に接近する。

 

(自分から向かってくるなんて!!!

 

!!?)

 

不意に足元に妙な気配を感じて足を引くと、さっきまでいた場所を両手に握られた剣とは違う斬撃が横切った。

 

(…………何だあれは!!)

(これも見切るかよ!!)

 

ワードの背中から何本もの泥の触手が生え、その先端に剣が握られていた。その全てが不気味に蠢きながら哲郎を狙っている。

 

「これでテメェのアドバンテージは無くなったぜ!!これこそがレイザーに勝つためにあみ出した俺の奥の手

泥之百連装聖剣(ドロールガリバー・ブラダマンテ)》だ!!!!!」

「………そっちから来てくれるとは感謝しますよ。これで思う存分戦える!!!」

 

宙に浮く哲郎の周囲にはワードの足場となる泥が大量に散布していた。この空間こそが決着をつける最後の舞台なのだ。

 

「行くぜ!!!!」 「!!!」

 

ワードは剣を空中に投げ、自由になった手を泥の内部に突き刺した。次の瞬間には哲郎の背後の泥からワードの手が伸びる。

襟首を狙って伸びる手を躱し、それと同時に降ってくる剣を蹴りで迎撃した。

 

握りを躱されたと見るやワードは再び両手に剣を構えて哲郎との距離を詰めた。公式戦を見た後にハンマーとの特訓で覚えたカウンターを狙われにくい場所から剣での攻撃を見舞う。

 

「……………!!!」

 

レイザーとの戦いで剣に慣れているが、ワードの剣は速さは劣る分手数で圧倒してくる。

一回でも攻撃を貰ったらそこから一気に攻め落とされそうな圧力を感じていた。

 

両足を拘束されているミゲルはその様子を一人 見守っていた。そして彼は二つの事を理解していた。

 

一つは哲郎が負けたら次にやられるのは自分であるという事。

そしてもう一つは自分が位置を入れ替える魔法を発動するのは哲郎が渾身の攻撃を繰り出すその瞬間のみであるという事だ。

 

とはいえ哲郎にワードの全てを任せた訳では無い。いざとなれば自分もいつでも先頭に加わる決意は固めていた。

 

(……ミゲルの入れ替え魔法がいつ飛んでくるか分からねぇ。だが、その入れ替わった瞬間にこの剣で胴を真っ二つにしてカタをつけてやるぜ!!!)

 

「!!?」

 

哲郎の足首に泥の触手が巻きついた。しかし投げようという意思は感じられない。

ワードの思惑はそれによって哲郎の動きを一瞬止める事だった。

 

「隙ありだ ガキが!!!!!」

「!!!」

 

哲郎の眼球を狙って鋒が襲いかかった。

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