哲郎は次の攻撃で確実にラドラを倒してみせると決意を固めて構えを取った。それもラドラの目には今までと同じような構えに見えた。
「……一体何度言わせれば分かる?君では今の私にはどうやっても勝てないんだぞ?」
「そっちこそ何度も言わせないで下さい。
さっき言った筈ですよ。 それはこれから分かるとね!!!」
「…………だったらすぐに分からせてやろう。」
ラドラも痺れを切らし始め、人形に操られるがままに構えを取った。
地面を強く踏みしめて哲郎と向き合う。
最後の攻防の開始の準備が整い、二人の間にとてつもない緊張が走る。
先に仕掛けたのはラドラだった。足を振り上げる体勢のまま哲郎との距離を詰める。
哲郎は急接近するラドラを冷静に待ち構える。彼の蹴りが右と左のどちらから飛んでくるかを見極め、それに合わせて体勢を変える。
(左!!!!)
哲郎の予測通りにラドラの蹴りは左から飛んできた。それに合わせて右足で彼の蹴りを受ける。
「〜〜〜〜〜〜〜〜!!!!」
「幼体の筋力でこの《
(違う!! 僕は蹴りを受け止めたいんじゃない!!!)
哲郎は右足をラドラの蹴りと同じ方向に振り上げてラドラの蹴りを受け流した。そのまま身体を回転させて再びラドラの顎を狙って蹴りを放つ。その蹴りはあえなくラドラの右腕で受け止められた。
「!!」
「身体の動かし方は悪くないが遅い。」
(違う! それは囮だ!!)
ラドラの右腕に脚をつけたまま左脚もラドラの首の方へと回し、脚を交差させて右腕の自由を奪う。魔界コロシアムの初戦でゼースに使った拘束技だ。
「おりゃっ!!!」 「!!?」
哲郎は背中の筋肉を稼働させて下半身に連結しているラドラの身体を地面へと投げる。
(地面にぶつければあの人形の頭も割れるでしょう!!?
!!!?)
哲郎の想定とは裏腹にラドラの身体は地面に直撃する寸前で止まった。目を凝らすとラドラの身体から伸びている糸がぴんと張っているのが見えた。
(あんな細い糸で身体を支えている!!?
!!!!)
空中でうつ伏せの体勢の哲郎の背中をラドラの蹴りが襲った。地面に腹から激突し、全身を鈍痛が襲う。
「終わりだ。」 「!!!」
無防備になった哲郎の鳩尾に再びラドラの前蹴りが襲いかかる。哲郎は両腕を交差させて辛うじて受け止めた。
《
「…………………!!」
「どうした? その腕が痛むのか?」 「!!」
ラドラの指摘は当たっていた。痛みにはすぐに【適応】したものの蹴り飛ばされた感覚が錯覚のように哲郎の腕にじわじわと走っている。
「………君は『これから分かる』とか何とか言っていたが満更間違いでは無かったようだな。
私の勝ちという結果がはっきりと見えた。」
「!!」
(………それは違う。僕は勝とうとして戦ってたんじゃない。
僕は探していただけだ。
その人形になる魔法の弱点を!!!!)
「…………何だ? 一体何が嬉しくて
(……そうか。 いつの間にか笑ってたのか。
無理もないか。やっと
哲郎は己の中の喜びを押さえ込んで構えを取った。
「………何のつもりだ それは?」
「これであなたと決着をつけるということですよ!!」
「………………………………」
ラドラには哲郎が勝機を見出したことはまだばれていない。哲郎の残りの体力から見ても最初で最後のチャンスだ。
(………エクスさん。あなたが今まで練り上げてきたこの計画を僕が果たしてみせます!!!!!)
哲郎はなんの小細工をするでもなく全力で地面を蹴り飛ばしてラドラとの距離を詰める。
「………馬鹿正直に突っ込んで来て何の利点がある?」
ラドラはため息をつきたくなるような気分で拳を構えた。一直線に向かってくる少年如きに自分が出し抜かれる筈がないと考えていた。
(…………あの人形の距離と顎の傾き そしてラドラの身長から
「ここだ!!!!!」 「!!!!?」
哲郎はラドラを操る人形の死角になる場所で地面を踏み込み、膝抜き 《
そして哲郎の右手には黄金に輝く光が握られている。
「何だと━━━━━━━━━━━━!!!!?」
「これで終わりです!!!!!
《リベンジ・ザ・アダプト》!!!!!」
「!!!!!」
エクスとの手合わせから受け続けたハンマーの魚人武術 レイザーの剣 そしてワードの泥の魔法による猛攻
そのダメージを全て乗せてラドラの腹に全力で叩き込んだ。