異世界に適応する少年   作:Yuukiaway

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#165 Bloody Party 2 (Caterpillar)

リネンこと彩奈とミアーナことアリナが二人一組を組むことが決まり、彩奈は厨房へと案内された。そしてそれから数十分後、宗教団体の屋敷に本来来る事の出来ない人々が集められた。

 

しかし、哲郎と彩奈はとある事で拍子抜けさせられてしまう。

 

人数が思っていたより少ないのだ。

彩奈が料理を出しに会場に向かった時も制服以外を着ている人は数える程しか居なかった。

 

「………あの、エクス様?

かなぁり数が少ないんですけどこれって一体…………」

 

トイレ休憩と称して一人の時間を作ってエクスに通信を試みる。

 

『ああ。さっき会ったセイナの意向でな、出来れば信者達の負担を軽くしたいという事で、セインと本当に親しかった人だけを呼んだらしい。』

「え? 確かセインさんの家とは親しくなかったって言ってましたよね?」

『それは俺達の家が特別扱いを受けたからだ。

正確に言えば俺やファンはセイナの奴にかなり気に入られたからな。

まぁそれもお前が家に来る前の話で、あいつはお前の事は知らない。だからこそお前を潜入させる事が出来たんだ。』

「そ、そうなんですね……………」

 

彩奈は直感でトイレにこもっていて怪しまれる時間は過ぎたと悟り、再び厨房へと戻っていった。

 

 

 

***

 

 

偲ぶ会に参列している人は数こそ少ないがその一人一人が錚々たる顔ぶれである。その事は哲郎も理屈ではなく直感で理解していた。

 

(………えーと、彩奈さんが集めてきた人達の情報は………………)

 

哲郎は通気口の中で水晶を光らせ、十人の顔写真を浮かび上がらせる。

 

《シーフェル・パシフィック》(59)

エクスの家と親密な関係にある鯨の魚人族の男

職業 海洋学者

 

《レオーネ・サンバルド》(43)

体格の良いライオンの獣人族の男

職業 元冒険者 現獣人族の村の議員

 

《ロベルト・プンチーノ》(39)

白い紙を短髪にした褐色の人間族の男

職業 神父兼教誨師

 

《アギジャス・カリバー》(21)

黒い短髪の人間族

職業 勇者 親は実業家

 

《ヴィン・スモーキン》(71)

灰色の髪と髭をたくわえた人間族

職業 弁護士(近く引退を考えているらしい)

 

《ペリー・モルバーナ》(46)

全身白い羽で覆われた鳥人族の男

職業 新聞会社社長

 

《アリネ・カルメラ》(77)

修道服に身を包んだ老婆

職業 シスター

 

《ゴスタフ・ダウホット》(58)

筋骨隆々の身体にスーツを着込んだゴリラの獣人族の男

職業 元格闘家 現外交官

 

(………僕が初めて知ったのはこの八人

で、問題はこの二人か……………)

 

哲郎が目を向けたのは端の方に映された二人の顔写真。それを見た時哲郎は自分の目を疑った。

 

《レオル・イギア》と《エティ・アームストロング》

この二人も偲ぶ会に参列していたのだ。

 

(エクスさんの話ではレオルさんの公爵家はセインさんの家にかなり融資していたらしいし、エティさんの故郷は金銭補助をかなり受けていたみたいだけど、これは予測できなかったな。

彩奈さんにも話したけど、僕を知ってる人がここに居たらかなり動きにくくなる………。)

 

ちなみにサラは今 セリナの側にいて安心させている。この場に彼女がいなくて良かったと安堵した。彩奈の口から出た《転生者》という言葉を聞かれる訳にはいかないからだ。

 

水晶から聞こえてくる音を聞く限りは厳かな雰囲気でセインの冥福を祈っている。

 

(………僕がやらなきゃいけないのは何とかしてここを《卒業》した人達のリストを手に入れる事だ。それが出来ればあの噂の嘘か本当かはっきりする可能性はかなり高い。)

 

哲郎は既にリストの場所の目星を付けていた。在処は恐らくマリナの部屋だ と。

恐らく教祖 マリアージュは彼女が怪しまれずに動く為の隠れ蓑であり、ジェイルフィローネにいる転生者と通じているのはマリナであると予感している。

 

(問題はここを動くタイミングだな。

いつここを出て上に行くか それを間違えたら何が起こるか分かったもんじゃない。

マキムの時とは段違いだなぁ…………)

 

自分の存在はまだ誰にも知られていない。それが逆に哲郎の行動の自由を大きく阻んでいた。

学園に潜入した時は《マキム・ナーダ》という偽りの姿を利用してかなり自由に動く事が出来た。しかし今はそれが出来ない。

実際に今は空き部屋の上で燻っている状態だ。

 

(やっぱりこの状況を利用するしかないか。

あまり気は進まないけど……………………)

 

哲郎の立てた策は、《レオルに事情を話して自分が動きやすくなるように強力して貰う》という物だ。

 

(宗教団体の事だけじゃ断られるかもだけど、根源魔法の事を話に出せば 何とか………………)

 

哲郎はこれを利用して、前々からやろうと思っていた《何故里香がイギア家の奥義である根源魔法を使えるのか》の理由を聞こうともしていた。

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