異世界に適応する少年   作:Yuukiaway

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#17 Little Flower

『さぁさぁ皆様、これより準決勝 第2試合を行います!!!

 

先程のノア選手とエティー選手の名勝負に続き、これからどんな試合が見れるのかと 場内は盛り上がっております!!!』

 

その2人は試合会場で対峙している。

 

『まずはCブロックの覇者!!!

人間族の少年でありながら、華麗な逆転劇を魅せ、ここまで勝ち上がってきた

 

テツロウ・タナカ!!!!』

 

観客席からは、哲郎にも歓声が送られた。

既に優勝候補として、期待を寄せられているのだ。

 

『対しましてDブロックの覇者!!

類まれなる魔法で相手を打ち破り、ここまで勝ち上がってきた【紅蓮の姫君】

 

サラ・ブラース!!!!!』

 

サラにも惜しみない歓声が送られる。

おそらくミナは今頃 どちらを応援していいか迷っている頃だろう。

 

遂にゴングが鳴らされる時が来た。

 

「殺害 以外の全てを認めます。

両者構えて、

 

始めェ!!!!!」

 

遂にゴングが鳴らされた。

先にしかけたのはサラだ。

 

 

ドカァン!!!! 「!!!?」

哲郎の足元に魔法陣が展開され、次の瞬間に大爆発した。

哲郎はそれを咄嗟に跳んで回避した。

 

『強烈!!!! サラ選手の爆発魔法がテツロウ選手を襲う!!!!

テツロウ選手もそれをかろうじて回避しました!!!!!』

 

哲郎は初手の爆発魔法をかろうじて回避し、地面に着地した。

 

「………フン。

これくらいじゃ終わらないわよね。

今のはちょっとした小手調べよ。」

 

サラは再び哲郎の頭上に魔法陣を展開した。

 

「受けてみなさい!!!

閃光機銃(フォトンゲイザー)》!!!!!」

 

哲郎を幾つものレーザーが襲う。

 

「レオルのとは比べ物にならないわよ!!!」

『サラ選手も閃光機銃(フォトンゲイザー)を使用!!!

万事休すかテツロウ選手!!!?』

 

しかし、哲郎の動体視力()は既にこのレーザーを見切る程に適応している。

襲ってくるレーザー全てを最小限の動きで躱して見せた。

 

『テツロウ選手、かろうじて難を逃れた!!!

何という反射神経でしょうか!!!』

 

哲郎の足元には、レーザーが開けたクレーターがいくつもできていた。それが会場に緊張を走らせる。

 

「へぇ。やるじゃない。」

「今度はこちらから行きます!!!」

 

哲郎は全速力で走り出した。狙いはサラ 1人である。

 

『テツロウ選手が仕掛けます!!!

果たしてマーシャルアーツでサラ選手の魔法にどう対抗するのか!!?』

 

真っ向から向かってくる哲郎に、サラは魔法陣をかざす。しかし、哲郎はそれも想定していた。

 

『こ、これは━━━━━━━━━━━』

 

哲郎はサラの1歩手前で足を踏み込んだ。

そしてその勢いを利用し、

 

『な、何というフットワークでしょうか!!!

テツロウ選手、一瞬でサラ選手の背後をとった!!!!』

 

一瞬のことで反応が遅れたが、サラは振り返って背後の哲郎に魔法陣を向ける。

 

哲郎はそれも予測しており、かざされた魔法陣を手ごと蹴って弾いた。

サラに一瞬の隙ができた。

 

そして哲郎は思いっきり振りかぶり━━━━

 

 

バチィン!!!!! 「!!!!!」

 

サラの腹に渾身の掌底を見舞った。

 

『こ、ここに来て再び魚人波掌です!!!!

相手の体内の魔力に衝撃を流し込む魚人族と人間族の英知の結晶!!!!

その随意が紅蓮の姫君に炸裂したァーーーー!!!!!』

 

サラは顔をしかめてうずくまる。

今頃 彼女の身体には衝撃が駆け巡っているはずだ。

 

『効いています!!効きまくっています!!!!

サラ・ブラースの体内には今、我々の想像もつかない衝撃が走っていることでしょう!!!

 

この技術の考案者はこう言葉を残しています。

相手の力を利用するこの技術は、人間族が異種族に勝つ唯一の希望だ と!!!

 

その言葉が現実のものになるのでしょうか!!!!』

 

しかし、紅蓮の姫君は反撃に転じた。

隙の出来た哲郎の両腕を掴み、

 

 

ドガァン!!!!! 「!!!!!」

 

「ああああああああぁぁぁ!!!!!」

両腕が焼け爛れ、哲郎は絶叫しその場に崩れた。

 

『サ、サラ選手も負けじと強烈な反撃!!!!

テツロウ選手、両腕を持っていかれた!!!!!』

 

プッ とサラは血を吐いた。

 

「……これが魚人波掌っていうものね。

多分 今までで1番痛かったかも。

 

だけど君は所詮 子供だったのよ。

 

……それじゃあね。」

 

サラの手に魔法陣が展開された。

 

『サラ選手の魔法がテツロウ選手を襲う!!!

決まったか!!!!?』

 

バシッ!!! 「!!!?」

 

『ロ、ローキックで足をすくった!!!!』

 

体制が崩れたサラは着地するのに精一杯になった。

その隙をついて哲郎は距離を取る。

 

『負傷した両腕を庇いながら、間合いを取ります テツロウ・タナカ!!

 

この目を覆うような凄惨な試合を止めるものはいません!!!

サラ選手かテツロウ選手 どちらかが負けを認めるか、あるいは動けなくなるまで この試合は続けられるのです!!!!』

 

場内には緊張が走っている。

 

「……悪く思わないでね テツロウ君。」

「?」

「もう二度とあなたの間合いには入らないわ。」


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