異世界に適応する少年   作:Yuukiaway

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#184 Shelling Ford 17 (Direct Confrontation)

『何!!? 犯人が分かっただと!!!?

お前にか!!!?』

 

エクスは柄にも無く冷静さを欠いた声を出した。自分よりもかなり年下の少年が自分、ましてやギルドの職員達をも出し抜いた形だからだ。

 

「落ち着いて下さい。これはあくまで僕の推測です。

ですから今からそれを話します。それでエクスさんが確認して下さい。」

『あぁ 分かった。』

 

落ち着きを取り戻した声を聞いて、哲郎はエクスに自分の推理を事細かに話した。

 

 

 

***

 

 

『………なるほど。確かに筋は通っている。

だが証拠が無いな。肝心の証拠が。』

「確かにそうですが、もし僕の推理が当たっているならきっとあの人の部屋のどこかにある筈ですよ。なにせ誰もここから出ていないんですから。」

『……それはそうだが、しかし驚いた。

お前がギルドの連中を出し抜くとはな。』

「それは違いますよ エクスさん。 ギルドの人達が気付けなかったのは、通気口に拘っていたからです。

それを引き起こしたのは他でもない僕なんですから。」

『…………………』

 

エクスは哲郎の言葉に肯定も否定もしなかった。

通気口の痕跡といい二階の部屋の窓といい、図らずも哲郎はギルドの捜査をかなり撹乱してしまった。それが無ければ彼らの操作はもっと円滑に進んでいた筈だ。

 

『お前がそう思うなら、この事件に終止符を打って責任を果たして来い。』

「はい。もちろんそのつもりです。

それと、彩奈さんと、できればノアさんにもこの事を話しておいて下さい。」

『分かった。』

 

哲郎は通話を切り、そして再び大広間に視線を向けた。後に自分が出来ることは時が来るのを待つだけだ。

 

 

 

***

 

 

 

「報告します。

ロベルトさんとアギジャスさんの部屋を調べましたが、特に怪しい物は何も出てきませんでした。」

「そうか………………。 仕方ないか。」

 

ギルドの男は容疑者達に視線を向け、そして哲郎が待ち侘びた言葉を口にした。

 

「では皆さん、申し訳ありませんが 今一度部屋に戻って待機していて下さい。

我々の捜査が終わるまでは勝手な行動は慎むようにお願いします。」

(よし来た!!!)

 

容疑者達は顔を見合い、不満そうな声を漏らすが全員がそれに応じた。同じく信者の少女達もそれぞれに散って残った作業を片付けに戻る。

 

「ようし! 今一度 この屋敷をくまなく探すぞ!!!

犯人は必ずここのどこかに痕跡を残している筈!!そして行方不明のフェルナという女性も同時進行で探す!!!

彼女からも証言を貰うんだ!!!」

 

ギルドの職員達は駆け足で大広間を後にする。

それが無意味な行為だと知る者は一人として居ない。

 

(僕も急がないと!!

あの人に証拠を消されちゃったら終わりだ!!)

 

哲郎は急いで通気口を進む。

犯人に証拠を隠滅されるという結末だけは避ければならない。

 

 

 

***

 

 

自分の部屋の中で、その人物(・・・・)は最後の準備をしていた。

 

(………ギルドの人達は上手く騙せたな。

あの娘には悪いが、ここの闇を白日に晒すためなんだ。悪く思わないでくれ。

後はここを出てこの屋敷の中で妙な物を見たから調べて欲しい とでも言えば……………)

 

コンコンっ 「!!」

 

《証拠》を部屋に隠している最中に扉を叩く音がその人物(・・・・)の耳に入った。咄嗟に証拠を当たり障りのない場所に隠し、扉へと向かう。

 

ガチャ 「?

!」

 

扉を開けた視線には誰も居らず、少し視線を下げるとそこには一人の少年の姿があった。

 

「き、君は?」

「初めまして。 僕、レオル様の従者のマキム・ナーダと言います。

レオル様に届け物があったので、折角ならと皆さんにセインさんの事をお聞きしているんです。

もしよろしければ、お部屋でお話させて貰えませんか?」

「あぁ、構わないよ。」

 

証拠は人目につかない所に隠したから と、その人物(・・・・)は哲郎を部屋に招き入れた。

出来れば避けたかったが、他の皆が部屋に入れているのに自分だけが拒むと余計な悪目立ちを引き起こしてしまうからだ。

 

「失礼します。

………それで、セインさんの事をお聞きする前に、何か大変な事になってるみたいですね。

レオル様から聞きましたが、なんでも女の子の遺体が部屋にあったとか。」

「…そうみたいだね。 全く酷い話だ。」

「全くです。レオル様は言ってましたよ。

『偲ぶ会が人の死を招くなんて 全く縁起の悪い話だ』って。」

「………そうなのか。だけど安心して良いよ。

君も知ってると思うけど、今 ギルドの人達が調べてくれているから、きっと見つかるよ。

少女の命を弄んだ非情な犯人がね。」

「は???」 「!!!?」

 

哲郎は目の色を変えてその人物(・・・・)を睨む演技(フリ)をした。その人物(・・・・)は哲郎のあまりの変貌ぶりにたじろいで椅子で床を鳴らしてしまう。

 

「………何を言ってるのか分かりませんね。

あの人達がどれだけ血眼になっても見つかる訳がありませんよ。

 

だって、その犯人は僕の目の前に居るんですから。」 「!!!!?」

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