『転生者には転生者でしか太刀打ち出来ない』
それがこの世界における常識の一つであり、哲郎も(ノアを除く)魔界コロシアムや公式戦での面々と里香や目の前のトレラとの差からそれは感覚で実感していた。しかしそれでもレオルの加勢は否が応でも魅力的に映る。
「………ハッ。
ただのボンボンが何を言うてんのや?こいつに
それやったらワシからこいつを守ってみろや!!!!」
「!!!」
トレラは再び哲郎の首を狙って蔓を振りかぶる。首を切断した後、空中で身動きが取れなくなった頭に麻酔の花を繰り出すつもりだ。
「ああ。 言われなくてもそのつもりだ。
《
ズドドドドドドドドドドドドォン!!!!!
「ッ!!!!?」
レオルの両手の十本の指から一斉に白い線の雷が撃ち出され、トレラの全身を次々に撃ち抜いた。不意をつかれて全ての攻撃をもろに食らったトレラの身体は後方遠くまで吹き飛んだ。
「哲郎さん! 早くっ!!」
「は、 はいっ!!!」
彩奈の声ではっとした哲郎は疲労困憊の身体に鞭を打って二人の所まで移動する。
「…レオルさん、よくここに来てくれましたね。
本当に助かりました。」
「礼には及ばない。この娘の
「そうですか。」
彩奈は施錠された礼拝堂の地下までしか来ていないので、そこから足で来たのだ。
「推し量るにここは地下、 それもあの礼拝堂の下だと考えているが、違うか?」
「いえ、そうです。
あいつは屋敷の地下にこの場所を作ってお腹が空いたら好きな時にここにいる女の子を殺してその血を吸ってたんですよ!!!」
「………………」
レオルはトレラを咎める言葉は発しなかった。かつての哲郎との確執がそれを拒んでいる。
「……奴の顔にこびり付いている血(であろうもの)を見るに、一方的に嬲られていた訳では無いようだな。一発は攻撃を入れたのか?」
「それはもちろんですよ。」
「……ということは、また地面に投げたのか?」
「はい。僕にできることは少ないですから。」
「そうか。 では奴の能力を分かっているだけ教えろ。そこから作戦を立てる!!!」
「分かりました!!」
***
哲郎はトレラが《転生者》であることは伏せ、彼女は人間体のヘルヘイムであり蔓や枝を駆使して戦い、更に格闘能力も高いと説明した。
『……なるほど。あの植物の怪物か。道理であんな醜怪な面をしている訳だ。』
『はい。もしかしたら僕の思い違いの可能性もありますから頼りきるのはやめて欲しいですけど。それにやつはまだ力を隠してるって事もありますし。』
『それは勿論だ。
それで、何か奴を倒す算段はあるか?』
『………それに答える為に一つ聞きたい事があります。今から僕が言う事を出来ますか?』
***
『……本当にそれで奴を倒せるのか?』
『はい。可能性はあると思います。出来ますか?』
『その程度で良いなら易い用だ。誰かのおかげで自分の力を一から鍛え直す
『…………………』
『この人のこの嫌味な所は変わってない』と心の中で言った後、哲郎は再びトレラに向き直った。トレラは自分の周囲で蔓を振り回して攻撃の準備を整えている。
「………………どした?ワシのダメージ治す為に黙りしとったけど、もう言い残す事は無いんか?」
『……レオルさん、彩奈さん、僕が合図したら手筈通りにお願いします!!!』
二人はトレラに気付かれないようにして首を縦に振った。
「シカトかい? なら良えわ。
三人仲良く串刺しになれや。」
トレラは三人目掛けて蔓を曲げて発射する準備を整えた。その瞬間を哲郎は待っていた。
「今ですっ!!!!」
「おう!!!」「はいっ!!!」
「!!!?」
哲郎の合図でレオルは地面に、彩奈は哲郎にそれぞれ自分の手を触れた。
「《
「!!!!?」
レオルの手が雷に包まれ、トレラの全身も同様に帯電して動きを封じられた。哲郎の計算では動きを止められる時間は数秒にも満たないだろうが、それだけで十分だ。
「(〜〜〜〜〜〜〜〜〜!!!!
クソボケが!!! こんなヤワな電気でワシを止められると思うとるんか!!!?)
ッ!!!!?」
「これで全て終わらせますよ!!!」
両手を構えた哲郎が一瞬でトレラの眼前に移動した。
彩奈が手を触れて哲郎を彼女の側まで《転送》させた。
(こ、このガキィ…………!!!!
動け!!! 動かんかい ワシの身体ァ!!!!)
「
「!!!!」
魚人波掌 奥義
《
ドパァン!!!!! 「!!!!!」
哲郎の渾身の両手の掌底がトレラの腹に直撃し、地下室内にけたたましい音を響かせた。