「……………… と いう話になったんですけど、二人はどう思いますか?」
「「……………………………」」
国王との話を終えて哲郎は再び 半ば拠点となっているエクスの家に戻り、エクスとそこに居たノアに国王から聞いた事を全て話した。二人は哲郎が国王から貰った
「このボタンは付けてみたのか?」
「ええ 一度だけ付けてみましたが特に問題はありませんでした。それこそこの前のマキムみたいに身体に違和感も無く。
ただ国王様が持っている轟鬼族の姿の情報がかなり古いですから、そこから進化とかして姿が変わってない事を祈るばかりですけど。」
「轟鬼族 か………………。
テツロウ、そいつらの姿なら一度だけ見た事があるぞ。」
「え!? 本当ですか!?」
「ああ。会ったのは
ノアの話を端的に纏めると、前世で現役の魔王だった時に轟鬼族に興味を持って一度だけ鬼ヶ帝国に足を運んだ との事だった(その時から鎖国は始まっていたらしい)。
「………それって 問題にはならなかったんですか?」
「本来は不法入国という事で多少 白い目で見られはしたが大事にはならなかった。尤も その時の俺に歯向かう事は即ち魔界の全部を敵に回すようなものだったからな。あの国にそんな阿呆はいなかった。」
「……………………」
今でこそ人の子として学校に通っているが目の前の男はやはり魔王なのだと実感する。
「それで質問の答えだが、一度このボタンを付けてその変装を見せてみろ。俺の持つ情報と違いがあったら都度 国王に伝える。」
「分かりました。」
哲郎はノアからボタンを受け取ると襟に付けて変身魔法を発動した。哲郎の姿が淡い光に包まれて変わって行く。中でも目を引いたのは頭の上から生えてくる二本の角だ。
『……………………!!』
「……どうでしょうか? 何か間違っているところは…………」
哲郎の姿はマキムの時とはまた違ったものとなっていた。服装は(哲郎の世界で言う)和服そのものになっており、髪は濃い茶色の短髪となり、そこから二本の角が伸びている。
「……いや、何処も間違えている所は無い。遜色無く轟鬼族だ。これなら帝国の平民に紛れる事も可能だろう。」
「そうですか。 それは良かったです!
そう国王様にも伝えておきます!」
「それで、
「それも国王様から聞きました。なんでも僕や彩奈さんと似てて(漢字)二文字が普通みたいなんですよね。
ですから僕の名前から取って《
「!!!」「!!?」
瞬間、ノアが血相を変えて哲郎の肩に掴みかかって来た。
「えっ!!? な、何ですか!?
僕何か変な事言いました!!?」
「テツロウ、今お前 偽名を《コテツ》にすると言ったか!!?」
「は、はい そうですけど、それが何か…………!?」
「悪い事は言わない。その偽名は止めておけ。
名前から取るなら そうだ、《
「は、はい。 別にいいですけど どうして………」
ノアは数秒 苦い顔で目を閉じた後で口を開いた。
「…………黙っていても分かる事だから本当の事を言うが、帝国には一人 俺の知る《転生者》が居るんだ。《
「!!? どういう事ですか!?」
「落ち着け。順を追って話す。」
ノアの話を纏めるとこうだった。
ノアは前世の時に帝国に来た時に一人の轟鬼族の少女から一目惚れされたのだという。
無論 その恋は叶わずその少女も別れを受け入れ、少女は自分の人生を全うした。そしてノアも転生し哲郎と出会う数日前に自分の元に手紙が来た。それがかつての少女の転生者からの物で、今は《虎徹》と名乗っている という物だった。
「………と言うのが俺が今言える事だ。
つまりだ、お前が帝国に行けばほぼ間違いなくそいつと関係を持つ事になる。だから何とかそいつ以外に自分の正体はバレないように努めろ。」
「……それはどうにかなると思いますけど、でもどうしてその人
どうしてノアさんはその人の事に気付かなかったんですか?」
「それもその手紙に書いてあった。なんでも普通より転生者を感知する範囲が広いようでな。俺が今の世界の様子を確認する為に各地を回っている時に気付いたそうだ。
つまりそいつも俺達と同じ《不完全な転生者》、俺と同じで死んでも同じ世界に転生して来たと言う訳だ。」
「そうなんですね。
にしても不完全な要素が全く同じなんて 案外運命とかで結ばれてたりするんじゃ
!!!」
哲郎が冷やかしのつもりで冗談を言っているとノアの人差し指が口に向かって伸びた。
そして今までに見た事が無い程の険しい表情で一言だけ言う。
「…………それ以上喋ると縁を切るぞ。」
「…………………………
は、はい。 すみませんでした。
………それにしてもそんなに苦手なんですか? その人の事。」
「お前も会えば分かる。」